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2 勇者の旅立ち

僕の母さんは勇者である。

そのことを知ったのは母さんが魔王退治に行くと決まった時だった。


「マオ・・・ユウのことをお願いね・・・。」


母さんは僕の髪を優しく撫でた。

僕マオ・ネイサンにとってそれは当たり前の約束だった。


「ユウのことは僕に任せて! 」


だって僕はお兄ちゃんだからー


泣きたい気持ちを抑えながら僕は必死に笑顔を作った。


だって僕はお兄ちゃんだからーー


妹のユウは泣き疲れてベッドで寝てしまっていた。

僕が母さんの分もこの温もりは守ってみせるよ。


「マオ、じゃあ指切りしましょう」


母さんが小指を差し出して提案してくる。


「指切り?」


「うん、お母さんとの約束よ」


母さんは笑顔で、だけどどこか辛そうに言った。

母さんが安心するのであればと、僕も小指を出す。

小指と小指が繋がった瞬間、母さんの温もりを指から感じた。

たぶん、この時に僕は母さんから受け取ったのだろう。


約束という、スキルをーー。


指が離れると寂しさと不安がより一層増えた気がした。

僕は不安を隠すように笑顔を作った。


「じゃあ、僕とも約束だよ母さんっ!」


「うん?」


「絶対に帰ってきてね!」


僕の言葉に母さんは辛そうな顔をして抱きしめてきた。

僕はただ安心したかっただけなのに。


「マオ、ありがとう・・・お母さん頑張ってくるね。」


母さんは寂しそうに微笑み、そして旅立った。


それが数年前


母さんは今だに帰っては来ない。






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