ヴィヴィアンとアーサー
「額の傷?俺がそれを気にして、お前を妃にするだと?俺はこの傷が気に入っている・・・。俺のために出来た一生消えない傷。」
アーサーは、そう言って私の前髪をかき上げると額の傷を舐めた。身体がビクっとする。アーサーが私の両腕を押さえて、覆いかぶさっているから・・・。私の動きが、アーサーにも伝わってしまう。
「良くしてやるから・・・。なるべく痛みを与えないようにするから、俺を拒むな・・・。」
耳元で囁かれ、また身体がビクっとして、それを抑えようとしたら声が出て・・・。恥ずかしい・・・。
「怖いか?嫌なのか?それでも・・・・。」
どうしよう・・・。本当は怖がらないと、嫌がらないと、いけないのかな?夜着を破られて、ベッドに押さえつけらているのに、全然怖くないし、嫌じゃない・・・。恥ずかしいだけ。
アーサーの息が首にかかってる?
「んっ。」
首を吸われてる?首から胸元へと少しずつ何度も何度も・・・。その度に声が出て、恥ずかしい・・・・。
「泣かないのか?いつもすぐに泣くのに・・・・。」
いつも泣くなと言うのに?
「お前が泣くと、もっと泣かせたくなった。泣いてなくても、泣かせたくなるとはな・・・。」
「アーサー?」
「お前が悪い。お前が、あんなことをするから・・・。」
なに?なんで?
「お前が嫌がっても、今からお前を俺の妃にする・・・。」
なんで?アーサーが泣きそうなの?
「アーサー、どうしよう・・・。」
アーサーが目だけで、何がだと聞いてくる。
「恥ずかしいの・・・・。でもね。」
その顔でアーサーの妻になろうなんてふざけてるよね?
本当だね、オーウェン王子・・・。容姿だけでなく、国力も釣り合わない。
私はずっと恋をしたかった。なぜアーサーのことを忘れていたかわからないけど、子どもの頃の私はアーサーに恋をしていたのだと思う。アーサーを思い出した私は、またアーサーに恋をしているのかも。
「でも、なんだ?」
「嫌じゃないの。全然、嫌じゃない・・・。おかしいのかな?アーサーだから?怖くないよ。」
「・・・・・・・・・。」
変なこと言ったのかな。間違えたのかな・・・。アーサーがまた泣いてしまいそうな顔に・・・。何か、何か話さないと。
「今日だけで良いの。今だけで良いから・・・・。」
私はまたアーサーを忘れてしまったりするのかな・・・。嫌だな・・・。
「アーサーの妃にして。」
今日のことは忘れたくないよ。
「ヴィヴィアン・・・。」
ずっと掴んでいた腕を離してくれた。
「今だけじゃない。今日だけじゃない。ずっと俺の妃だ。」
優しく頭を撫でられ、また前髪をかき上げられて、傷を舐められる。
コンコンとノックされた・・・。
「無視すれば良い。ヴィヴィアンは、俺だけを見て、俺のことだけを考え、俺を感じていろ。」
アーサーはビリビリビリと更に夜着を破いて、胸全体を露わにする。
「あっ!ダメっ!」
「ダメじゃない・・・・。もっとだ。」
アーサーはまたさらに夜着を引き裂こうとした時、扉が開いた。
「なんてことをっ!スミレ様から離れなさい、アーサー王子!」
リリーがアーサーに怒鳴った。
「リリー、スミレという者はいない。ヴィヴィアンだ。あぁ、あとヴィヴィアンはもう俺に抱かれた後だ。結婚式には孕んでるかもな?」
なんで、そんなウソを・・・・。
「なんてことを・・・。ヴィヴィアン王女になんてことを・・・。」
アーサーは、リリーのことを無視し、私の髪にキスをした。
「明日もたくさん、抱いてやろう。」
アーサー?どうしたの?
「アーサー、離れなさいっ!ヴィヴィアン王女から離れなさいっ!なんで、こんなことを・・・。このことは、アゼルに報告しますからね!」
「明日から俺と同じ部屋にするからな。ヴィヴィアン、お前は何も心配しなくていい。お前は俺だけを信じていろ・・・。」
そう言うと、唇にキスをした。
「アーサーっ!ヴィヴィアン王女から離れなさい!貴方は、あの男とは違うの!」
「明日、迎えにくる。いい子で待ってろ。」




