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三話!――馬鹿が馬鹿である意味

ちゃらっちゃっちゃっちゃ〜


こんにちは。N♪N♪Nの時間です

今日はスタジオに素敵なゲストを御呼びしました〜どうぞ!


ん?何してんだノイン

もう典時、本番中なんだからしっかりしてよ

何言ってんだ。カセットテープに録音なんかして。さっさと片付けろ

きゃ〜何暴露ってるの!もう一旦CM

「ふんふふっふふ〜ふふふんふっふ〜♪」


よく分からない鼻唄を奏でながら超絶御機嫌なノインはスキップで歩いている

その後ろを歩くのが俺である

三日に一度の買い物も今では板につき、必要ない物は買わなくなった


「ああぁ!見て見て典時!そこの食品コーナーの食い倒れ人形の帽子が3000円だよ!」

「そうか、それはよかったな」

「買ってよ典時〜〜」

「却下だ」

「ねぇねぇ典時〜」

「駄目だ」

「うわぁぁぁ〜ん。典時のばかぁぁ。ケチィィィ!ドケチィィ!どうていぃぃぃぃ」

「あぁ?」

「いやぁぁぁぁぁ!典時マジギレぇぇぇ」



食肉コーナーで周りの視線を気にする事なくほっぺたをツネってやった




「ママ〜。あれ何してるの〜?」

「しっ!ゆみちゃん。アレは過激な愛情表現なのよ」

「あぁ?」

「ママ恐いよ〜!」

「行くわよゆみちゃん!早く逃げましょ」


くそっ、反射的にやっちまった。そろそろ他のスーパーに買い物移転しようかな〜


溜め息を吐きながらふと買い物籠を見ると何故か異常な量のお菓子


「『新発売!ポテポチップス・ソイソース、濃い塩味』なんだこの塩分濃度の高すぎる商品は!」

するとお菓子コーナーからノインは更にお菓子を持ってきた

「みてみて典時!こんなお菓子あったよ!『女の子が目玉焼きの半熟黄身をすする光景に興奮する大人な君の味・チェリー小少女(こうなご)!』だってさ!」

「今すぐ全て返して来い。さもなくば今後の貴様の飯は目玉焼きの白身の部分だけにするぞ」

「うわぁぁぁん。典時が最近妙に厳しいよ〜」


それはお前が日々奇怪な行動に磨きがかかって来たからだ


とまあ結局普通に買い物を済ませて帰路に着く俺とノイン


隣でスキップしながら歩くノインは『チョコスティック俺の塩!』を口にくわえている

するとノインは公園の前で立ち止まった

「ねえ典時、あれって何?あのまるっこいの何?」

ノインが指差す方を見ると小学生がサッカーをしていた

「あれはサッカーっつう競技だ。知らんのか?」

「しらな〜い。だってあたし精霊だも〜ん」

少しは勉強してからこっちに来いよ

仕方がないので俺が知ってる知識を分かりやすく教えてやった。そしてノインはというと・・・・・


「ヘイパ〜ス!」

「うわぁ、飛び入りしてきたネエちゃん無駄に速え〜!」

「大人気ねーぞあいつ」

「ホホホホホ。所詮負け犬の遠吠えよ〜」

大人げないノインは豪快なドリブルで4人抜きを決め、ゴールである二本の登り棒に向かって足を振り上げた

「くらえぇぇ!プリティカルシュートォォォ!!」

サッカーボールが三日月みたいに湾曲する豪快なシュートはキーパーである眼鏡少年に向かって凄まじい速さで飛んでいった


何故過去系でお伝えしたか。それは既に眼鏡少年の顔面にボールがクリィティカルしたからだ



顔一杯に拡がったボールは少年から離れ、少年は綺麗に吹っ飛んだ

そのまま砂場に突っ込み砂を巻き散らして少年は止まった


誰一人動く事なく眼鏡少年を見ている

主犯のノインはキーパーに弾かれたボールを再び豪快にシュートしていた

「ゴォォォォル!私の勝ちよ典時!」

俺は全力でノインの元に走り掴み上げる

そして回るジャングルジムの中に放り込んで全力で回した

「にょぉぉぉぉ!飛ぶ〜!吹き飛ぶ〜〜」

容赦なく回し続けた



大回転するジャングルジムを後にして、被害者の眼鏡少年の元に行く。幸い少年の怪我は大した事無いようで、眼鏡も傷一つないのが奇跡である


「すまん少年。お詫びにあのジャングルジムを好きなだけ回していいぞ」

「ちょょょょとぉぉぉぉ!!やめてぇぇぇ飛ぶ〜。気持悪い〜〜」

俺はノインの悲痛な叫びを無視して少年達にあげるジュースを買いに行った




5分ぐらいして帰ってくると回るジャングルジムに足だけ引っ掛かったノインがぶら下がっている


少年達が回すと遠心力に任せてノインの体が浮かび上がる

遊園地等にある回る空中ブランコを想像してもらえれば分かりやすいだろう


するとノインの命綱の足が外れたのか、道路に向かって一直線に飛来。白眼のノインが自力で蘇るとは余り思えないので仕方なく一足先に落下ポイントに走り受け止める

ノインの意識は全く無いので脇に抱えてそのまま帰った



部屋に戻ってノインをソファーに投げて晩飯を作る。今日はあっさり醤油ラーメン

具材も豊富に揃え、鰹節と煮干をベースにしたスープ。麺は極細のちぢれ麺にちょっと珍しいほうれん草を練り込んだ野菜麺


白眼のノインだってスープの時点で復活し、背中にしがみ付きながら鼻唄を歌っている


「ふふふ〜ん♪ふんふん〜♯ふふっふふ〜♭」

おいノイン、鼻唄で♯と♭はどう表現してるんだ。全く分からんぞ

「典時〜〜まだ〜〜まだまだ〜〜〜まだまだまだぁぁぁぁ?」

「ウッサイわい!少しは静かに教育テレビ見てろ!今『突撃取材!デーモン小○閣下の素顔に迫る』が放送してるから」

「マジで!」

ノインは一目散にテレビに駆け付けスイッチをON


「いや〜流石は閣下。いつも素晴らしい解説ですね」

「いやいや。それほどでもありませんよグハハハハ」

するとカメラの向こうからイーと鳴く怪人の手下ABCが濡れたタオルを持って走ってくる

『イー!イー!』

「な!なんだお前達!止めろ!顔を拭くな・・・・メイクが・・・・あぁぁぁぁぁ」

突然画面が変わりCMが流れた


「こら〜〜!肝心なトコでCM入るなぁぁ」

大変御立腹なノインはテレビを消して自分の靴下を起用に丸めて即席ボールを作り、器用にリフティングを始める


何故テレビの怒りがリフティングに変わったのかは不明だが騒がれるより遥かにましなので触れずに行こう

それから普通の食事(ノインは麺5玉が普通)を済ませ先に風呂に入る

途中お背中流しま〜すと奇言を放つノインから扉を死守し、風呂の交換を伝えると何を血迷ったのか

「よしきた〜!」

と叫びその場で上着に手を掛ける馬鹿を風呂場に叩き込んで長い一日がようやく終りを告げた

まったくいくらまな板みたいにペッタンコで子供だからって少しは常識を持って・・・・・

「有るわけないか。あの馬鹿精霊に」

深々と溜め息を吐き自室に戻って棚から読み欠けの本を取り出す。栞挟んだページを捲った瞬間風呂場でノインが叫んだ

「ヘルプ〜!ノイ〜ンヘルプ!!」

仕方なく本を閉じて風呂場に向かう

「どうした?シャンプーか何か切れてたか」

「お願い!一人淋しいから一緒に入って!」



俺は容赦無く風呂場の電気を消して その場を後にした


後ろで物凄い悲鳴が聞こえる気がしたが全力で無視した

それから数分して泣きながら部屋に入って来たノインは、膝をポカポカ叩きながら色々と言って来た。やかましいので口にスルメを突っ込んでやったら隣でおとなしくなった


「ムキュミキュ典時・・・・モキュモキュ」

「なんだ?」

「お手紙みゅきゅきゅ」

ポケットから取り出された灰色の便箋を渡してくる。差出人の名前も無く、妙に厚みがあった

「なんだこの便箋は」

「それ?天界からの手紙だよ」

「何?天界からだと」

少し用心しながら封を開ける。中には何故か万札の束が入っている。軽く見ても20万はあるぞ

そして手紙らしき紙が一枚

『食費代』



・・・・・何と無く天界に住んでる人と上手くやって行ける気がした

ちゃらっちゃっちゃっちゃ〜!



はい、先程は電波の影響で雑音が混じりましたが大丈夫ですか?

ちゃんとした場所で収録してますよ!ろ、六本木ビルスでやってますからね!

あぁ!信用してないな!絶対信用してないな!


うわぁぁぁん。典時〜、皆がイジメル〜


そりゃお前が悪いからだろ


典時もイジメル〜〜〜

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