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⑤
「別れよう」
学校の帰り道、恋人のマユにそう言った。
一瞬だけ驚いた顔を見せたが、またいつもどおりの顔に戻った。
「あ、そういえば、駅前に美味しいクレープ屋さんができたって友達が言ってたんだ」
「マユ」
「だからさ、今度そこ行ってみようよ。それともこれから行っちゃう?」
「マユ」
少し強めにそう言うと、マユは困ったように眉をハの字にした。
「えっ? 冗談じゃないの?」
「冗談じゃない。別れよう」
「でもほら、まだやってないことたくさんあるし。約束してた海にだって行ってないし、旅行にも行こうって言ったじゃん」
「好きな人ができたんだ」
「いやいや、冗談でしょ? だって私まだこんなに好きだし…」
そう言ってうつむくマユ。
申し訳ないとは思っている。でもマユ以上に好きな人ができてしまったんだ。
その日からはもうその人のことしか考えられなくなってしまって、マユのことなんか二の次になっていた。
そんな状態でマユとは付き合えない。
「なんで? なんで急に?」
「俺は前から考えてたんだ」
「前、から? 前っていつ?」
「2ヶ月、ぐらい前」
「2ヶ月…」
マユは俺の顔をまっすぐ見た。
俺はそのマユの目線から逃げずにもう一度別れの言葉を言った。
「別れよう」
この先はご想像にお任せします。




