親の馴れ初めとか死ぬほど聞きたくない
~土曜日の夜~
父「おい、息子よ」
加藤「…………………」
父「おいって、息子」
加藤「…………………」
父「おいおい、無視すんな息子」
加藤「…………………」
父「おいおいおいおいおい、無視すんなコラ息子」
加藤「…………………」
父「無視すんなっつってんだろうが!!クソ息子!!」
加藤「だ、か、ら、ちゃんと名前を呼べっつーの!!クソ親父!!自分の息子を「息子」って呼ぶ親がどこにいるんだこのボケ親父!!」
父「なんだとテメエ!!親になんて口の利き方だ!!」
加藤「まあ、名前を呼ばれても反応する気はねえけどな(笑)」
父「は??なんでだよ!!」
加藤「だって親父、ドヤ顔で息子に嘘つくキモい奴だし、何をしても頼りないし、キモいし、足くさいし、マジでモテないから恋愛面でもホントにクソほど役に立たないし」(※16話参照)
父「お前だってめちゃくちゃ足臭いだろうが!!この前、お前の脱いだ靴下にハエがたかってたぞ!?」
加藤「いーや親父には負けるね。この前、親父の脱いだ靴下を嗅いだ犬が気絶してたぞ?」
父「それは、その犬の鼻にう〇こが詰まってからだ。」
加藤「どんだけポジティブ!?そんな訳ねえだろ!!」
父「それによお、お前は俺が恋愛面でクソほど役に立たないと言っているが、お前は1つ大きな勘違いをしているぞ??」
加藤「なんだよ」
父「俺はなあ、結婚してんだよ!!これは誰よりもマウントの取れる素晴らしいことだ!!どうだ!?ガハハハハハ!!」
加藤「ふん。どうせ母さんを金で釣っただけだろ」
父「そんな釣れるほどの稼ぎが俺にあると思うか??」
加藤「言ってて悲しくならん!?それ」
父「なる!!」
父「まあとにかく、俺は結婚する以前は、母さんが俺にメロメロでベタ惚れすぎて、何度も何度もアプローチが来て、それはもう大変だった…」
加藤「ハイハイ。どうせまたアンタが土下座しまくっただけだろ?」
父「そんなわけないだろうが!!俺がそんなしつこく求婚を迫るような残念な奴に見えるか??」
加藤「もはやそんな残念な奴にしか見えない…」
父「ホントにわかってないな。母さんは一瞬で俺の内面の素晴らしさ、男らしさ、カッコよさにマジでベタ惚れだったぞ??」
加藤「あのさあ、いくら噓ついても母さんに聞けば全部わかるからね?無駄だからね?」
父「バカが!!本当だからこそ、こんな自信満々に語っているのさ!」
加藤「へえ…じゃあマジで聞くわ」
父「どーぞどーぞ。いくらでも聞きな。返答はわかりきってる」
加藤「本当に聞くよ??いいの??」
父「だからさあ、俺は問題ないってさっきから言ってるだろ??さっさと聞きに行けよ」
加藤「あーそう。なら聞いてくるわ。おーーい母さn」
父「待て」
加藤「は??」
父「え…?この流れで、マジで聞きに行くか??普通」
加藤「いや、行くけど?」
父「なんで?」
加藤「いや、アンタが今さっき「さっさと聞きに行け」って言ったんじゃん!」
父「普通あそこまで自信満々に言ったら、信じるだろうが!!なんで信じないの??」
加藤「いや…親父の言うことだし…(笑)」
父「どんだけ信用ねえんだよ!!」
加藤「平然と嘘つくからだろうが!!」
父「まあ、もういいや」
加藤「嘘だって認めるんだな?」
父「もう聞いていいよ、母さんに」
加藤「そっちかい!!アンタも強情だな!!」
父「ま、まあもしかしたら俺の勘違いかもしれないしなあ!!もしかしたら!!」
加藤「うわ、しかも保険かけてきやがった…ダッサ…」
父(まあ、母さんもそんな前のこと忘れてるかもしれないしな…まだワンチャンあるぜ!)
母「なに??私たちの馴れ初め??」
加藤「うん」
母「えーと確か、最初はただの友達だったんだけど、お父さんがなんか急に告白してきて、断ったんだけど、それからも本当にしつこくアプローチしてきて、挙句の果てにあの「4種の土下座」まで繰り出してくるから、ホントに困ってたわ…」
加藤「えーと、ごめん。色々ツッコミたいことはあるんだけど、まず「4種の土下座」ってなに!?」
母「あら?アンタまだ知らなかったの?そっか、見たことなかったか。お父さんだけが使える、どんな上司も黙らすことができる必殺技の1つよ!!」
父「オイオイお前。あの伝説の究極必殺技を、そう軽々と誰かに話すなよ…(ドヤ顔)」
加藤「いや、あのさ、なんかカッコよく言ってるけど、結局土下座だよね??」
父「ふっふっふ。あの土下座をして、今まで黙らなかった奴はいねえ…」
加藤「いやそんなカッコつけられても…」
母「ならせっかくだし、今ここでやってもらいましょうか♥」
父「え、絶対嫌だ。なんで息子に土下座なんてしなきゃいけねえんだよ」
母「この子にじゃない。アタシにしなさい」
父「はああ!?なんでだよ」
母「…そういえば、この前勝手にゴルフクラブ買ったわよね?私に内緒で」
父「……………」
母「それからまた大量のエロ本と変なビデオ買ったでしょ?いい加減にしてくんない?」
父「……………」
母「それからこのm」
父「すいませんでしたあアアアアアアア!!」
ビシイッッ
加藤「す、スゲエ!!なんて綺麗な土下座なんだ!!」
母「これはシンプル土下座。まだまだ驚くのは早いわよ。はい、次」
父「スタンバイ、OK!!うおおおおおおおおおお!!」
ダダダダダダ
父「すいまっせんでしたああアアアアアア!!」
ズザーーーーー
加藤「こ、これは…?」
母「これは、スライディング土下座よ。最初の加速が重要らしいわ。これで取引先の相手を黙らせたらしいわよ。はい次」
父「せーーのっ!よいしょ!!」
ピョーン
父「すいまっっせんでしたああアアアアアア!!」
ドスーーーン
加藤「これは…?」
母「これはジャンピング土下座。いかに高く飛ぶかが重要らしいわ。これで苦情を言ってきた顧客を黙らせたらしいわ。じゃあ次ラスト。4種類目」
父「呼吸を整えて、ヒッヒッフー。スウウウウウウハアアアアアアア」
父「よし!いくぞ!!うおおおおおおおおおお!!」
ダダダダダダダ
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
ピョーン
父「すいまっっっせんでしたああアアアアアア!!」
母「これこそが、会社に遅刻した時も、取引先にやらかした時も、酒の席で暴れた時も、警察に捕まった時も、全てを黙らせた、伝説の土下座!!これまでのスライディングやジャンピングなどの全ての土下座の要素を合わせた集大成!!その名も、ローリング土下座よ!!」
加藤「いや、さらっと言ったけど、アンタ警察に捕まってたの!?」
父「ああ、うん。痴漢の冤罪で捕まってた」
加藤「冤罪なのに土下座したのか…(笑)」
父「あの時は急いでたからね(笑)」
母「どう??すごいでしょ!!特に最後!!あれはお父さんにしかできない、ローリング技術が使われているの。しかも転がりながらジャンプするの、あれめちゃくちゃ難しいんだから!!まあ練習したことないけど(笑)」
加藤「よくそんなに土下座のことを熱く語れるな!!必殺技の解説みたいに!!」
母「いやだって、必殺技だもん。実際」
父「それな。これまで何人を倒してきたかわからないよな(ドヤ顔)」
加藤「いや倒したっていうか、ドン引きされてきただけでしょ…?」
父「言っておくが、これを習得するのは並大抵の努力ではできないぞ??」
加藤「いやできなくていいわ!!」
父「将来お前も、立派な土下座師になるんだからな!!期待してるぜ!!」
加藤「なんだそれ!?てか誰がなるか!!」
母「アンタもいつか、こんくらいカッコイイ技をできるようになってね…?」
加藤「だからカッコよくねえよ!!」
父「大丈夫だよ。コイツと俺は、ちゃんと血が繋がってるからな!!」
母「それもそうね!!」
加藤「最悪だあああああアアアアアアア!!なんでコイツの息子に生まれてしまったんだ!!」
母「ちょっと!!なんてこと言うの!!」
加藤「だって、嫌だろ!!こんな謝ってばっかのおっさん!!」
母「わかってないわねー。いい?社会人になったら、謝ることは何よりも大事なことなの!」
父「うんうん。流石は母さんだ」
加藤「ふん!!でも俺は嫌だね!!そんなすぐに頭を下げるような人間には絶対にならねえ!!」
母「…あ、そーだ。アンタさあ、この前の期末テスト、なんかサボって留年しかけてたわよねえ…?(笑)」
加藤「すいまっっっせんでしたああアアアアアア!!」
ビシイッッ
父「おお~~やるじゃねえか…」
母「お見事!!」
父「流石は俺の息子だ!!」
母「スゴイきれいな土下座!!カッコイイわ!!」
加藤「い、いやあ~照れるわ~/////」
~完~




