「残響する名前」(心理サスペンス)
**そのクラスには、存在しないはずの生徒がいた。**
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### **1. 名簿にない名前**
新学期の朝、俺はクラスの名簿を見て眉をひそめた。
**「佐々木優衣」**
そんな名前の生徒は、いないはずだった。
だが、名簿のリストに確かにその名前があった。
担任に聞くと、「そんな子はいないよ」と笑われた。
それなら、この名前は何だ?
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### **2. 机の記憶**
違和感を抱えたまま、俺は教室に戻った。
ふと、最後列の机に目を向ける。
そこだけ、妙に使い込まれている。
机の表面には、彫られた名前があった。
**「佐々木優衣」**
クラスの誰も、その名前を知らなかった。
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### **3. 消えた痕跡**
俺は放課後、資料室に行った。
過去のクラス写真を調べるために。
そして――
去年の写真に、**確かに彼女が写っていた。**
だが、不自然なことに、
彼女の顔だけが、**黒く塗りつぶされていた。**
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### **4. 先生の記憶**
担任に再び尋ねた。
「佐々木優衣って、誰ですか?」
すると、担任は一瞬だけ表情を曇らせた。
「……君も、その名前を知ったんだね」
「どういうことですか?」
先生はため息をついた。
「佐々木優衣は、去年ここにいた」
「でも、ある日 **いなくなったんだよ**」
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### **5. 誰も覚えていない少女**
翌日、俺はクラスメイトに聞いた。
「佐々木優衣って、覚えてる?」
誰も知らないと言った。
だが、一人だけ首をかしげた。
「……分からないけど、その名前、なんか知ってる気がする」
「どこで?」
「分からない。でも、聞いたことがある……ような……?」
そのとき、彼は突然 **青ざめた**。
「……ダメだ。思い出しちゃいけない気がする」
そう言うと、彼は急いで教室を出て行った。
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### **6. 壊れたカセットテープ**
夜、学校に忍び込んだ。
資料室の奥で、古いカセットテープを見つけた。
ラベルには、彼女の名前が書かれていた。
再生すると、かすれた声が流れた。
**「私を……忘れないで……」**
次の瞬間、スピーカーが破裂した。
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### **7. 呼び戻された存在**
翌朝、登校すると、クラスに **彼女がいた。**
最後列の席に、静かに座っていた。
誰も違和感を抱かない。
まるで、**最初から彼女が存在していたかのように**。
俺は震えながら、隣の席の友人に聞いた。
「……あの子、誰?」
友人は不思議そうに笑った。
「何言ってんの? 佐々木優衣だろ?」
**「去年から、ずっとここにいるじゃないか」**
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### **8. そして、誰かが消える**
彼女は、俺の方を見て微笑んだ。
その瞬間、
**俺の名前が、教室から消えた。**
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### **9. 次に忘れられるのは誰か**
誰も、俺を呼ばなくなった。
俺の机には、誰か別の生徒が座っていた。
名簿に俺の名前はなかった。
**カセットテープが一つ、どこかに保管された。**
そして――
次の日、新しい生徒がやってきた。
誰も知らない **「誰か」** が。




