スミレとアリス
「スミレは、アーサーが好きなの?」
「うん!大好き!アーサー大好き!」
「そう・・・。じゃあ、私は?好き?」
「アリス様も大好き!」
「じゃあ、どっちの方が好き?」
「んーっ、アーサーもアリス様も大好きだけど、違う好きだから。」
「違う好き?」
「うん。アリス様はお姉様みたいで大好き!アーサーは、スミレはアーサーの花嫁さんになるの!」
「・・・。もし、私がアーサーみたいに男で王子だったら?どっちが好き?」
「アリス様が王子様!凄く綺麗な王子様で、スミレドキドキしちゃうよ?」
「ふふ。本当?」
「でも、スミレはアーサーの花嫁さんになるの!アーサーは特別なの!」
「私が王子でも、スミレは私の花嫁になってくれないの?」
「んーっ。アリス様はスミレの顔が見えないから・・・。見たら、ガッカリするよ?」
「ガッカリなんて・・・。どうして?どうして、そんなこと思うの?」
「スミレもアリス様みたいに綺麗だったら良かったな・・・。スミレはブサイクだから・・・。」
「私は、スミレがどんな顔だって大好きよ?アーサーよりずっとスミレのことが大好き・・・。」
「んーっ、んーっ。じゃあ、アリス様が王子様だったら、アーサーとアリス様とスミレと三人で?あっ!だったら、アリス様がお姫様のままでも大丈夫だよ!二人でアーサーの花嫁さんになる?」
「それは嫌。」
「えーっ!なんで?」
最近よく夢を見る・・・。こないだまで、思い出しもしなかったのにな・・・。
「ヴァネッサ様?ヴィヴィアン王女からお茶会のお誘いがありますが、どうなさいますか?体調が優れないとお断りいたしましょうか?」
「お茶会、行きます。」
ヴァネッサ姉様に会いたい。勝手なことをした私を怒ってるよね・・・。心配してるよね。ちゃんと謝らないと・・・・・。
「こちらで、ヴィヴィアン王女がお待ちです。」
ヴァネッサ姉様の侍女に案内してもらった。あれ?誰もいないけど・・・。
「ヴィヴィアン王女?いらっしゃいますか?」
まだ来てない?足音がして、振り返ろうとする前に優しく抱きしめられた。
「アーサー?」
「・・・・・・。」
「アーサー?」
「へえ。アーサーは、こんな風に抱きしめるんだ?君は馬鹿なの?忠告してあげたのに。アーサーはね、君のことなんてなんとも思ってない・・・。」
「オーウェン王子?離してください。」
嫌だ・・・。
「アーサーの身体は傷だらけなんだよ?何故か知ってる?」
なんの話をしてるの?
「アーサーはね、僕を庇うために拷問されたんだよ・・・。僕の目の前でね。」
アリス様は、とてもショックなことがあったのよ。だから、一時的に目が見えなくなっているの。優しくしてあげてね、ヴィヴィアン王女。
はい、マリア先生。
「あっ・・・。」
「アーサーの傷を見たんだ?じゃあ、アーサーにもう抱かれたの?本当に君は馬鹿だね・・・。妃にしてくれるって言われた?あぁ、妾妃にはしてくれるかもね?でもさ、飽きたら捨てられちゃうかもよ?」
やっとオーウェン王子が抱きしめる腕を外してくれて、ホッとする。振り返ろうとすると、また抱きしめられる・・・。
「スミレが現れたら、君は捨てられるよ?スミレは特別だからね。」
オーウェン王子は心配してくれてるの?
「凄いね・・・。身体中に跡をつけられたの?隠しきれてないよ?アーサーが隠しきれないように付けたの?僕が新しく跡をつけても気づかないぐらいたくさんの跡だね・・・。僕も君に跡をつけたいな。」
首にオーウェン王子の唇が触れると、強く吸われた。
「嫌っ!ヤメテ!」
身体を捻じり、逃げようとしても後ろからしっかり抱きしめられ逃げれない・・・。
「のう、善よ?無理強いしておるのでないのか?それとも夜這いかのう?」
「夜這いは、夜って言うぐらいですから夜にするもんじゃないんですか?」
「のう、善は夜這いしたことあるのか?」
「私ですか?私は草食武士ですから・・・。」
「情けないのう・・・。」
「すみません・・・・。」
「・・・・・・。ヴァネッサ、またね。今度は逃がさない。アーサーより気持ち良くしてあげるから。」
オーウェンは私だけに聞こえる声で囁くと抱きしめる腕を離した。
「これは、五の姫と善殿。」
「オーウェン王子、続けても良いぞ?途中で止めるのは辛いのであろう?」
「ふふ。ご心配ありがとうございます。五の姫もヴィヴィアン王女とお茶会ですか?あちらのヴァネッサ様もです。ゆっくり、楽しんでください。」
「すまんのう、オーウェン王子にはお楽しみを中断させたのに。のう、善?」
「はぁ、すみません。」
「では、失礼します。五の姫。」
オーウェン王子は何事もなかったように立ち去った。
「そなた、大丈夫かのう?」
顔を上げると、黒髪の美しい少女が見下ろしていた。恥ずかしい・・・。見られてたよね?
「善。」
善と呼ばれた男性は、失礼と言って私を抱き上げ、席に座らさせてくれた。
「妾は、Z国の五の姫。そなたは、V国のヴァネッサ様かのう?」
Z国・・・。アーサーの候補様・・・・?




