7章:鋭士さんに言いつけてやるぅぅぅッッッ!!!!
4月も半ばを過ぎてすっかり春の陽気もお馴染みになってきました。見上げれば晴れた空に浮かぶ雲、木々が緑に萌えてほんのりと土の香り。僕はこの香りが好きだ。
はぁ、はぁ!
「ヤバいなぁ、時間に間に合うかな?」
僕は疾走していた。待ち合わせの時間に遅れそうだったからだ。
今日は土曜日。マリンフロンティア特設会場にて格闘ゲーム“戦国スピリット”の大会が開催され、それに出場するのだ。ただ、大会と言っても今回は予選会だから、あくまで大会に出場する為の出場なのですが。
「はぁ、はぁ、間に合った!はぁ〜。」
僕は待ち合わせの駅に息を切らして到着した。予定の時間の5分前。間に合って良かった。
「「遅いッ!!」」
途端に怒号が重なって僕にぶつかってくる。声の主はここで待ち合わせをしていた2人。
「何分待ったと思ってんのナオッ!?」
「ゴメンなさい!咲姫さん。」
そのうちの一人、咲姫さんは苛立たしげに口を尖らせる。
「そうよ!アタシを咲姫と二人っきりで待たせるなんて、どんだけ苦痛だったか分かってんの?ナオちん!?」
「スミマせん!華音さん。」
待っていたもう一人、華音さんも同様に口を尖らせる。この人はバンド“聖・アナライズ”のベースヴォーカルの華音さん。前のライブで知り合ったバンドのメンバーの一人。
「はぁ!?苦痛だったのはアタシの方よ!アタシのセリフ盗んな!」
「そっちこそアタシにあんまくっつかないで!傍から見たら仲良いって思われちゃうでしょ!?離れなさいよ!」
「アンタが離れなさいッ!!」
「アンタが離れるのよッ!!」
僕を尻目に途端にケンカを始める咲姫さんと華音さん。困ったなぁ。とりあえず止めてみよう。
「まあまあ、仲良くしましょ…」
「「アンタは黙ってて!!」」
「…はい。」
僕、情けないっす。漢として。もう自然に収まるのを待つしかないですね。
しょげてしまっている僕を御構いなしに二人は罵声を浴びせ合っている。
その間に自己紹介してみたいと思います。僕の名前は那秧。SHINEのドラマーで、ついこの前ライブデビューしました!ドラム始めてまだ半年くらいですけど、これからもよろしくです!
今日は戦国スピリットの予選会に咲姫さんと華音さんと三人でチーム組んで出場します。頑張りますので応援して下さい!
それと鋭士さんは今日も出番がないらしいですので、僕は上手く話が出来るか分からないですけどこっちの方も応援よろしくです!
エヘヘ、でも一度こうやって話してみたかったんですよ僕!主役の座、鋭士さんから奪っちゃおうかな?…嘘です。ちょっと言ってみただけです、ハイ。
駅から電車に乗ってマリンフロンティアに到着した僕達。予選会場はフロンティア内のイベントドームを貸し切って特設されていた。ドーム内は奥の方の円形のステージ上に対戦マシンが設置されていて、その周りにで傍観出来るようになっていた。
ドーム内の手前ではゲーム会社のスポンサーなどが仮設店舗でゲームやグッズ等を販売している。
今日はゲストでゲームキャラクターの声優さんも来ているらしい。だから会場は休日ということも重なって沢山の人で賑わっていた。ざっと見て800、900、1000人くらいはいるだろうか?
「ほぇ〜!?すっごい人!」
「大会っていうか、お祭りみたい!」
「受付までまだ時間がありますから、その辺でも見ますか?」
会場の熱気に圧倒されている二人に呼び掛ける。
「そ、そうね。アタシ、グッズを見たいな!」
と、咲姫さん。
「アタシも♪」
と、華音さん。
「真似しないでッ!!」
と、二人。はぁ〜…。お願いですからケンカだけはしないで下さいね?
それから二人はグッズを中心にTシャツやストラップ、さらにはフィギュアまで購入していた。
僕も何か買おうかな?
「じゃ〜ん!どうナオ?似合ってる?」
そこへ、購入したTシャツに着替えてきた咲姫さんが自慢げにポーズをとっている。黒字のシャツに戦国スピリットのロゴが燃えているのがカッコいいっす!そして可愛い。
「似合ってますよ!」
「ナオちん、アタシはどう?」
同じくTシャツに着替えてきた華音さん。こっちは白地に戦国スピリットのロゴが燃えていた。うん、これもなかなかいいです!そして、やはり可愛い。
「似合ってますね!」
よし、僕もまずはTシャツを買おうっと。
「黒にしようかな…。」
「ちょっと!黒よりも白の方が良いに決まってるでしょ!」
華音さんが白を奨めてくる。
「じゃ、じゃあ白で…」
「はぁ!?何言ってんの?黒の方が絶対いいからっ!」
咲姫さんは黒派だそうです。
「絶対白だって!」
「いーや、黒よ!」
「白!」
「黒!」
「「むぅぅぅっ!」」
はぁ〜、またですか…。仕方ないですね。
「灰色のTシャツひとつ下さい!」
「「こらぁぁぁッ!!」」
それをトイレで着替えて二人に見せてみる。僕も似合ってますかね?
「さっすがナオッ!似合ってるぅ♪」
「そうだね!魂入ってるよ、ナオちん!」
へへ、良かった〜。灰色があって助かりましたよ。正直、白と黒だけだったら選べませんでした。……魔法だったら断然白ですけど。
そんなことをしているうちに参加受付開始の時間になっていた。
僕達は受付員の指示に従ってエントリーする。今回エントリーするチームはどうやら18チームらしい。中には優勝候補チームも参加しているようだった。
それと対照的にまるで即席で作ったような僕達のチーム。咲姫さんはそこそこの経験もあって腕もいらしいですが、華音さんは全くの未知数でどの程度の実力かは不明です。でもそんなのどうでもいいんです。こうして僕なんかにこんな可愛い女の娘が付いてきてくれるなんて…
「ほらっ、ナオッ!な〜にボーッとしてんの?置いてっちゃうよ?」
「ナオちん、早く早くっ!」
………何か、僕が付いていってる気がしますけど、ま、いいかな。ちなみに僕は戦国スピリット、得意ですよ〜♪前回優勝してますしね!
『さあ、みなさん大変お待たせしました!戦国スピリット予選会を行います!前方オーロラビジョンにトーナメント表を表示しますので、エントリーされたチームは確認して下さい!』
司会のスタッフが会場の参加者に呼び掛けた。
「キタキタキタキタキター!!」
「さあ、最初のチームはどんなヤツら?アタシがコテンパンにノシてやるっ!!」
テンション高いっすね、華音さん、咲姫さん。
オーロラビジョンに表示されたトーナメント表には各チームの対戦チームが一目でわかるようになっていた。
僕達の最初の相手は、“納豆定食豚汁付き”というチームだ。ちょっと変な名前だけどいつも上位に残る強豪チームだ。ちなみに僕達のチーム名は“きゅーてぃーろりぽっぷ”。誰が名付けたかは想像に任せますね、ハイ…。
「僕達は第3試合だからそれまで見物ですね。」
「高みの見物といこうじゃない!」
「ま、雑魚同士の小競り合いになんか興味ないけどね!」
二人ともその自信は一体どこから来るんでしょうか?
対戦をこうして見ていると結構勉強になることとか、感心することが多々ある。強い相手のキャラの動かし方を見てハッとする事なんかしょっちゅうなんですよ僕。
最初の相手チームに勝てるかな?
色々と見ているうちにあっという間にきゅーてぃーろりぽっぷ対納豆定食豚汁付きの対戦時間になってしまった。気合い入れて行きますか。
『さあ、お次は納豆定食豚汁付きvsきゅーてぃーろりぽっぷの対戦です!ご存じ納豆定食豚汁付きといえば他大会でも入賞しているお馴染みのチームだ!今日はどんなアツいスピリットを見せてくれるのか!?期待してくれい!
対するは今回初登場きゅーてぃーろりぽっぷ!なんとカワイイ女の子二人のスピリッターが個人戦最強の男“NAO”をフューチャリング!女だからってナメてると痛い目みるぞ!さあ、いざ決戦の時だ!』
「最初は誰から行きますか?」
「もちろんアタシから!」
先陣を切る咲姫さん。
「アンタ負けたら許さないからね!」
「アタシを誰だと思ってるの華音。負けるどころか全員叩き潰してやる。アンタの出番はないから黙ってそこで見てなさい!」
「えっ、エラソーに!ま、精々頑張るのね、咲姫。」
なんて傲慢な態度でしょう!?まあ、それでこそ咲姫さんですけどね。
咲姫さんはいつもの森蘭丸をセレクトした。あ、彼女は“ランちゃん”って呼んでます。知ってますよね?
対戦相手は大友宗麟を使ってきた。つ、強そうです。大丈夫かな、咲姫さん?
〈ラウンドワン…ファイト!〉
のっけから多彩に技をつないでコンボを稼ぎにいく咲姫さんだったけど、相手はあの納豆定食豚汁付き。ガードが堅くてなかなかダメージを与えられない。そうしているうちにランちゃんは宗麟にジワジワと削られて一本取られてしまった。典型的な“待ち”の戦いだ。
「こらぁッ、咲姫っ!何やってんの!」
華音さんがまくし立てる。
「うっさい!ちょっと油断しただけよ!」
咲姫さんは華音さんを睨んで叫ぶ。まあまあ、落ち着いてくださいね?
〈ラウンドツー、ファイト!〉
今度の咲姫さんはヒット&アウェイの当て逃げ作戦をとる。ちょっと卑怯な感じだけど、立派な戦法だ。彼女はなんとか無難に一本を取った。
「よっしゃあ!」
「ナイスです、咲姫さん!」
「まだ一戦あるよ!そのまま勝っちゃいなさいッ!」
〈ファイナルラウンド、ファイト!〉
勢いに乗った咲姫さんは攻めの体勢で一気に叩くが相手も攻めの体勢だ。お互いに体力が削られていく。マズいっすよ、今超必食らったら…。
「こらぁッ、ガードしろ、ガード!」
華音さんが叫ぶ。確かにガードが甘いですね。
そう思ってたら宗麟が超必殺技を発動させた。“妖炎魔導・灼陣”だ。終わったかな?しかし…
オオー!!
会場がどよめく。なんと咲姫さんは超必を躱してお返しにランちゃんの超必殺技“真・多段斬烈波”を宗麟に食らわせた。
〈ケイ、オー!〉
「「やったぁっ!!」」
思わず華音さんとハイタッチです!
「郁斗直伝の超必返しよ、エヘ♪」
ペロリと舌を出してVサインする咲姫さん。超カワイイっす!
あのノリなら本当に一人で勝っちゃうかもしれないと思ったけど、二回戦で咲姫さんは呆気なくやられてしまった。ハハ…そう簡単にはいかないですよね。
「ぐぅぅっ!負けたぁ…。」
「ま、アンタにしちゃよくやったよ!」
「ドンマイです、咲姫さん!」
「次はアタシが行くね!」
「華音、相手強いよ、頑張って!」
「任せなさいって♪」
華音さんは笑顔でウィンクしてステージに上がって行った。相手は前田慶次だ。華音さんのキャラは………ジャンヌダルク!?か、隠しキャラじゃないっすか!?
説明しましょう。戦国スピリットには主に日本の戦国武将が登場するんですが、隠しキャラなるものがあって、異世界の別時代のキャラクターも多数います。ジャンヌダルクもその一人で、他にフビライ=ハンや曹操、さらには超洲力也なんかもいたりする。
話を戻しますね。華音さんはジャンヌダルクの武器“ツヴァイハンダー”で慶次の“朱槍”を鮮やかに翻弄する。超必殺技“オルレアン・フレイムノヴァ”で華麗に勝利していく。彼女はあっという間に2本取ってしまった。つ、強いです、華音さん。
「傾き(かぶき)が甘いね♪」
オオー!
沸き上がる歓声。
「ちぇっ!ジャンヌダルクなんて場違いキャラじゃん!」
「まあまあ、一応ゲームキャラですから。」
悪態吐く咲姫さんをとりあえずなだめます。でも強いですよ華音さん。ひょっとしたら僕より強いかもです。
「さあ、最後は誰?フルボッコにしてあげるっ♪」
華音さんやる気満々ですね!その調子で勝って欲しいです。
最後の相手は上杉謙信だ。毘沙門天の槍がカッコイイっす。僕のお気に入りキャラの一人ですね。
〈ラウンドワン、ファイト!〉
対戦が始まってから気が付いたんですが、謙信の毘沙門天…リーチが長いです。ジャンヌのツヴァイハンダーもそこそこ長さがありますが、どうやら向こうの方が一枚上手のようですね。ジャンヌは少しずつ体力を削られているようです。案の定一本目は長期戦で華音さんはやられてしまった。
「こらぁッ、華音っ!何やってんの!」
咲姫さんが怒鳴る。
「うっさいなぁ!ちょっと油断しただけだっつーの!」
あれ?どっかで聞いたようなセリフ…気のせいかな?
〈ラウンドツー、ファイト!〉
今度は相手の懐に飛び込んでの接近戦に持ち込む華音さん。これは相手のリーチが長ければ有効な戦法です。順調にコンボをつなげて謙信にダメージを与えるジャンヌ。そしてついに…
〈ケイ、オー!〉
勝ったのは………謙信!?
残念ながらジャンヌはカウンターの超必殺技“神・飛翔燕雷斬”をまともに食らってしまいまさかの敗北。いい所までいったのに残念です。
「はぁ〜、負けちゃった…。」
「ドンマイです!」
「そうよ、アンタなかなかやるじゃない!アタシびっくりしちゃったよ!」
咲姫さんが興奮して拳を握る。
「そ、そう?ありがとね!」
顔を赤らめて華音さんが応えた。うんうん、女の子同士の友情ですね!僕、今…感動しています!
「勘違しないでッ!いいこと華音?アタシのランちゃんの方が全然強いからッ!」
「はぁ!?何言ってんの?アタシのジャンヌの方が一本取られてないからッ!アンタよかアタシの方が強いのッ!」
「なによッ!あんなセコセコした戦い方してどの口が言ってんだか!」
「なんですってぇ〜!!」
………誰か、僕の感動を返してください、お願いします。
「じゃあ僕、行ってきますから…仲良くして下さいね?」
「負けたらアタシにテキーラ飲み放題奢ってよ!」
「じゃあアタシはホテルのバイキング!食べ飲み放題付で!」
勘弁して下さい。
「ランちゃんとジャンヌの敵は僕が取ります!」
「いや、正確に言えばジャンヌだけだから、ナオちん!」
「こらぁッ、余計な事言うな!」
「なによ咲姫?アンタの敵はアタシが取ったのよ?感謝しなさいよね!」
「ぐぬぬぅ〜!」
やれやれです。
さて最終戦です。やっと僕の出番ですね!待ちわびましたよ!僕は武田信玄をセレクトします。上杉謙信の相手といったらこのキャラしかいないでしょうね(笑)じゃあ、いきます!
あ、ちょっとおしゃべりしながらでいいですか?その方がテンション上がりますので。リラックスして聞いていて下さいね。
「為せば成る、為さねば成らぬ成る業を 成らぬと捨つる人のはかなき。」
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり。」
「渋柿は渋柿として使え。甘柿も渋柿も、ともに役立てよ。継木をして甘くすることなど小細工である。」
「勝敗は六分か七分勝てば良い。八分の勝ちはすでに危険であり、九分、十分の勝ちは大敗を招く下地となる。戦いは五分の勝利をもって上となし、七分を中となし、十分をもって下となる。五分は励みを生じ、七分は怠りを生じ、十分はおごりを生ず。」
「風林火山:疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し。」
〈ケイ、オー!〉
あ、れ…?
これだけ名セリフを込めて渾身に戦ったのに、僕はあっさりと負けてしまった。それも2本とも。だ、ダメじゃん!?
「もう一押しこそ慎重になれ…ですね。」
何やってんだろ僕は。とぼとぼとステージを降りた自分。
「まあまあ、ナオ。今日はパァッと飲もうよ!アンタの奢りで♪」
「僕は飲めません。」
「じゃあバイキングでいっぱい食べようね!ナオちんの奢りで♪」
「僕は減量中なので…。」
僕、今すごくショックです。二人にカッコイイとこ見せようとして……じゃなくて、一番得意なゲームであっさりと負けてしまった事が大ショックです。しかもベラベラお喋りしながら…すごく恥ずかしいですよ。さっきの文は二度と読まないで下さいね?
「こらぁナオッ!いつまでしょげてんの!元気だせぃッ!アンタそれでも漢かッ!○○○ついてんのっ!?」
「そうだよナオちんッ!いつまでもグズってるとナオちん○って呼んじゃうからねッ!!」
ざわざわ…!!
なっ!?何言ってるんですか!?…もうっ、二人とも変な事ばっかり言ってッ!!
「鋭士さんに言いつけてやるぅぅぅッッッ!!!!」
「「何故にッ!?」」
僕は二人から逃げるようにその場を後にした。
はぁはぁはぁ………。
あーあ、何でこうなるんだろ。情けないっす。僕は会場外のベンチでへたれ込んで座った。
「あっ、いたいた!なーにやってんの!」
「すみません、取り乱してしまって。」
見上げると困った顔をした咲姫さんが、仁王立ちで僕を見下ろしています。
「華音さんは?」
「あの子は反対側よ。それよりナオ、アンタってヤツは…情けないよ。」
「何とでも言って下さい。」
「…ナオちん○。」
「すみません、やめて下さい。」
咲姫さんは溜息ついて僕の隣りに座った。フワリといい香りがする。
「たかがゲームじゃん!また次頑張ろうよ!めそめそしているナオは嫌いだぞ!」
「めそめそしてませんよ!」
「してるよ!」
「してません!」
「してる!」
「してました!」
「認めるんかいッ!?」
ぷぷぷ!何かおかしいですね!
「やっぱナオはナオだよね!鋭士とは大違いだよ。」
「何がですか?」
「いーの!気にしないでっ!」
「気になりますよ!」
「いいって!」
「言って下さいよ!」
「もうっ、しつこいぞナオっ!」
咲姫さんは赤くした頬をぷうっと膨らませて僕と目を合わせた。そんな目で見ないで下さい!可愛い過ぎです、咲姫さん!
…はっ!今なら言える。ちょうど二人っきりだし、お互い急接近中だし。
僕は前々から暖めていた気持ちを彼女に伝えるべく勇気をふり絞った。
「咲姫さんッ!!」
…ちょっと声が大きかったですかね?つい力が入ってしまいました。
「な、なに?いきなり?」
聞いて驚かないで下さいよ?僕は、僕は…
「僕は咲姫さんのことが!」
さっきから顔を赤らめたままの咲姫さんに僕は突撃をかける。しかし…
「あぁぁッッ!!んなとこにいたッ!!」
「ゴホッ!ガホッ!!苦し…。」
まさかの華音さん登場で、僕はタイミングよく吸っていた息をさらに吸い込んでしまった。
「ちょっと!?ナオっ?大丈夫?」
「なーにむせてんのナオちん?」
はぁはぁ…喉が痛いです。
「んで、アタシの事が何だって?」
「いや、その……す、すごくカワイイです。」
結局このコメントになってしまいました。
「はぁ!?当然でしょ!」
「はい……。」
なんて僕はダメなんでしょう。
「はぁ!?何言ってんの?咲姫なんかよりアタシの方がずうっと可愛いからッ!」
「ふざけんな!アンタ目腐ってんの?眼科逝けば?」
「アンタこそ精神科逝きなさいよ!そして二度と帰ってくんな!」
「何ですってぇ〜!!」
「何よッ!!」
はぁ〜、僕もう帰っていいですか、鋭士さん?
結局、僕達は納豆定食豚汁付きに負けたのちに、頃合を見て会場を後にしました。その後マリンフロンティア内のダイニングバーにて、テーブルバイキングの飲み放題付プランを咲姫さんと華音さんに盛大に奢ったのは言うまでもないです。
バイトしないとなぁ……。




