〈プロローグ〉 最低な告白
第一話閲覧ありがとうございます!
それではお楽しみください!
-side 南条翼-
高校卒業が迫ってきた2月中旬のとある晴れた日のことだ。その日の昼休み、俺はこの学園で最も美しいと言われている少女を屋上に呼び出していた。
「ねえ南条、いきなり屋上に呼び出すなんて一体何の用?」
今俺の目の前にいる少女の名は片桐茜。この学園のマドンナであり、俺の幼馴染である。大きな二重の目に、程よく膨らんだ胸。そして茶髪のショートカットがよく似合う美少女だ。
「単刀直入に言おう。俺はお前に伝えたいことがあって今日ここに呼び出したんだ」
「え!? へ、へぇー、そうなんだ...」
そう、俺は今日彼女に大切なことを伝えるためにわざわざ屋上まで呼び出したのだ。
「そ、それで私に伝えたいことって何なのよ」
「片桐、今から俺はお前に大切なことを伝える。お前の返答次第で俺のこれからの人生は大きく左右されることになるだろう。だから今から俺が言うことをよく聞いていてほしい」
「へ!? そ、そうなんだ...へぇー、アンタのこれからの人生に関わることね..」
「では早速伝えさせてもらおう」
「ちょっと待って! まだ心の準備が!」
よし、言うぞ! これから俺の人生史上最も大事なことを伝えるぞ! さあ! 俺の想いよ届け!!
「片桐茜! 明日から卒業するまでの間毎日お前のパンツを俺に見せてくれ!!」
「...」
流れる沈黙。言いたいことが言えてスッキリした俺。そして呆然としている片桐。
...あれ? 返答が無いぞ?
「なあ片桐、返事を聞かせてくれないか」
ふっ、まあコイツはどうせ昔から俺のこと好きだからYESと言うだろうがな。
「返事なんて...そんなの1つに決まってるじゃない...」
はは、やはりYESか! まあ俺のことが好きならNOとは言えないよな!
......ん? ちょっと待て。おい、お前はなぜ握り拳を作っている? そしてなぜその手を振り上げている? おい、待ってくれ。その仕草はまるで今から俺を殴るような...
「返事なんてNOに決まってるだろうが!! このド変態!!」
「へぶぅっ!!」
俺の顔面に学園のマドンナの右ストレートが見事に決まった。宙を舞う俺。回転する視界。そして倒れ込んだ俺をゴミを見るような目で見下す片桐。ああ、美少女に睨まれている。なんて俺は幸せなんだ。
って、おい。ちょっと待て。なぜ俺は殴られたんだ? 俺の予定ではYESと言ってもらってこれから毎日パンツを見せてもらうことになってたんだが。つーか、そうして貰わないと『ヤツ』からかけられた呪いのせいで俺死んじゃうからマジで困るんだけど。
「か、片桐...お前俺を好きなんだろ...? 減るもんじゃないしパンツくらい見せてくれよ...」
命の危機に直面した俺は顔の痛みに耐えながら必死に片桐に懇願する。
「は、はぁ!? アンタを好きだなんて絶対ありえないし! もうアンタの顔なんて二度と見たくないわ!! 今後教室で話しかけてくるのも禁止だから!!」
「なるほど今日はピンクか...」
「え...? はっ! あ、アンタ今私のスカートの中覗いたわね!! ほんっっと最低!!」
いや、違うんだ片桐。俺今倒れ込んでて地面からお前を見上げてる状態だからつい目線がお前のスカートの中に動いたんだ。決して意図的ではない。
「もう卒業するまで絶対私に関わらないで! さようなら! 南条『くん』!!」
すると片桐はよそよそしさを出す為にわざわざ俺を君付けで呼んでから屋上を去ってしまった。
「やばい...このままだとマジで俺死ぬことになるぞ...」
そう、俺は昨晩ある男に騙されて命に関わる呪いをかけられてしまったのだ。呪いという概念はとても現実離れしていて実際に効果があるとは思い難い。しかし、理由は上手く説明できないが俺は今自分の命に関わる呪いをかけられているということが実感できているのだ。片桐のパンツを毎日見ないと死ぬという意識がなぜか胸に深く刻まれている。
ーーそう、俺にかけられた呪いとは『卒業するまでの間毎日幼馴染のパンツを見ないと俺が死ぬ』というものだったのだ...