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「最後の言葉」(SF)


 ある朝、目が覚めると、世界から**言葉が消えていた**。


---


### **1. 言葉の喪失**


 最初に異変に気づいたのは、妻の声だった。


 「おはよう」


 そう口が動いているのに、**何も聞こえなかった**。


 耳が悪くなったのかと思ったが、そうではなかった。


 新聞を開いてみると、文字が**すべて白紙**になっていた。


---


### **2. 失われたコミュニケーション**


 スマホを開く。


 SNSの投稿は、すべて**空白**。


 ニュースのアナウンサーは、口を動かしているだけで、何も伝わってこない。


 テレビのテロップも、街の看板も、本のページも、すべての**言葉が消えていた**。


---


### **3. 言葉がなくても**


 人々は最初、混乱した。


 しかし、日が経つにつれ、少しずつ適応し始めた。


 手振りや表情で、なんとなく意思を伝えられることが分かった。


 **「言葉がなくても、意外とやっていけるのでは?」**


 そんな空気が、街を満たし始めた。


---


### **4. 言葉の大切さ**


 だが、問題もあった。


 法律も契約書も読めない。


 **人間の信頼は「言葉」によって成り立っていたのだと気づく。**


 街では、小さな争いが増えてきた。


 誰かが何かを伝えようとしても、完全に理解することはできない。


 やがて、人々は次第に沈黙するようになった。


 誤解を生むくらいなら、**最初から何も言わない方がいい**――。


---


### **5. 最後に残されたもの**


 そんな中、妻が俺に向かって**何かを言った**。


 もちろん、何も聞こえない。


 しかし、彼女は微笑みながら、俺の手を取った。


 その瞬間、**すべてを理解した。**


 「言葉がなくても、伝わるものがある」


 俺は、静かに頷いた。


---


### **6. そして、世界は――**


 ある日、誰かが呟いた。


 「ありがとう」


 その一言が、はっきりと**聞こえた**。


 そして、人々は気づいた。


 **「言葉」は、最初から消えてなどいなかった。**


 **人々が言葉を「信じなくなった」だけだったのだ。**


 **伝えることをやめたとき、言葉は初めて「本当に消える」。**


 


 そして、人々はもう一度、話し始めた――。


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