十四話!ーー作間典時のおともだち
ちゃらっちゃっちゃっちゃ〜
又々お久なノインちゃんです
今日ご紹介するのはこちら!(スポットライトオン)
象に踏まれても壊れない筆箱!!これ本当に堅いんだよね〜。えいっ
ディレクター、ねぇディレクターさん
「なんだノイン」
これ象が踏んでも壊れないんだよね?
「そう書いてるぞ」
私乗ったら何か嫌な音がしたの。ねぇなんで?
「本編始まるぞ」
ねぇなんで?
「作間典時です。よろしくお願いします」
それが最初の挨拶だった
初めての町
初めての学校
初めての教室
初めてのクラスメート
今は名前も顔も思い出せない元担任が書いた下手糞な字を背に軽く頭を下げる
クラスメートは確か30前後だろうか。男子数名以外は別段気にする事は無かった
「それじゃあ作間はそこの席に行きなさい」
運良く窓際の最後尾を指示され、鞄片手に席に向かう。その時中列の男の目は笑っていた。転校生をイジると宣言している様に見えて滑稽としか思えなかった
男の席を横切る瞬間横から伸びる足。普通ならつまづき転んでただろう。転校初日に笑いの種にされてただろうな
だから引っ掻けた足を思いっきり蹴り上げてやった。男は見事に席から引き摺り降ろされ無様に床に倒れた
「すまない。大丈夫か」
見下すように差し出した俺の手を男は乱暴に振り払い席に戻る。周りで起きる忍び笑いに男は狂暴に俺を睨んでくる
だから何だ?
喋ったつもりは無いが顔に出ていたんだろう。男は犬歯を剥き出しにしながら睨んでいた
「おぅ転校生、ちょっと付き合えよ」
昼休み始まってすぐ数人の男に囲まれ体育館裏に連れて行かれた。こうも分かりやす過ぎると笑いたくなってしまった
「テメェ初日から舐めた真似しやがって殺されてえのか?あぁ!!」
無様に転んでた男は下から睨み上げてくる
「出来もしない戯れ言しか言えないのか三下。たかが中坊の分際で思い上がるなよ」
「なっ!ぶっ殺すぞクソがぁ!テメェこそデケェつらしてんじゃねぇよ!マジで殺すぞ!」
「はっ。同じ台詞しか吐けないのか。仲間がいなけりゃまともに喧嘩も出来ない負け犬風情かこんな近くで喚くな。お前等を相手している程暇じゃないんだ。早く視界から消えろ」
「クソガァ!ぶっ殺してやる!」
力任せに振り上げられた拳が迫る。この程度で殺すなんて口にしているのか。滑稽でしか無いな
どう返そうか
そう考えた瞬間男の横顔には危険な角度からの飛び蹴りが決まっていた。
男の首が90゜以上曲がり直ぐに視界から失せる
周りの男は呆けて何が起きたかまるで理解できていない。溜め息を吐いて軽く顎をノックしてやった。弱すぎだお前等
「で、どちら様で?」
「けけっ。楽しそうな事してたみたいだからな。不味かったかい?」
「いや。寧ろさっさと終わって助かった」
「きひひ。そかそか。なら続きと行こうぜ?」
金髪のショートヘアにスパッツ付きのやたら丈の短い制服。常に笑ったその表情にはワルガキならでわの悪が根付いている
「悪いな。俺も多忙で相手をしてる暇が無い」
「たぼう?なら暇があったら続き出来んのか?」
「・・・・あればな」
「そかそか。きひひひ。なら暇になったら連絡くれよ。じゃな」
そいつはふらふら楽しそうに揺れながら飼育小屋の中に入っていった
それから1ヶ月たった頃だろうか。見知らぬ男が声を掛けてきた
「すみません。作間典時さんでしょうか?」
「・・・そうだが」
「少しお時間頂けますか?少し聞きたいことがあって」
「なら放課後でどうだ」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
礼儀正しい男は教室を後にした。金髪にあの顔立ち。何処かの不審者Aを連想させた
「それで、何の用だ」
「実は姉についてなんです。柊琥珀をご存知ですよね。不審者Aみたいな人です」
「不審者Aならそこの飼育小屋で兎と戯れているぞ」
「・・・・・・姉さん。お願いだから本能で動くの止めてよ」
「むあ?とーやか。おぅおぅ作間暇か?暇か?」
「暇ではない。お前の弟さんに呼ばれている」
「そかそかー。とーや。今日は煮魚な。煮魚。あとこのウサギいけるか?いけるか?」
兎は小首を傾げ不審者を見上げている。逃げろ
「煮魚はいいけど兎は駄目だよ。それからいい加減こっちに来て」
「そかそか。ウサギ、じゃな。明日な」
柊琥珀ととーやと呼ばれた男。姉弟か
「改めて初めまして。柊冬夜です。それから姉の柊琥珀です」
「作間、よろしくよろしく。暇か?暇か?」
「・・・・冬夜」
「すいません。姉はこの際無視してください」
「むしか?むしか?ふーんだふーんだ」
無視しておくか
「それで俺に聞きたい事があると言ってたが」
「はい。先に確認しておきたいんですが杉浦さんをご存知ですよね」
「・・・・・用件はなんだ。師匠を知ってるなら少なくとも一般人ではないだろ」
冬夜は内面を見せない笑顔で封筒を手渡してきた
それが俺と二人の最初の出会いだった
で、だ・・・・・
かれこれ一時間近く待ってるんだが・・・・・・
どうやら仕置きが必要か。半年振りの再会だが盛大にヤルか
取り敢えずポピュラーな鉄バットか・・・・いや、1号さんに頼むという選択肢もありか・・・・
「きひひ。きししし」
「すみません作間さん!遅れました!」
「久しぶり久しぶり作間。暇か?暇か?」
「姉さん謝ろうよ!なんで成長しないのさ」
「ぼいんだぞぼいん」
「脳の方だよ!何処で育ち方が間違ったんだろ」
「のう?のうがマズイか?とーや大変だな。今日は煮魚な。煮魚」
「いい加減煮魚やめてよ・・・てか謝ってよ!」
「よーしテメェーら覚悟しろ。安心しろ手加減してやる」
「いぃ!」
「きひ?」
取り敢えず拳骨な
場所変わって喫茶店
「これより罪人二名の言い訳を聞く」
「姉さんのせいです」
「とーやが悪い」
「両名極刑」
『ヒド!』
騒ぐな罪人。他の客に迷惑だろうが
「作間さん。姉が新しい町だからってやたら色んな場所に寄り道するから遅れたんですよ!」
「とーやが無理矢理引っ張るからスムーズに動けなかった。むじつむじつ」
「ならそれを食え。そしたら許してやる」
「・・・・作間さん。なんですこのバケツに入れたパフェ」
山のように盛り付けられたフルーツと生クリーム。天辺にそびえ立つ花火はオレンジ色に火花を散らしている
「この店目玉の『チョモランマ』だ。食った奴は二人だけだ」
その片割れは無論我が家の居候Aだ
「さくまぁ・・・・・・さくまぁ・・・・」
いつの間にか隣に移動して涙目になりながら袖を掴み必死に何かを訴えている。
「何だ。早く食べろ」
計量スプーン小にこんもり添えられたミニパフェ
しっかりミニフルーツやミニ花火まで添えてある優れ物だ
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「ったくさっさと謝ればいいんだよ。取っ替えていいぞ」
「きひひ♪」
琥珀は居候Aを連想させる程の速さでパフェを消していく。お代は勿論お前持ちだ
「それで、なんでこっち来たんだ。お前等隣町の私立校だろ」
「ええ。実はあっちの高校で色々ありまして」
「むにぃむにぃ。あいつら弱々だから。ムグムグムグムグ」
カップを置き溜め息を吐く。つまり全ての原因はコイツか
「察してくれますか。流石に入学一週間で幡高の番を潰しましたからね。高校から警察の書類まで一掃する僕の身にもなって欲しいですよ」
冬夜は一口パフェを平らげると紙切れを取り出した。うちの高校の判が押されている
「来週から正式に作間さんと同じ高校に通うことになりました。チームの再結成ですね」
「やめろやめろ。うちの高校でそんな荒事なんてねーさ。寧ろソイツが事件の塊だ」
「作間作間、お代わりいいか?いいか?」
「代金はお前が払え」
「ケチケチ!」
だまらっしゃい。お前はアイツと同じ位喰い漁るんだよ。それから然り気無く人様の財布を狙うんじゃねぇ
「作間作間作間、家行こうよ行こうよ」
「誰の家にだ誰の」
「ゆー」
人を指差すな。本気でシバかれたいのか?つか家に1号さん居るんだよな
バケツを綺麗に片付けた琥珀は突然外に視線を向け邪悪に笑う
「んぁ。臭う臭う。喧嘩の臭いするな。けけけ。いいよないいよな?」
相変わらず荒事に関しては鼻が効くな
「まぁいいだろ。久しぶりに動くか」
「それじゃ僕は一帯の監視カメラ潰して置きますよ。後で請求しますからお先にどうぞ」
「きひひひひ。久しぶりだな久しぶりだな」
「まあな。つっても半年も行かねーだろ」
いつの世も弱者から金を奪う連中。馬鹿ばっかだな。ったく隣の馬鹿を抑える身にもなりやがれ。細い路地の奥でぐったりする男とそれを囲む男が5人
「なんだテメェーら?邪魔だから失せろや」
族上がりかどこぞの組の人間かね。喧嘩馴れしているようだがさして問題は無い。問題は隣だ
「いいねぇ喧嘩。好きだよアタシは。楽しませてよ少しくらい」
スイッチ入ったか琥珀。後は見てるだけか
「くくくくく。楽しいなぁ殴り合いはぁ。少しは満たしてくれよ」
「琥珀。3分だ」
「りょーかい♪」
言うが早く壁を蹴り、昔見せた跳び蹴りで一人。顎でも砕けたな
勢いそのまま回し蹴りで二人。肋骨御愁傷様
漸く反応した三人目が通称ヤクザキックで応戦するもあっさり避けられ急所蹴り。逝ったなありゃ
残りの二人は我先にと逃げ出していた。だが無駄なんだよな
「逃げちゃいやだねぇ」
二人の頭を鷲掴みしてそのまま地面とご対面
あ〜あ。複雑骨折
「んあぁたまんないねぇ。でも全然足りないねぇ。作間ぁ。殺ろうよ」
「時間切れだ。さっさと行くぞ。居候に連絡して煮魚を用意してある」
「んぁぁ!きひひひ。行こうぜ行こうぜ」
いつものワルガキに戻った琥珀を連れ足早に路地を出た
「御帰りなさいませ作間様。御友学の御二人もようこそいらっしゃいました」
「ただいま」
「・・・・・・え?」
「・・・ぽかーん」
いつまで廊下に居るつもりだ。帰るなら帰れ
「え?えぇ?作間さんそんな趣味なんですか!」
拳骨×2
「さくまぁ!裏切り者裏切り者!」
よく分からんから拳骨
「御初に御目に掛かります。私作間様の御厚意により居候として働いております精巧人形1号と申します。以後御見知り置きを」
「作間さん!良い歳してどんなプレイしてるんですか!」
情け容赦無く冬夜の頭を鷲掴み。砕かれたいようだな
「おおおぉぉ!すいませんすいませんすいませんすいません!!」
「ったく変な勘違いしやがって。つっても説明が面倒なんだよな」
取り敢えず居間に通して簡略して説明。無論ノインの事も話している。暴飲暴食脳無しバカタレ精霊として
「みせれみせれアホ精霊。ちんちくりんだろ」
「ノインなら天に昇っている」
「な〜む〜な〜む〜」
「姉さん短絡過ぎだよ。実家に帰ってるだけだよ。それにしても異界ってまるでファンタジーですね」
しかし現に空飛ぶアホと現代科学では不可能な機械が動いているんだ。信じざるえまい
1号さんに頼んでいた煮魚単品を琥珀に渡し残りは普通に夕御飯。こら、人様の飯に箸を伸ばすな
「作間が修羅になった!修羅だ修羅!」
アホとの攻防がいつしか俺を修羅に変えていたらしい。だが許さん
「とーや!助けて助けて!作間恐い!」
しかし冬夜は一切無視して己の前にある御新香を一心不乱に食べ続けていた。4人前はいったな
「琥珀様。此方では作間様が法王で御座います。諦める事も大事かと思われます」
「ロボは作間の手先か!とーやとーや助けて!」
冬夜はイソイソと食器を片付けに台所に消えた
さて、覚悟はいいな琥珀
ところ変わって天界
「それじゃまたねママ」
「いってらっしゃいノインちゃん。余り迷惑掛けちゃ駄目よ」
「我が娘よ!今度会うときは更に逞しくなってくるがよい!胸の成長は期待しないぞ!」
「ママ!パパヤッチャってよ!情け容赦無く」
ゲートを飛び越えるノインの耳には父親の悲鳴が木霊していた
さて、漸く帰宅したノインは早速作間ベットに侵入を開始した。規則的に上下する布団にゆっくり近づきまずは布団の匂いをかぐ
「ああぁ。久し振りの典時の匂いだ」
後はもう本能に任せて布団に滑り込んだ。目の前にある体に何時もの様に抱き付き顔を背中に押し付ける
「てーんーじー」
「むぁ?」
ポヨンポヨン
ノインの手には抱えきれないナニかが当たった
「・・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「むぁむぁ?」
「何奴コヤツ!私の典時はドコへ行ったの!」
「典時?作間か作間か。さくまぁーお休み」
「むきぃぃ!私のユートピアからはなれろぉ!」
「うっさいうっさいちんちくりん」
「てんじぃぃぃ!ボインがイジメルぅぅぅ!」
居間にて
「作間様。RPGの試射宜しいでしょうか」
「屋外なら許可したが今は許さん」
「畏まりました。それでは空間凍結により防音処置を施します」
「そうしてくれ。明日は大変だ。容赦無く模擬弾を射て」
「仰せのままに」
ちゃらっちゃっちゃっちゃ〜
典時、ねぇ典時、てんじぃぃぃ!
「うっさい黙れ」
1号さあぁぁぁぁぁん!何か言ってよお願い
「象は雄で6t前後まで成長なさいますのでノイン様は―――」
言わないで!お願いだから堪忍して!
「何した1号さん」
「少々悪戯をしてみました。侍女とも有ろう物が。要反省です」
「たまにはいいだろ」