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五四話 たこ焼きの具材は?



「そういえば有栖先輩たちの学校そろそろ文化祭ですよね、私たち行ってもいいですか?」

「よく知ってるね?」

「はい! だって目標にしてる高校ですから!」


 勉強がひと段落して休憩時間になった時、麗奈さんが唐突に文化祭について切り出してきた。

 麗奈さんだけでなく瑠奈さんも気になっているようで、麗奈さんが有栖に質問している時、一緒になって目を少し輝かせながら聞いている。


 

「勉強頑張ってるし、息抜きになるからいいと思う、よ?」


 せっかくいいことを言っているのにどうにも有栖は不安なようで、こちらに同意を求めるような視線を送ってくる。

 実際、麗奈さんと瑠奈さんは勉強をかなり頑張っているので、文化祭に来るのは良い息抜きになるだろうし、モチベーション向上にも繋がると思うので、わざわざ有栖に同意を求めなくても来ていいと思うのだが律儀な事だ。



「ちなみに有栖先輩のクラスは何されるんですか?」

「私のところは、まだ決まってない。けど、優佑のクラスは執事・メイド喫茶するんだって」


「木戸先輩も執事服着るですか?」

「なんで有栖も瑠奈さんも俺が執事服を着ると思ってるのか分かんないけど、俺は裏方に回る予定だよ」



 残念ながら俺に接客スキルなんてものは無いので、是非とも諦めてほしい。執事服を着るならなおさらだ。


「瑠奈も優佑の執事服似合うと思うよね?」


 有栖の質問に瑠奈さんはこくこくと頷く。


「……はいはい、それはいいからそろそろ勉強再開するぞ」




 その後は二人ともしっかりと勉強に勤しんで、あっという間に終了の時間となった。



「今日もありがとうございました、有栖先輩のクラスの出し物も決まったら次教えてくださいね」

「ん、お疲れ様。次までにあの公式覚えててね、そうしたら教える」

「分かりました!」



「木戸先輩、私でも頑張ったら接客出来るので、木戸先輩も出来るです」

「……まあ考えとくよ」

「楽しみにしてるです」


 そう言ってくれる瑠奈さんには申し訳ないが、恐らくやることは無いだろう。

 もしかしたら代打で少しの間だけ――なんて事はあるのかもしれないが……いや、こんな事を考えていたら実際に起こりそうなので考えるのはやめておこう。








 次の日、放課後に校門でばったり有栖と出くわし、家の方向も一緒だしもう隠すことも無くなったので一緒に帰る事になった。



「そういえば、クラスの出し物はたこ焼き屋することになった」

「お、良かったじゃないか」

「……作る練習してみたい、から手伝ってほしい」

「この前約束したもんな、俺はいつでもいいよ。なんなら今日でも」



 材料とたこ焼き器さえあればそんなに難しい事も無いので、作ることは容易い。

 もしこの時間から作るなら、今日の晩御飯はたこ焼きで確定になるだろう。そうだとしたら作ったものはタッパーにでも入れて持ち帰らせてもらおう。



「……じゃあ、早速今日お願いしてもいい? おじいちゃんにはキッチン使っていいって言ってもらってる」

「それならもちろん、じゃあ帰りに材料買ってから行こうか」

「ん、お願いします」


 という訳で帰り道から少し逸れて、最寄のスーパーに寄り道する。



「ちなみに家にたこ焼き器はあるか? 無いなら家から持って行くけど」

「偶におじいちゃんが作ってくれるからあると思う」

「よし、じゃあたこ焼きを作るのに必要なものを買ってくか。まずは――」


 家でたこ焼きを作る時に使う材料を思い出しながら、それを挙げていく。

 しかしよくよく考えると、生地やタコ以外に中に入れる材料は家によって変わってくるよなぁ、と。



「俺の家ではキャベツ多めに入れてたり、チーズとかウインナーを入れたりもしてたけど、有栖は何か入れたい材料はあるか?」

「んー……お餅入れた時美味しかったから、少し入れてみたい」

「了解、じゃあそれも買って行こうか。他に何かあるか?」

「作るの初めてでよく分かんないから、後は優佑におまかせする」



 買い忘れの無いようにちゃんと確認しながら一つ一つかごの中に入れていく。

 有栖が言っていたお餅は、俺の家ではたこ焼きに入れたことが無かったので楽しみだ。



「そういえば作ったたこ焼き、持って帰って晩御飯にしてもいいか?」

「? 一緒に食べて帰らないの?」

「あー……それはいいのか?」

「ん、今日おじいちゃん帰ってくるの遅いって言ってたから、一緒に食べてくれると嬉しい」


 それはそれで俺は食べて帰っていいものなのか……

 ……いや、放課後毎日二人で一緒に居るのだから今更か。


「……じゃあ英一郎さんに了承だけ取ってもらってもいいか? もしダメって言われたら作った後に帰るから」

「わかった、メールしてみるね」


 そう言った有栖は器用にスマホを操作してメールを打ち込む。


「ん、送った」

「助かる、じゃあこれをレジに持って行って帰ろうか」



 教えて貰うのだから会計は自分が払うと言った有栖だったが、俺も食べるし払ってもらうのは悪いので、そこは割り勘にしてもらって事なきを得た。









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