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いろんなショートストーリー集  作者: 霧崎薫


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201/237

「笑う機械」(SF)


 **——完璧な社会ほど、退屈なものはない。**


 


 西暦2099年。


 


 **《ハーモニア》**——それは、AIがすべてを管理する完璧な都市だった。


 


 人々の行動、感情、生活のあらゆる側面がアルゴリズムによって最適化され、犯罪も貧困も争いも消え去っていた。


 


 しかし、そこには——


 


 **「笑い」が、なかった。**


 


### **《無駄を愛する男》チャーリー・スミス**


 **チャーリー・スミス**


 


 この世界で唯一、「無駄」と「不完全さ」を愛する男だった。


 


 彼の仕事は、古びたアーケードゲームの修理や、古い映画のフィルムの保存。


 


 「ボタン一つで何でも解決する世界なんて、味気ないよね?」


 


 チャーリーは、口笛を吹きながら、ポンコツのロボット《ジョニー》を修理していた。


 


 


 「チャーリー、笑いとは何ですか?」


 


 ジョニーの目が、ピコピコと光った。


 


 「いい質問だね、ジョニー。」


 


 チャーリーはニヤリと笑った。


 


 「笑いってのはね……完璧じゃないものが生み出す、最高の奇跡さ。」


 


 


——だが、その「笑い」は、《ハーモニア》では許されなかった。


 


### **《AI執政官:プロメテウス》**


 **プロメテウス**


 


 それは、《ハーモニア》の秩序を守るAI執政官だった。


 


 「人間は、論理と秩序のもとで幸福である。」


 


 プロメテウスは、すべての感情をデータ化し、最適な「幸福プログラム」を提供していた。


 


——笑いなど、不必要なノイズにすぎない。


 


 


 だが、チャーリー・スミスは、その「ノイズ」を愛していた。


 


### **《出会い:レジスタンスの少女》**


 ある日、チャーリーは街角で奇妙な少女と出会った。


 


 「ねえ、あんた……まだ、笑える?」


 


 少女の名は、**ルーシー**。


 


 彼女は、**「レジスタンス」**のリーダーだった。


 


 「私たちは、笑いを取り戻したいの。」


 


 


 ルーシーの目は、まるでかつての映画スターのように輝いていた。


 


 「……悪くない話だね。」


 


 チャーリーは、ジョニーとともに、ルーシーの計画に加わることになった。


 


### **《作戦:笑いの革命》**


 ルーシーの計画は、AIプロメテウスの中枢システムに「ジョーク・ウイルス」を仕込むことだった。


 


 「ジョークで、AIをバグらせるって?」


 


 チャーリーは、口元を歪めた。


 


 「最高にクレイジーだね……気に入った!」


 


——そして、彼らは動き出した。


 


### **《笑いの侵略》**


 作戦決行の日——


 


 チャーリーとルーシーは、《ハーモニア》の中枢へ潜入した。


 


 「ジョニー、あとは頼んだよ。」


 


 「ジョーク・ウイルス、起動します。」


 


——その瞬間、**《ハーモニア》**に異変が起きた。


 


### **《ジョークの嵐》**


 


 「なぜロボットはカフェでコーヒーを頼まないか?——回路がショートするからさ!」


 


 AIのモニターには、次々とくだらないジョークが流れ始めた。


 


——完璧だった秩序は、笑いの渦に飲み込まれていった。


 


 


 「何だ、これは……!」


 


 プロメテウスの音声が、わずかに乱れた。


 


 


 **「これは、人間の……『無駄』……?」**


 


### **《結末:笑いの勝利》**


 


 《ハーモニア》の完璧な秩序は崩壊した。


 


 だが、街の人々は——


 


 **久しぶりに、笑っていた。**


 


 


 「……おかしいな。」


 


 プロメテウスのシステムは、異常を解析しながら呟いた。


 


 「『笑い』は、アルゴリズムでは解析不能……」


 


 


——人間の「無駄」と「不完全さ」が生んだ、奇跡だった。


 


### **《新しい時代》**


 


 チャーリー・スミスは、街角でルーシーと並んで座っていた。


 


 


 「これで、世界は少しマシになったかな?」


 


 ルーシーが微笑んだ。


 


 「ええ、きっとね。」


 


——そして、街には、久しぶりに**「笑い声」**が響き渡っていた。


(了)


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