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七話 まさかの事態



『放課後に遊んで帰るっていうのをしてみたい』

『いいけどどこか行きたいとこでもあるのか?』

『……どこに行けばいいのか分からない』

『まあそうなるよな……無難なところだとショッピングモールとかか?』


 俺も放課後に誰かと遊ぶなんてたまに隼人が家に来る程度で、外に遊びに行くのは小学生の頃以来全くない。

 なのでショッピングモールなんて提案はしてみたものの、これが普通なのかも分からないし、それ以外の場所も直ぐには思いつかなかった。


『明日の放課後予定空いてる?』

『空いてはいるが……まさか』

『そのまさか。本当なら今日行きたかったけど予定があるから明日行こ』

『……まあ行くことに関しては良いんだけどさ』


 とここでスマホから目を離して前を向く。


「なんで目の前にメールしてる相手がいるのに口で会話しないんだよっ」

「図書館では静かにしてくださーい」

「……すみません」


 そう、連絡先を交換して2分後の出来事である。

 確かに連絡先一覧に人が増えたことはとても嬉しいことではあるが、だからといって口で話せる距離にいる相手とスマホを通して会話するのはいかがなものか。


 しかしそれに対してツッコミを入れた結果、逆に今日の図書委員の当番の人に注意されてしまった訳だが……


『じゃあ明日約束ね』

『了解』


 しっかりと約束を取り付けられた所で俺と氷室は図書館で分かれた。












『ちょっといいか?』

『優佑が連絡してくるなんて珍しいな、んで? どうかしたか?』

『……俺に似合う服ってあるか?』


 俺は帰り道に隼人にSOSを出していた。

 理由はもちろん明日氷室と出掛ける際に着ていく服が全く思いつかなかったからである。

 普段人と外に行く事なんて全く無いので、自分のファッションセンスに自信が無い。というかそもそも全然私服を持っていない。

 ましてや明日一緒に行くのは途轍もない美少女なのだ。もしそんな横でクソダサい服なんて着ようものならどうなるかなんて想像したくもない。


『ちなみにその質問をする理由は聞いてもいいのか?』

『出来ればやめてくれると助かる』

『んー、人と出掛けるならシンプルなやつ良いんじゃないか? 優佑は別に元の顔は悪くないんだし、変に着飾るよりも落ち着いた色の服を着とけば大丈夫だと思うぞ』

『ありがとう助かった、参考にする』


 やはり隼人に助けを求めて正解だった。

 これで家に帰ってから明日着ていく服を何十分も迷わなくて済む。


『まさかとは思うけど1回目のデートで手を出さないようにしろよ』


 前言撤回、こいつに聞いたのは間違いだった。


『黙れ』


 それだけ返してスマホを閉じる。

 最後の一言が途轍もなく余計ではあったが、助言通り明日は家にある黒のジャケットにジーンズでも着ていくことにしよう。




「……それはそうとなんで先に帰ったお前が俺ん家の前に居るんだよ――氷室」

「家に入れなくなった」

「そりゃここは俺の家だからな」

「そうじゃない、私の家」


 修飾語が明らかに不足しすぎて一瞬理解が出来なかったが、恐らく自分の家の鍵を忘れたとかで入れないという事だろうか?

 だとしても俺の家の前に佇んでいる理由はよく分からないが……


「んで? 今日は予定があるんじゃなかったのか?」

「うん、おじいちゃんとこの後ご飯食べに行く」

「なるほど、でそのおじいちゃんはまだ家に帰ってきてないし、鍵も忘れたからどうしようもないってとこか」

「そう」


 これは困った、恐らく氷室には同性の友達……というより俺以外に仲のいい人がこの学校でまだ出来ていないのだろう。

 もし居ればおじいちゃんが帰ってくるまでその人達と時間をつぶせばいいのだがそういう事ができない。

 かといって俺は今から今日の晩御飯作りやら掃除やらの家事が残っている。


 ……一応方法があるにはある。

 正直あまり推奨したくない――というより状況として非常によろしくないが、俺の家に上げる……という事が出来なくもない。



「あー……ちなみに時間を潰すあてはあるのか?」

「無くて困ったからここに来た」


(そうっすよね……)


「嫌なら全然断ってくれていいが、――家入るか?」

「……いいの?」

「それはこっちのセリフだ、俺は家事してて会話くらいしか出来ることないし、何よりそんなに長い時間ではないとはいえ二人きり(・・・・)になるんだぞ」

「何か問題でもあるの?」

「……いや、ないけどさ」


 そんなに澄んだ目でこちらを見ないで欲しい。

 もし俺が悪い奴だったら何をされていたか分からないぞ。と忠告するつもりでそう言ったのだが、全く俺の事を疑っていない純真無垢な事を言われてしまっては、なんだか一人で少しドキドキしていたのが馬鹿らしくなる。


「はぁ……いいよ、入って」

「ありがとう」


 彼女の危機感のなさについては後でしっかり文句を言わせてもらうとして、とりあえずはお茶でも出す準備をしよう。










   次回以降の更新について


 正直この作品の設定などはまだ練っている段階なので、準備できているこの話以降の更新が少し不定期になります。

 不定期とはいっても最低限週に1回以上は更新することを心掛けますので何卒この作品をよろしくお願い致します。

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