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6章:青息吐息なる舞台に上がる瞬間 4

それは、少なくとも俺にとっては経験した事のない瞬間であった。だが不思議と緊張感はなく、むしろリラックスして集中していた。楽屋から進んだ先には一体どんな世界が待ち受けているのだろうか?一体どんなストーリーが待ち受けているのだろうか?ただ、俺の胸は高まる鼓動で爆発してしまいそうだった。


今日参加のバンドは5組で出場順はアミダくじで決められた。その結果なんと俺達SHINEは5番目、つまりはトリを飾る事になった。それを考えたらちょっと緊張してきたかな?ちなみに今は聖・ANNALISEが演奏している。華音と大輝、それと俊鷹達のバンドだ。俺達は楽屋で待機して聖・ANNALISEの演奏を聴いていた。


《みなさんこんばんは!!聖・ANNALISEですっ!!》


ワーッwww!!


どうやら一曲目が終わってMCに入ったらしい。ベースヴォーカルの華音が話し始めている。


《アタシ達の今日のライブに来てくれて、みんなありがとうーッ!!》


ワーッwww!!


《まずはメンバーを紹介しまぁす!まずはトッシーからッ!》


《ども、ギターのトッシーです!いい演奏が出来るように頑張ります!宜しくです!》


ワーッwww!!トッシー!


何か盛り上がってんな。


《次に大輝!》


《ドラムの大輝です。…喋るの苦手なんで次へ。》


ワーッwww!!


《はぁ、ちょっとは喋りなさいよッ!で、最後はアタシ、無敵で最強なベース&ヴォーカルの華音ですッ!みんなッ、よろしくねッ♪》


ワーッwww!!か・の・ん!か・の・ん!


アイツ結構盛り上げんの上手いな。俺は楽屋に流れ込んでくる聖・ANNALISEのメンバーの声を聞いて感じた。


「なんかあの華音って娘、咲姫さんに似てますよね?」


那秧が俺にそっと囁いた。


「似てるも何も、気持ち悪いぐらいシンクロしてるよ。姉妹かってぐらいにな。」


まあ、那秧。性格だけならあのトッシーもまるでお前そっくりだがな。


《それじゃ、次いきます!“FLAVOR LIFE”!!》


ワーッwww!!


「でも、ベース弾きながら歌っちゃうんだからすごいわ華音ちゃん。私も歌ってみようかな?」


「あ、オレ聴きたいな、ノッカの歌。今度から練習してみよっか?」


帆乃風が感嘆しているところに郁斗が絡む。


「そうね。歌えるようになって、“私の歌を聴けぇー!”なんて言ってみたい…。」


帆乃風さん、それは某アニメのアレですか?“スカルなんとか”は出てきませんよね?


「ところでサッキー、ステージドリンクとかは用意してる?」


「えっ!?ああ、うん。み、水がある。」


郁斗にそう応えた咲姫に俺は不審を抱いた。だっていつもなら“テキーラ♪”とか言うはずなんだよ、コイツは。


「ほらよ、水。」


「ありがと…?」


咲姫に水のペットボトルを渡す。いや、渡さなかった。直接ではないがそのペットボトルを介してはっきりと感じ取れた。手の震えを。


「らしくないな。手のひらに“人”って書いて飲み込めば良いらしいぞ?」


「はぁ?何ソレ?バカにしてんの?お、大きなお世話よっ!」


「別にしてねーよ。やっぱヴォーカルってプレッシャー感じるもんな。お前のその反応は間違ってないぜ。」


「……。」


「でも大丈夫だ!俺達今日まで頑張ってきたろ?お前も頑張ってやってきたの俺は知ってんだぜ?お前なら出来るって俺は信じてるぞ。だから、心配すんなよ!」


俺は今度はペットボトルを渡した。


震えは止まっていた。


「誰に言ってんのソレ?アタシがSHINEのヴォーカリスト咲姫だって知ってのセリフ?もしそうなら無礼を詫びなさいっ!」


咲姫は悪戯な微笑を浮かべて俺に向けた。そうだよ、それがいつものオマエだよ。


「へいへい、それは失礼しました咲姫さんよ。」


「鋭士!」


「ん?」


「アリガト!」


「ああ、水な。」


「ばか。」


ま、憎まれ口が叩けるくらいならとりあえず大丈夫そうだな。


「SHINEさん、そろそろスタンバイお願いします!」


気が付けば聖・ANNALISEの演奏は終わっていて、メンバーも下がっていた。


「ドラムとキーボードのセッティング入ります!」


「マイク2追加!」


機材の入れ替えが慌ただしく行われる。


「みなさん、頑張って下さい!僕達は後ろで応援してますよ!」


演奏を終えたトッシーが俺達に声を掛けた。


「おう、お疲れさん!サンキューなトッシー!」


「では僕は向こう側にいますね。」


トッシーはスタッフの邪魔にならないように楽屋の後ろ側に下がった。


「どうだった?アタシの歌?最強だったでしょ?」


後ろから唐突に話しかけられて俺は振り向いた。華音だ。


「ん、ああ。さ、最強だったよ。」


最強の意味がよく分からんがな。


「ま、ステージはアタシが盛り上げておいたから感謝するのねッ!」


…はぁ〜、全くこの娘もか。


「それは違う!今のステージはまだまだテンションが足りないねッ!だからアタシ達がココから盛り上げんのッ!所詮今はまだ中程度なのよッ!」


咲姫が横槍を入れる。オイオイ、オマエは出てくるなよ。どうしてこうわざわざぶつかりに来るんだかコイツは!

どうせまた言い争いが始まるんだろうなと思っていたが…


「ふーん、ま、精々頑張りなよ?えぇと…咲姫。」


「ふふ、ありがとね、華音。」


あ、れ?絶対ケンカになると思ってたんだが…?この二人ハイタッチまでしちゃって何があった?


「ホラ鋭士、何してんの?行くよ!」


「あ、ああ。」


女の友情を見せつけられていた俺の腕を咲姫が引っ張る。


「いよいよだね!今日はみんな楽しんでいこう!」


「何だかワクワクしますね!」


「私は何だかドキがムネムネする。」


「それを言うなら胸がドキ×2だろ?」


「じゃ張り切っていっくよ〜!」


おーッ!!


俺達は円陣組んで声を合わせて気合いを入れた。


「SHINEさん、時間です!演奏をお願いします!」


スタッフからGOサインが出る。


「じゃ打ち合わせ通り、ナオちん!!」


「お先です!」


那秧は片手を挙げて一人ステージに向かう。


打ち合わせってのは、俺達の一曲目は特殊な演奏にするって事。ドラム→ベース→キーボード→ギター→ヴォーカルの順に演奏を開始していく事になっている。ま、オープニングを長くとりたかったからこうなったんだが。


那秧のドラムサウンドが楽屋に響いてきた。おっぱじめたな!


「次は私が行く番ね!」


帆乃風がフワリと髪をなびかせて出て行った。メンバー内唯一のライブ経験者な彼女。足取りはかなり慣れている感じだった。


そしてすぐにベースサウンドが加わる。


「さぁて、オレの出番だね!んじゃまた!」


郁斗は手をヒラヒラさせてステージへと出る。まるで緊張感のない、でもそこが彼の強さなのかもしれない。


間もなくシンセサウンドが加わったところで、俺の番。


「じゃ、咲姫、しっかりな!」


「任せなさいって!早く行きなさいよっ!」


「ああ!」


俺は後ろを振り返らずにステージへ飛び込んだ。


ワーッwww!!


凄い歓声。


そして熱気!


那秧のドラム、帆乃風のベース、郁斗のキーボードの音の中、俺は愛用のギターを手に取る。


そして俺の右手のピックが6つの弦に吸い付くように弾かれる!


攻撃的なディストーションのギターサウンドが鳴り響く。


や、ヤバい!これはヤバい!メチャメチャカッコいいっす!カッコよ過ぎて悶え死にそうだ!

俺は全身がわなないて震えそうになった。


ワーッwww!!


と、そこで咲姫が楽屋から出てきた。咲姫はくるりと回ってマイクを手に取った。その合図が真のライブスタートだ!


「いくよッ!“Lazy my heart”!」


“Let's go come on!

(What's up ?)

Something talk to me

I say…

(Yeah !!)

結局言えない もどかしいよ


Maybe till next cheak on

(Hi-Hi !!)

鈍感な純情 気付かないフリ


控えめだけど ワガママな

熱いheartを 抱いて待ってる

だから今日こそは 連れ去っちゃってよ daring !!


伝えたい 今 コノ気持ち 全身全霊で

繰り返す毎日に さあShoot it break it right now

だけどアタシ少しだけ 強くなれた気がする…カモ

でも まだ言えない Lazy my heart ”


ワーッwww!!


ふう、出だしはなかなか良かったな。

俺はとりあえず安堵した。


「みなさんこんばんは!SHINEです!」


ワーッwww!!


咲姫が喋りだす。お得意?のMCだ。


「多分みなさん今日は何度も聞いていると思いますけど…、」


「アタシ達のバンドを見に来てくれてありがとうー!」


ワーッwww!!


「ここでメンバーの紹介も兼ねて、今日の意気込みから聞いてみようかなっと思いますっ!」


「まずは…ナオからいってみようっ!」


ええっ!?いきなり那秧に振るのかよ!?言っとくが那秧はライブ未経験なんだぞ?そこは普通帆乃風か郁斗だろ?


「大丈夫ナオ?緊張してない?」


「ぼ、僕は大丈夫です!た、多分!あ、ど、ドラムの那秧です!ライブ初めての19歳漢です!きょ、今日はよろしくです!」


ワーッwww!!ナオーッ!


案の定那秧は少々緊張ぎみだった。頼むぜオイ?


「次は郁斗!」


「どうも、キーボードの郁斗です!」


「どう?バンドに仕事で疲れてない?」


「これだけ多くのお客さんを前に、特に女の子達を前に疲れたなんて事言ってられないさ!オレの演奏は永遠に鳴り止まないのさ、キミ達のハートを掴むまでは。」


キャ〜!郁斗さ〜ん♥


ちゃ、チャラッ!そして何だこの黄色い歓声は!?そうか、前列の客はきっと郁斗の親衛隊だな?いかんせん皆髪型がどことなくクリクリ仕様になっている気がする。


「…あっそ。じゃ次は紅一点の帆乃風!」


いや、紅一点じゃないだろ。


「こんばんは!ベースの帆乃風です!見ての通り、紅一点じゃありませんっ!」


ギャハハハハ!


「帆乃風はSHINEのリーダーなんだよね!このバンドはどう思っているの?」


「凄く好きです(ナオ君が)!」


ワーッwww!!ほ・の・か!ほ・の・か!


チラッと斜め後ろの那秧を見てそう言った彼女。絶対勘違いしてると思う。そして、居酒屋“天地海”のファンが結構集まっているのが確認できた。


「そしてこの影薄そうなのが鋭士!」


ワーッwww!!エージー!


「悪かったな、影薄くて!」


ハハハハハッ!


「ゴメン、ゴメン!あっ…んじゃ、照明さーん!鋭士にライト集中でお願いしまっす!」


咲姫がそう言った途端、俺にスポットライトが四方八方から襲いかかった。やめろ、くそ、眩しい!


「え〜、ギターの鋭士です。今日は忙しい中みなさん来てくれて有り難…ぶわっくし!!」


ガヤガヤ!?


「えっ!?鋭士風邪引いた?」


「眩しいんだよッ!!わざとやってるんかコレ!?」


ギャハハハハハッ!


客席は大爆笑だった。

俺達ライブハウスで演奏してるんだよな?これじゃあまるで漫才みたいだよ。


《えいちゃ〜ん!どんま〜い!》


その時客席から聞き慣れた声がした。舞だ。統哉先輩とチャリ部の部員達と一緒だった。へへっ何か嬉しいぜ!


《鋭士ーッ!咲姫ちゃーん!》


おッ!真行発見!しょうがねぇ、カッコいいとこ見せてやるか!

俺はそこでギターソロのワンフレーズを弾く。


ワーッwww!!鋭士ッ鋭士ッ鋭士ッ!


客席からの鋭士コール。ふっ、決まったな。


《一発ギャグやれーッ!》


げッ!?サウンド・コアのドラムフロアの参家さん!?やはり来てたのか!


「じゃあここで鋭士が一発ギャグやりま〜す!」


バカッ、そんなこと振るな!

でも振られたからにはやるしかないのか?…仕方ないっ!


「細かすぎて伝わらないモノマネ。」


オオーッ!!


「ズボンのチャックが開いている事に気付いて、閉めようとしたら実は開いてなかった時の“松岡修造”。」


ギャハハハハッ!!


………。(チャックを気にして)

………。(さりげなく確認)

………。(閉めようとして開いてないのに気付く)


「最初からちゃんと閉めてたんだよ〜!!(松岡修造風に)」


クスクス…


…何この反応?めっちゃ恥ずかしいぜ!?つーか郁斗、消えてしまいそうな音で“G線上のアリア”を弾くのはやめろ!


「何ソレ?くっだらなッ!!」


「オマエがやらせたんだろがッ!!」


ギャハハハハッ!!


「え〜、大変見苦しいものを見せちゃってすみませんでした!」


覚えとけよ、咲姫ぃ!!


「じゃ最後はアタシ、ヴォーカルの咲姫!」


ワーッwww!!さ・き!さ・き!さ・き!


「声がちいさぁーい!!」


さ・き!!さ・き!!さ・き!!さ・き!!


「やれば出来るじゃんっ♪」


なんつー態度だよコイツは!?


「アタシを一言で言うと、容姿端麗!品行方正!頭脳明晰!そして容姿端麗!」


いや、一言じゃねぇだろ?そして何故に容姿端麗を二回言った?てかそれはともかく、俺はオマエに品行方正と頭脳明晰を感じた事は一度もない。そんな発言してると敵が増えるだけだぜ?


「…を目指しているっ!!」


あーそうかよ。


「ということで、よろしくでーす♪じゃ、次の曲!」


「“Shine”!」


郁斗のシンセサウンドから始まって、俺がギターを掻き鳴らす。そこに帆乃風のベースが唸りながら被さり、那秧のドラムがビートを生む。各パートが重なりあって一つになったところで咲姫が歌い出す。


“The night is coming down

And moon is rising now

A crazy time is in this way ready?

Your feeling voice & sound

Get you beat on inside your heart

We are jumping over the night going great time


Feelin' in our sound

Feelin' it the moment

Let it be now do it now

Singing wherever you are


SHINE!

It's like a sun & moonlight

Making up mind this place & times

Your magic try to burning up for my heart

SHINE!

It's like a flame & icelight

Moving up step this place & times

Your magic try to burning up for my heart”


エンディングでは俺と帆乃風と郁斗で思いっきりヘッドバンキングした。

これがまたノリノリで気持ちいいんだよな。


ワーッwww!!


それから俺達は2曲やってライブを締めた。とうとう終わったかと安堵していたら実はまだ続きがあった。


アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!


まさかの客席からのコールに、メンバーは顔を合わせた。


「アンコール?」


「あんこ売る?」


約1名違うヤツがいるが。


アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!


「SHINEさん、アンコールお願いできますか?」


あまりの客席のヴォルテージに圧倒されたスタッフが俺達に尋ねた。


「どうする郁斗?やる?」


「もうあの曲しか残ってないけど?やるかい?」


「僕はやりたいですね、あの曲。」


「ナオ君がそう言うなら私も!」


ホントにやるのかあの曲を?

俺が考えあぐねていると、ふと咲姫がいないことに気が付いた。どこ行ったんだアイツ?


「あれ?サッキーは?」


「さあ?さっきまでいたんですけど…。」


「アタシはここよ!」


突然後ろから声がして振り向いたらそこにいたのは…!?


「何やってんの?オマエ?」


両手を腰にあてて仁王立ちしているメイド服姿の咲姫がそこにいた。


「衣装チェンジよ!」


そんなこと聞いてねえ。どうやらコイツはアンコールを予測してたかの如く、別の衣装を準備していたようだ。ちなみにそのメイド服は以前マリンフロンティアで購入したものだ。


「咲姫さん、似合ってます!」


「咲姫、あなたいつの間に?」


「アンタらこそ何してんの?さ、アンコールよ!ステージに出た出た!」


「じゃ、行こうかエー坊。」


「へいへい。」


咲姫の強引な行動で俺達はアンコールのステージへと向かった。


アンコール!!アンコール!!ワーッwww!!


俺達の再登場に再び歓声が上がる。


「みなさんの声援にまたまた登場しちゃいました!」


ワーッwww!!カワイイーッ!!


「えっ?もう一度?」


カワイイーッ!!


「えへへ~、カワイイーッだって~。アタシ解散しちゃいそう。」


ワーッwww!!


アホだ、コイツマジアホだ。


「今日は本当にありがとう!!この曲でアタシ達のファンになってくれたらなっていう気持ちで、歌っちゃいます!!いっくよ~!!」


「“メイド in heaven”!!」


“マジメ君 チャラ男君 今日のゲストはどんなヤツ?

でもでもトビラの向こう側で 待っているよ とりあえず

熱血君 うっかり君 どんなヤツでもいい かまわない

ココに来たからには誰だって 皆 ご主人様♥旦那様♥


絶対領域 占領無理無理 不可能ね

Wait now でも Restless

うーん 前髪キマんない いっそパッツン切っちゃおか?

いや その前にネコ耳付けちゃおか?


メイド in HEAVEN

出身地はお花畑 蜜の香り

メイド in HEAVEN

胸はちょっと小さいけれど アタシ…

脱いだら意外と スゴイかも!


だからココにおいでよ きっと胸キュンしちゃうから!!”


ワーッwww!!咲姫!!咲姫!!咲姫!!



                      ☆☆☆



「みんな、お疲れっ!どうだった?今日のライブ。」


パサパサとメイド服の胸元を扇ぐ咲姫。


「最高でしたよ!」


那秧も汗をタオルで拭っていた。


「今日のライブでオレのフェロモンビームに磨きがかかっていたのは言うまでもない。」


言わなくて良いよそれは。


「私はみんなと一緒にライブ出来て良かった。もう、思い残すことはないわ。」


何その意味深なセリフ?


「俺も凄く良かったよ!みんな、これからもまたよろしくな!」


「うん、アタシこのメンバーに…みんなに出会えて本当に良かったって思ってる。これからもよろしくね!」


咲姫のその屈託のない笑顔に、その場にいた皆は心動かされたに違いない。俺は彼女のそのはにかんだ顔を見て、この笑顔がいつまでも続けばなと思わざるを得なかった。


「それじゃ、打ち上げにでも行きますか!」


「あっ!いいわね!」


「何処に行きますか?」


「アタシ天地海がイイ!」


「おっ、奇遇だな!俺も天地海に行きたいと思ってたんだよ。」


「じゃ、決まりだね!今日はオレが奢るよ。」


「僕が奢りますよ!」


「私が奢るわ!」


「じゃあ、俺が…」


他4人:「どーぞ、どーぞ!」


おいっ、オマエらぁ!




こうして鋭士が立ち上げたバンド“SHINE”の初ライブは大成功で幕を閉じた。このとき彼らの音は言葉に出来ない何かを生み出したのかもしれない。だが、彼らの音はまだ足りない新たな何かを求めて紡いでゆくだろう。一体その先に何があるのか?それは誰にも分からない。


第二部:挑戦の章 -完-

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