コント「ファミレス」
ボケ=お客
つっこみ=店員
ボケ「……」
つっこみ(以下、つこ)「佐藤様ですね、こちらへどうぞ」
ボケ「……」
つこ「田中様は、こちらの席へ」
ボケ「……」
つこ「あのすみません、表に名前を書いて頂けたでしょうか?」
ボケ「えっ、自分でやるんですか?」
つこ「はい、貴方様のお名前は存じ上げてないので……」
ボケ「てっきり僕が来たらその紙に名前が浮かび上がると思っていたら」
つこ「貴方様にICチップを埋め込んでいないので無理です。申し訳ございません」
ボケ「そっかぁ、何か昼、横になっていたら記憶の無い時間があったから、その時にICチップを埋め込まれたかなと思っていたんですけども」
つこ「するにしても、今の政府はそんな強引なやり方はしないと思います。多分寝たんだと思います」
ボケ「どうりでドジョウを鼻の下の溝に、頑張ってハメようとしていたような気がしていたと思ったら、夢だったんですね」
つこ「全てではないでしょうか。そんな状況、現実世界ではありませんよ」
ボケ「じゃあ、紙に」
つこ「いや結構です。もう貴方様とそちらの坂井様しかいらっしゃらないので」
ボケ「後他の方々はもう……かわいそうですね……」
つこ「いや、自分と坂井様だけが生き残ったという状況ではありません。あのすみません、ここはファミレスですけども、食事に来たのですよね?」
ボケ「はい、食べたくて。はい、食べたくてです」
つこ「何で2回言ったのかわかりませんが、もう貴方様だけになりましたので、席へご案内します」
ボケ「議員の席……」
つこ「食事処の席です。ではこちらの席になります。そして、こちらがメニューとなっております」
ボケ「すごい」
つこ「何がでしょうか」
ボケ「メニュー、スベスベ」
つこ「だいたいどこのファミレスでもメニューのアレはスベスベですけども、そう言ってくださると嬉しいです。どうもありがとうございます」
ボケ「こちらこそです」
つこ「では、ごゆっくりどうぞ」
ボケ「はい」
ボケ「……」
つこ「あのお客様、お決まりでしたら、そこのボタンを押してください」
ボケ「そうだったのですか。てっきり押すと調理側の炊飯ジャーが開くと思っていて怖くて押せなかったんです」
つこ「そんな奇妙な連動はありません。安心してお一人様でも押せるようになっています」
ボケ「では、よいしょっと」
つこ「いやもう私が来たので、押す必要はありませんし、アゴで押す必要もありません」
ボケ「あっ、腕立て伏せの回数を数える機械ってアゴでボタンを押すじゃないですか。だから、つい」
つこ「腕立て伏せしていないではないですか」
ボケ「そういえば、そうでした」
つこ「あのよろしければメニューのご注文をお願いします」
ボケ「……」
つこ「あの」
ボケ「選んでくれないのですか!」
つこ「すみません、店員にはそんな顔色を伺い、メニューを選ぶ機能はありません」
ボケ「便利な世の中になったと聞きましたが、これはまだでしたか」
つこ「そうですね、機械的な面では便利になりましたが、人間の内面はまだです」
ボケ「ここを操作できれば、簡単に議員の席をもぎ取れるのに」
つこ「確かにそうですが、それは倫理上いけないと思います。では、ご注文をお願いします」
ボケ「大きな後ろ盾が欲しいです」
つこ「それでしたら、億単位でのお金が必要になりますけども、よろしいでしょうか」
ボケ「すいません、今600円しか持っていないので」
つこ「そうでしたか。それですと結構頼めないメニューが多いですね」
ボケ「う~ん、じゃあ、待っている間は腕立て伏せ出来るスペースが欲しいです。まず肉体改造し、端正な姿になって、奥様票を稼ぎたいので」
つこ「わかりました。出来上がったら、外へお呼びに行きますので、メニューのご注文をお願いします」
ボケ「店内の、クーラーの中では出来ませんか」
つこ「すみません。今の時間帯は無理です」
ボケ「そうですか……すいません、家に帰って良いですか? クーラーのあるところで腕立て伏せをしたいので」
つこ「あぁ、そうなってしまいますか、残念です。午後4時頃に来店してくださればクーラーの中で腕立て伏せが出来ると思います」
ボケ「わかりました。では、さようなら」
つこ「どうもありがとうございました」
(カランカラーン)
ボケ「よぅし、議員になってICチップ計画を進めるぞ!」