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序章:冷めた男が目覚める瞬間 4

一仕事終えた俺と舞は予定通りキャンパスに繰り出して学祭を満喫することにした。仕事と言ってもサークルの紹介や展示、マシンの試乗くらいで大した内容ではなかった。ブースの番台は仲間に適当に引き継いで、今俺達は露店群の真っ直中。なぜここにいるかというと、工賃のチョコバナナの露店があるからだ。俺の意志でここに来た訳ではないとだけ言っておこう。


「へい、らっしゃい!S大名物プレミアムチョコバナナはこっちだぁい!」


威勢よく売り込んでいるのは真行だ。あいつの露店ってチョコバナナだったのか。


「まるで魚市場だな。いつからチョコバナナがS大名物になったんだ?しかもプレミアムって…どっから見ても只のチョコバナナじゃんよ」


半ば呆れたように真行にツッ込んでやった。


「おっ鋭士じゃん!いいんだよ、名物っつっとけばみんな欲しがるじゃん!しかもプレミアムのダブルパンチだ!」


「客からダブルパンチ喰らわなければいいがな」

全くコイツはいつでもこのテンションだ。羨ましいね、分けてもらいたいぐらいだ。


「ところでそっちの可愛い娘はコレか?そっか、デートってとこだな!」


「そう♥」「違う!」


「どっちだよ?」


舞の顔が曇っていくのを察知した俺はしぶしぶ応えた。


「はぁ〜、デートでいいよもう…。それでこれから軽音部のライブを見に行くとこ。」


「昨日はコレ、いないとか言ってたくせに。ま、いっか!お幸せにっ!」

だから違うからな真行さん。俺達はそういう関係じゃないからな。指立てんじゃねぇ!


「はぁ〜まぁいいや、チョコバナナくれ、2つな。」


「違うぞ鋭士。プレミアムチョコバナナだ!いーか俺の口見てろよ!プ・レ・ミ・ア・ム!次間違ったら許さんぞ!」


かぁ〜テンションたけ〜。


「…プレミアムチョコバナナ2つ下さい、お願いします。」


「よっしゃあ〜!!オーダー、プレミアムツー!豪快に行くぜ!!気合い入れろ野郎ども〜!!」


普通に作れよ頼むから。しかも野郎どもって…女しかいねえよお前の店。

「へい、おまち!S大名物プレミアムチョコバナナだ!とくと味わうがいい!!」


「プレミアムってどこがプレミアムなの?見た感じ普通のチョコバナナだけど…」


舞が聞かなくていい事を聞く。


「よくぞ聞いてくれたお嬢さん!バナナに刺さっているこの棒を刮目せよっ!」


舞は言われた通り棒にガンたれる。なんつーツラしやがるコイツは?!


「見えたかっ?」


「何が?」


「当たりクジになっているっ!」


「見えるかっ!」


あぁ真行…お前は凄いよ。たかがチョコバナナでここまで暑苦しくなれるのは全世界で探してもお前くらいだ。まさにお前がプレミアムだよ。

しかも舞は舞でめっちゃ喜んでるし。見てやれ、この今にもどっかトリップしそうなこの顔。コイツもある意味プレミアムだな。


「じゃあ俺達もう行くな。チョコバナ…プレミアムチョコバナナ頑張って売れよ。」


「ああ!お前も頑張れよ!」


だから違うって言いたいところを我慢して、俺は舞を連れて暑苦しい露店を後にした。





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