こんなカラオケは嫌だ その2
※この話は前話「クソカラオケ その1」の続編です。まだ読んでいない方はそちらからどうぞ。
~カラオケに移動中~
北野「それでさ、俺、中学時代は野球部でエースで4番でキャプテンもやってたのよ。そしたら大量の高校から推薦が届いててさ。ホントに俺はスゲエ奴なんだって再認識したよね!」
加藤「ああ…そう……」
志村「す、すげー……」
加藤「おい志村。この話、何回目だ…」
志村「確か、5回目…マジでつまんなすぎて死ぬ…」
加藤「とゆうか話のレパートリーが、全部自慢話なんだけどコイツ…不快すぎて死にそう…」
志村「親の自慢話、野球の自慢話、小・中学校の友達多い自慢、モテモテ自慢…それぞれ5~6回は聞いた…初対面によくこんなグイグイ来れるわ…」
加藤「全部嘘ってモロバレなのになあ…もう100周くらい回って尊敬するわ…」
志村「ああーーーー頭おかしくなりそう……」
加藤「もう無視して俺ら2人で話そうぜ!」
志村「それがコイツ、無視してても永遠に話してくるんだよなあ…」
北野「でさあ、俺は中学時代マジでバレンタインチョコ100個以上もらってたんだけど、食うのが本当に大変でさあ。モテない可哀想な男友達100人を呼びつけてさあ、1人ずつに配ってやったってわけ。本当に俺どんだけいい奴なんだって話よな!!」
志村「なんか…どんどん洗脳されてきた…北野はスゴイ北野はスゴイ北野はスゴイ…」
加藤「おいいいいいいい!!落ち着けえ!!正気に戻れ!!」
~カラオケに到着~
加藤「おー。部屋結構広いやん!」
志村「北野は野球部でエースで4番でキャプテンで親が大富豪で政治家でモテモテ。北野は野球部でエースで4番でキャプテンで親が大富豪で政治家でモテモテ。北野は…」
加藤「おい!!着いたぞ!目を覚ませ!」
志村「は!!!!…あれ??俺いつの間にカラオケに…?」
加藤「ようやく気がついたか。お前ずっとなんかブツブツ言ってたぞ」
志村「…そうか!やっとあの無限自慢話から解放されたのか!!よっしゃあ!!」
加藤「おうよ。こっからバカ楽しもうや!!」
志村「しかもフリータイムやん!!最高!!」
加藤「あ、いーよ。お前最初に歌入れて」
北野「マジ!?じゃあ一発目行くわ!!」
ポチ
志村「おーパルロメザンの粉チーズか!いーじゃん!」
北野「こなあああああああーーーちいいいいずううううううーーーーーねえ、ぱっすたまあでしいろくうううーそおめらあれたあならあ!あっああああー!!」
加藤(いや、上手いんだけど…何故ずっと立ってるんだ??)
志村(いや、それはまだいいんだけど…なんか歌い方ウザくね?(笑))
加藤(あれだ、手の動きがキモイ(笑) なんだコイツ、指揮者のつもりなのか?(笑))
志村(それだ!!歌い方をめっちゃカッコつけてるからだ!!誇張しすぎた手の動きが、気持ち悪さを加速させている!!)
加藤(ステージに立っている歌手になりきってるってことか……)
北野「ピザにかあけるうからああああーーーーー」
加藤「………………」
志村「………………」
加藤・志村((絶対こいつ、自分超うまいと思ってる……))
北野「さてさて採点はー?」
北野「…はあ??89点??ぶっ壊れてるだろこの機械!!ふざけんな!」
志村「いやまあ、採点なんてどうでもいいっしょ(笑)」
北野「よくねえよ!!ほら音程はほぼ完璧じゃん!!えーと、一言アドバイス…「もっと感情を込めて」だと!?ふざけんな!!」
加藤・志村((あーコイツ、そっちのタイプかあ…))
北野「キレたわ。もう一回これ歌うわ」
加藤「お、おう。俺らの後でな」
北野「あ、ごめん。もう入れちゃった」
加藤・志村「「はあああああああああ!!??」」
加藤「おいテメエ!!」
志村「ふざけんなコラ!!」
北野「ごめんごめん。つい焦りすぎちまった。次入れといて」
加藤(おいおいおいおい…俺らもう一回これフルで聞くんですかあ…?)
志村(しかも歌い手またコイツっていう…)
北野「こなあああああああーーーちいいいずううううううーーーーーー」
加藤「……………………」
志村「……………………」
加藤「まあ気を取り直して、俺らも歌おうや」
志村「そうだな。楽しまなきゃ損だ。損」
加藤「俺、ヒゲ〇ンのPretender入れるわ」
志村「きたよ。ド定番(笑) 俺も歌うわ」
加藤「おうよ。一緒に歌おうや」
加藤「君とのラブストーリー、それは予想通り、いざ―始まれば、1人芝居だ」
志村「ずっとーそばにいたって、結局はただの観客だ」
北野「あーそこ音程違う。ああーほらまた音程ずれた。そこはもっと高音だよ。あーミス多いなー。もしかして2人とも、これ歌うの初めて?(笑)」
加藤・志村((うっぜええええええええええ!!))
志村「次これ入れるわ」
加藤「ワン〇ク!!いいね!!」
志村「完全退職フリーター!!が僕の夢さ!!」
加藤「ウィルセイイット!ウィルセイイット!」
北野「あーダメダメ。全然低い。サビはもっと高音だよ」
志村(うっぜえええええええええ!!〇ね〇ね〇ね)
志村「出ねえんだからしょうがねえだろうが!?」
北野「そんな高い方じゃないけどなあ…?」
志村
北野「あと英語の発音ひどすぎ。このボーカルはネイティブ並みの発音なんだからもっと頑張らないと!」
加藤(うっぜえええええええええ!!〇す〇す〇す)
加藤「はあ!?そこまでこだわってねえんだよこっちはよ!」
北野「えー?歌手へのリスペクトが足りなすぎるわーそれは」
加藤
加藤「よし、ぶん殴ろう!!」
志村「落ち着け!!もうコイツはいないものとして扱おう!!」
加藤「……そうだな。しゃべるゴミと考えよう」
北野「じゃあ次俺、男々しくて歌うわ」
加藤「神曲キターーーーーーーー!!」
志村「いよっしゃあああああ!!暴れようぜ!」
加藤「俺らも歌うの参加していいべ!?」
北野「いや無理。俺この歌で95点以上目指してるから。一切しゃべんないでね」
加藤「…………………」
志村「…………………」
北野「あと申し訳ないけど、あんま物音も立てないで。結構このマイク、音拾うみたいだから」
加藤「…………………」
志村「…………………」
北野「女々しくて!女々しくて!女々しくて!つ、ら、い、よおおおおおおーーーー!」
加藤「…………………」
志村「…………………」
北野「あーいさーれたいね!きっと見過ごしたーきーみのシグナル、もう1度ー」
加藤「…………………」
志村「…………………」
志村(おい、加藤)
加藤(なんだ、志村)
志村(俺こんなつまんねえ「女々しくて」、初めて体験した)
加藤(奇遇だな、俺もだ)
北野「うわーマジか94点?ミスったところそんなあった?よし!もう一回!」
北野「…あれ?まだ誰も曲入れてなかったの?遅いよー(笑)
加藤「テメエが歌い終わるまでこちとら待っとったんじゃこのクソボケ!!」
志村「誰かさんが「物音も立てるな」とかほざくからよお!!」
北野「ごめんごめん。半分冗談だよ(笑)」
加藤・志村「「あ、半分本気なんだ……」」
~2時間後~
加藤「次歌うの誰?」
志村「今トイレに行ってるクソ野郎」
加藤「OK」
志村「…なあ、そろそろ帰らね?」
加藤「全然あり。もうだいぶしんどかった」
志村「もう粉雪とかPretenderとか3~4回聞いたしな(笑)」
加藤「誰かさんが何度も歌うからな(笑)」
志村「今日はホントムカつくから。アイツほっといて、最後マジぶち上ろうぜ!!」
加藤「といったら、もうあの歌しかないべ(笑)」
志村「それな!トリの定番曲!!」
加藤・志村「「睡蓮花!!」」
ガチャ
北野「次確か俺だよね。睡蓮花歌うわ」
加藤「…………………」
志村「…………………」
加藤「あのー、つかぬことをお伺いしますが、それに我々は参加してもよろしいのでしょうか?」
北野「ごめん無理。俺これで92点越えたいからさ」
加藤「あーそうですか…」
志村「わり。俺らもう帰るわ」
北野「マジ??早くない??」
加藤「いや遅すぎたくらいだわ。フリータイムだからと粘りすぎた」
志村「俺らこの後大事な用事あるから(大噓)」
北野「そうなんだ。残念!!また一緒にカラオケ行こうな!!」
加藤・志村「「一生行かねえわ!!」」
~完~