②
マユとは付き合って半年になる。
それなりに好き合っていたのだが、俺の方が冷めてきてしまったらしい。
とあるカフェにマユを呼び出した。これから別れ話をするのだ。
「おまたせー。待った?」
「いや、今来たとこ」
「嘘だー。コーヒー半分以上減ってるじゃん」
いつものように明るい笑顔でそう言うマユ。
しかし俺の表情が暗いことに気がついたらしい。
座りながら不思議そうな顔で覗き込んでくる。
「…どうかした?」
「今日はちょっと話があってさ」
「…うん」
真面目なトーンで言うと、マユは姿勢を正して俺に向き合う。
「別れよう」
マユの目が丸くなった。驚いているのがよくわかる。
まるで冗談を聞いているかのような顔でたずねてくる。
「え? なんで?」
「もう冷めてきたんだ。俺の勝手でごめんな」
「…いや、冗談でしょ? またまたー。今日はエイプリルフールじゃ、ないよ…」
依然変わらぬ俺の表情。
その顔を見たマユの笑顔が消えていく。
「うっそー…私なんかした? どこか悪いところあったかな?」
「ごめん」
「ごめんって…そんなこと急に言われても…」
「ごめんな」
俺は立ち上がってテーブルに置かれた伝票を手に取り、レジへと向かった。
お金を払っている時に、さっきの席にまだいるマユをチラッと見てみたが、さっきの状態からピクリとも動いた様子はなかった。
そして俺は店をあとにした。
このマユは可愛いマユ。




