そんな約束しましたっけ?
アーサー王子が侍女を連れて部屋に来た。私専属でついてくれるらしい。侍女の名前はリリー。ぱっと見は地味なんだけど、でも凄く美人さんなのはひと目でわかった。あえて、地味にしてる感じ。実にもったいない。
「リリー、お前は下がれ。」
リリーが一瞬不安そうな表情をした。えっ、何?私、今から嘘ついたことを怒られるんでしょうか?リリー、行かないで・・・・。
「かしこまりました。ヴァネッサ様、ご用がございましたら、お呼びくださいませ。」
リリーはお辞儀をして、部屋を出て行ってしまう。リリー!置いていかないで・・・。じっと、リリーが出て行った扉を見つめてしまう。アーサー王子いるほうへ振り返りたくない。怖過ぎる。
「こっちへ来い、ヴィヴィアン・・・。」
腕を掴まれ、抱き寄せられる。なんで?
「本当は、お前が成人するまで待つつもりだった。でも、待てなかった。」
えっ?アーサー王子、人違いでは?今日、初めてお会いしましたよね?
「仕方ないだろ?」
何が?
「あっ、」人違いですよと続くはずだったのに。口が塞がれて、すぐに何かが入ってきた・・・。
「んっ!ンー!!」
舌を入れられてる?何?なんで?掴まれてない腕で、アーサー王子の胸を押すけどビクともしない。何?何?
口を塞がれたまま寝室まで歩いて移動させられ、驚きが恐怖に変わる。イヤだ。怖い。怖い。怖い。
やっと唇を離してくれたと思ったら、ベッドに押し倒された。恐怖で声がでない。涙が頬を伝う。
「泣くな。お前に泣かれると・・・・、もっと酷くしたくなる。だから、泣かないでくれ・・・・。止められなくなる。」
何それ?
アーサー王子は、はぁっと溜息をつく。
「アーサー王子?」
何かに耐えてるような表情で、私の前髪をかきあげる。そして、額の傷を指でなぞる。額の傷・・・・・・・・・。
「アーサー?」
「思い出したか?」
顔を歪ませ、掠れた声で言うから泣いてしまうのかと思った。でも、目を閉じて、また溜息つく。そして私を真っ直ぐ見て、少年のような顔で笑った。
「う・・・」
「う?嘘じゃないぞ!本当にアーサーだ!」
「裏切り者!!」
「なっ!なんで俺が裏切り者なんだ!」
「自分だけ、かっこ良くなって!ブサイク仲間だと思ってたのにっ!ズルい!」
アーサーは、当時凄く太っていた。そして思春期のせいか、顔中吹き出物だらけだった。自分と同じぐらいブサイクと初めて会ったため、嬉しくて邪険にされてもアーサーの後をついてまわった。なのに・・・・。
「自分だけ蝶に変身して、私は醜い芋虫のままなのに・・・・・。どうせ、私は石ですよ!」
「石?石ってなんだ?」
「言った!石って言った!土の中の石って言った!」
「原石だろ?お前はまだ15歳だ。これから俺に磨かれて、俺だけの宝石になればいい。」
「何?俺だけの宝石って・・・。」
「お前は、俺の妃になるんだ。約束しただろ?俺がお前を貰ってやるって。お前は約束だよ。絶対だよって言っただろ?」
えっ、そんな約束しましたっけ?全然、覚えてない・・・。でも、そんなこと言うと危険な気がするので言わないけど・・・・。
「ゴメン。」
さっきのキスのこと・・・かな?
「うっかり、襲ったらゴメンな?」
・・・・・。誰か助けて・・・。




