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二人の季節―夏―  作者: 銀輪。
8/10

変化

日々更新って大変ですね。

「だってさあ。あたしだもん」

 皐月は納得してるけど、まったくもって答えになってない。

「なんだよそれ?」

 よくわからない。

「ふふふっ」

 皐月は笑って、話はお終いと言わんばかりにふいっと手すりの向こうを見た。

 手すりに寄りかかり、風を受けながら、眼下の町を見渡す。

 なんとなく俺もそれに続く。皐月の隣で手すりに寄りかかり、町を見た。

 本当に小さな町だ。

 周りを山に囲まれ、隣町に行くには絶対に峠を越えなければならない。

 ただ、それだけ自然は多くて、田んぼや畑もまだ沢山残っている。

 この町が好きだった。

 ここにいた時からそうだったが、外に出て、特にそう思った。

 自分の性格にはここが一番あってる気がする。

 のんびりと、のどかなこの町が。

 それでも、時間がたつと、いろいろ変わってしまう。

 俺たちが大学に行って変わったように、その間にこの町も変わっていた。

 商店街には新しい店が出ていたし、一部の畑が埋められ、新しいスーパーが建っていた。

 みんな、いつかは変わってしまう。

 ちょっと切ない気がする。

 変わることは悪いことばかりではない。

 でも、変わって欲しくないものもある。

 個人的には、変わって欲しくない。いろいろと。ずっと変わらないものには安心できる。落ち着くのだ。街に出て、特に思った。

 次々と変わってゆく世界。そんな中でも、ずっとそばにある。

 そういう安心感が欲しい。

「さっきのさ」

 町のほうを見たまま、皐月が言った。

「ん?」

 俺もそのままだ。

「あたしだから彼氏ができないってこと」

 俺たちは町を見たまま話を続ける。

「ああ」

 夏の暑さの中に、さわやかな風が吹き抜ける。

 蝉時雨の中に、遠くから車の音が聞こえる。

「だってあたし、好きな人がいるんだもん。男の人なんて引っ掛けられないよ」

どんどん更新されている方、尊敬します。

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