変化
日々更新って大変ですね。
「だってさあ。あたしだもん」
皐月は納得してるけど、まったくもって答えになってない。
「なんだよそれ?」
よくわからない。
「ふふふっ」
皐月は笑って、話はお終いと言わんばかりにふいっと手すりの向こうを見た。
手すりに寄りかかり、風を受けながら、眼下の町を見渡す。
なんとなく俺もそれに続く。皐月の隣で手すりに寄りかかり、町を見た。
本当に小さな町だ。
周りを山に囲まれ、隣町に行くには絶対に峠を越えなければならない。
ただ、それだけ自然は多くて、田んぼや畑もまだ沢山残っている。
この町が好きだった。
ここにいた時からそうだったが、外に出て、特にそう思った。
自分の性格にはここが一番あってる気がする。
のんびりと、のどかなこの町が。
それでも、時間がたつと、いろいろ変わってしまう。
俺たちが大学に行って変わったように、その間にこの町も変わっていた。
商店街には新しい店が出ていたし、一部の畑が埋められ、新しいスーパーが建っていた。
みんな、いつかは変わってしまう。
ちょっと切ない気がする。
変わることは悪いことばかりではない。
でも、変わって欲しくないものもある。
個人的には、変わって欲しくない。いろいろと。ずっと変わらないものには安心できる。落ち着くのだ。街に出て、特に思った。
次々と変わってゆく世界。そんな中でも、ずっとそばにある。
そういう安心感が欲しい。
「さっきのさ」
町のほうを見たまま、皐月が言った。
「ん?」
俺もそのままだ。
「あたしだから彼氏ができないってこと」
俺たちは町を見たまま話を続ける。
「ああ」
夏の暑さの中に、さわやかな風が吹き抜ける。
蝉時雨の中に、遠くから車の音が聞こえる。
「だってあたし、好きな人がいるんだもん。男の人なんて引っ掛けられないよ」
どんどん更新されている方、尊敬します。