告白2
「俺のヴィ・・・。俺の可愛いヴィヴィアン。」
額の傷に何度もキスをされ、何度も可愛いと言われた。
私も何か、何かアーサーに言わなきゃ、伝えなきゃと、アーサーの顔を見た途端に猛烈な眠気に襲われた。
嫌だ。眠りたくない・・・。
「嫌・・・。アーサー、怖い・・・・。眠りたくないの。」
瞼が重い。目を開きたいのに、瞼が重すぎて開けていられない。
「ヴィー・・・・。俺の可愛いヴィー。大丈夫。側にいるから。」
俺の可愛いヴィー・・・・・。必死に目を開いて、アーサーを見た。
「アーサー・・・・・様?」
「ヴィー?ヴィーっ!思い出したのか?」
アーサー?思い出す?何を?あぁ、目を開けていられない・・・・。
どれぐらい眠ったのだろう。もう、外は明るくなっていた。アーサーはいない。もう昼過ぎなのかもしれない。
侍女を呼ぼうと、ベッドから降りようとしたら、ベッドから降りられない。ベッドから床に足を下ろして立ち上がるとベッドの上に立っている。
何度も繰り返したけど、ベッドから降りられない。私、寝ぼけてる?エドみたいに?
「誰か?誰かいないの?」
大きな声で呼んでも誰も答えない。
「アーサー?アーサー?」
バンっ!と大きな音がして、バルコニーの扉が開いた。そして、ベッドが凄い勢いでバルコニーの前まで移動した。
音に驚いて、思わず立ち上がっていたため、ベッドが移動した時によろめいてベッドから落ちてしまった。でも、落ちたのは床ではなくベッドの上だった・・・・。ベッドからは絶対に降りられないらしい。
これは、夢?うん、夢だ。夢に違いない。
「ヴィー?ヴィー、どこだ?」
えっ?アーサー?バルコニーにいるの?えっ?夢じゃない?
「アーサー様、ここです!ここにいます!」
誰?子どもの声?
足音が近づいてきて、バルコニー扉の前にアーサーが・・・。アーサーなの?アーサーなんだけど、幼い?子どもの頃の太ったアーサーではなく、今のアーサーだけど今のアーサーより若い?
「俺の可愛いヴィー。」
「アーサー様!」
子どもが、女の子がアーサーに抱きついた。そして、アーサーが女の子を抱き上げた。
えっ?えっ?何?この女の子は、どこから来たの?いきなり、出て来たけど・・・。
「俺のヴィー。」
アーサーはそう言うと、女の子の前髪をかき上げて額にキスをした。
何・・・・。
女の子の顔が、はっきりと見えた・・・。女の子は私だった・・・・。
バンと大きな音をたてて扉が閉まった。
『起きて』と女の人の声が聞こえて、目を開く。
「ヒッ!」
目の前に、アーサーの顔が・・・。あまりの近さにビックリした。
私の声の所為でか、アーサーは目を覚ました。
「ヴィー?」
「アーサー、おはよう。」
「ヴィヴィアン?」
「アーサー、私は子ども頃に何度もアーサーに会っていたの?」
「思い出したのか?」
「ううん・・・。夢を見たの。アーサーは私をヴィーって呼んで、私はアーサーをアーサー様って呼んでた。」
「ああ、国に帰ってから、二回お前に会っている。二回とも俺を忘れていた・・・・。今回も入れると三回だな。」
「ゴメンなさい。」
「フッ、今回はまだマシだな?出会った時の記憶は戻ったんだからな。」
悲しげに笑うアーサーを見れない。
「ゴメンなさい・・・・。」
「ヴィー、もう俺を忘れないでくれ・・・。ヴィー?俺を見て?」
「ゴメンなさい、もう忘れないから。約束するから・・・。」
「お前が、ヴィーが、俺を忘れないでいてくれるのなら、俺はヴィー以外の大切なものを全て捨てる。だから、俺を忘れないで・・・。」




