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アーサーの母様

こんなに若くて、可愛いらしいのに・・・。アーサーとオーウェン王子のお母様だなんて・・・。アリス様は、いったい何歳なんだろう?何歳で、アーサーを産んだのだろう?


「ふふっ。そんなに見つめられたら恥ずかしくなってしまうわ。さあ、さあ、着替えて一緒に朝食にしましょう。ずっとスミレとお話しをしたかったの。だって貴女は私の可愛い二人の息子達を虜にした特別な女の子なんですもの。どちらと結婚しても、私の娘になるのね!楽しみだわっ!」


アリス様はそう言うと、私をギューっと抱きしめてくれた。可愛いくて、優しいアリス様。アーサーとオーウェン王子のお母様。アーサーの母様・・・・。



母様が、母様が言うんだ・・・。お前など産まれてこなければ良かったのにって。




「アーサー・・・・。」


「スミレ?」


ガシャーンと何かが落ちたような音した後に、女性の叫び声。


「イヤっ、イヤー!イヤなの。もうイヤなの!!私に触らないで、触らないでっ!!」


「あっ!お嬢様っ!」


侍女のニーナが、お嬢様!と言いながら走り出した。


「スミレ、様子を見てくるから、ここで待っていてね。」


アリス様も部屋から出て行った。


お嬢様?他の候補様なのだろうか?


「落ち着け、何もしない。触れないから・・・。」


アーサー?アーサーの声?そっと扉を開いてて廊下を覗いた。女性が床に座りこんでいた。髪で顔が見えない。


「お嬢様、大丈夫でございますよ。部屋に戻りましょう?」


侍女のニーナが話しかけると女性が顔を上げ、横顔が見えた。髪の色が違う。でも知っている顔だった。


「リリー?」


声をかけると、一斉にみんなが私を見た。女性の顔がハッキリ見えた。リリー?リリーじゃない?


「あっ、あの・・・・・。」


床に座りこんでいた女性は、私を見て目を見開いた。そして、凄い速さで私に向かって来た。


「ヴィヴィアン!」


アーサー?えっ?


女性が腕を振り上げた?逃げたいのに身体が動かない・・・。殴られるの?


「リリー!」


女性はリリーと叫びながら、私を抱きしめた。とても大切なもののように優しく抱きしめた。


「大丈夫。大丈夫よ。姉様がリリーを守るから。心配しなくて良いのよ。リリーは、何も心配しないで・・・。」


リリーのお姉様?どうすれば?とアーサーを見た。それを見た女性がまた私をギュっと抱きしめた。


「陛下っ!陛下、この子はまだ子どもでございます。まだ初潮もきておりません。お相手なら、私がいたします・・・。どうか、どうか妹は・・・・。」


陛下?誰?


「大丈夫だ。リリーにもそなたにも触れない。だから、心配するな。何も心配するな。」


アーサーは、そう言うと私を見ることもなく立ち去った。


「ローズ?大丈夫よ。陛下はリリーに何もしないわ・・・。貴女の大切な妹に陛下が何をするというの?」


「アリス様・・・・・。」


不安そうな顔をした女性は、アリス様を見て、私を見た。


「あら?貴女は誰?リリーじゃないわ?」


「私は・・・・。」


「ローズ、この子はアーサーの婚約者よ。可愛いでしょ?」


「アレの婚約者?」


女性は、眉間に皺を寄せる。


「貴女、アレの婚約者なの?悪いことは言わないわ。すぐに婚約破棄なさい。」


女性は吐き捨てるように言う。


「なぜですか?」


「アレは、産まれくるべきじゃなかったのよ?汚れているのよ?アレと婚約だなんて、貴女は売られてきた娘なの?」



母様が言うんだ。言うんだ。言うんだ・・・。



「聞いているの?」




母様が、母様が言うんだ・・・。お前など産まれてこなければ良かったのにって。




「アーサー・・・。」


「えっ?貴女、泣いているの?」


「スミレ?」


アーサー・・・・・。


「貴女、大丈夫?具合が悪いの?」


女性が・・・、アーサーの母様が、私を心配そうに見つめる。


「貴女、私からアレに言ってあげるわ。貴女を解放してあげなさいって。汚れた存在の癖に婚約だなんて!オーウェン王子がいるのだから、アレが結婚する必要などないわ。」


アーサー・・・・。アーサーに会いたい。


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