A国 アーサー第一王子
部屋に入ると、みんなの視線はヴァネッサ姉様に向けられる。
ほうっ、美しい。これは、なんと華のある美しさ。アーサー様の正妃には、このぐらいの美しさでなければ!
それを見て、凄く誇らしくなる。でしょ?綺麗でしょ?美しいでしょ?見て!我がV国の宝石、ヴァネッサ姉様よ!A国の美女にだって負けない美しさでしょ?超大国のアーサー王子の横に並んだって見劣りしない!ヴァネッサ姉様は子どもの頃から本当に美しくて、初めて会った時は天使様かと思った。
「おい?お前は誰だ?」
あっ、いけない・・・・。こんな大変な時に自分の世界に入ってしまっちゃダメ。しっかりしなくてはっ!とにかくアゼル様になんとかしてもらおう。
アゼル様がいた辺りを確認するけど、あれ?いない・・・。どうしよう。幻覚?
「おい、お前に聞いている。お前は誰だ?ヴィヴィアン王女、侍女を連れてくるのは禁止したはずだが?」
顔を上げると、私ではなくヴァネッサ姉様にヴィヴィアン王女と話しかける男性が・・・・。凄い威圧感のある男前。もしかして、この人がアーサー王子?なんてヴァネッサ姉様とお似合いなの。ううん、お似合いなんてものじゃない!運命の相手!そうとしか考えられない!ねえ、ヴァネッサ姉様?あれ?
ヴァネッサ姉様は、厳しい表情でアーサー王子を見る。そしてアーサー王子は、ヴァネッサ姉様を無表情で見る?えっ、そこは優しく微笑みを浮かべてもらわないと・・・。はっ!もしや!すでに恋のかけ引きが始まってる?ネリーに借りた恋愛小説には、ヒロインの気を引きたくて、ワザと冷たい態度をとる王子がいた!それだっ!
「お話したいことがごさいます。実は手違いがございまして・・・。」
ヴァネッサ姉様?
「手違いとは?」
「私は伯爵家の娘、ヴァネッサでございます。今回は手違いで私も候補として呼ばれました。」
「ほうっ?お前があのV国の宝石?宝石というのは、まだ土に埋まってる原石って意味だったのか?」
なっ、それはただの石ってことですよね。しまった、ヴァネッサ姉様の美しさはアーサー王子まで噂が届いてたのですね。さすが、ヴァネッサ姉様!でも、私のせいで実はブサイクだって噂が流れたらどうしよう・・・・。
「ビビ!何を言ってるの!」
だって、ヴァネッサ姉様・・・・。今更なんです。どうせ、エドに、魔王に怒られるのは決定なんです。なら、ヴァネッサ姉様の恋の手助けをしたいのです!バレる頃には、アーサー王子はヴァネッサ姉様に恋してるはずだし。
「ふふっ、君は面白そうな子だね?」
声のするほうを向くと、ヴァネッサ姉様の様に美しい男性が微笑んでいた。
「僕は、オーウェン。この国の第二王子。よろしくね、ヴァネッサ様。君が手違いで候補になったのなら、アーサーではなくて、僕の妃になるかい?」
こちらの王子もヴァネッサ姉様にお似合いなんですけど・・・・。ヴァネッサ姉様はどちらが好みなんだろう?それにしても、この国の方はブサイクにも優しい紳士ばかりですね。あぁ、オーウェン王子。大丈夫です。私はそんな発言を本気にしたりしませんから、ご安心ください。
「ダメだ。コレは俺の候補だ。二人とも疲れているだろう。今日はゆっくり休まれよ。」
アーサー王子、さっき私のこと石だと言ったのに?まあ、宝石ではないのは確かですけど・・・・。はあ、部屋に戻ってヴァネッサ姉様と作戦会議をしなくては。
「あのう、私はヴィヴィアン王女と同じ部屋でも・・・。」
「候補様を同じ部屋にはできません。ご用がございましたら、お呼びくださいませ。」
「はい・・・。」
夕食も食べたし、湯浴みもしてもらったし、もう用事なんてないですよ?あー、でも本でも持ってきてもらおうかなあ。恋愛小説あるか聞いてみようかな?
立ち上がろうとしたら、ノックされた。丁度良い、聞いてみよう。
「どうぞ。あの、本をお借りで・・・。」
「どんな本が良いんだ?」
「・・・・。」
なんで、アーサー王子がくる?
「お前に話しがある。」
いえ、私にはないんですけど?
「あ、あのう?」
「お前に話しがある。ヴィヴィアン ヴァイオレット V王女のお前にな。」
「えっ?」
えーっ、もうバレた・・・・。どうしましょう、ヴァネッサ姉様。




