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二人の季節―夏―  作者: 銀輪。
6/10

展望台

仕事で更新遅れました。

日々見て頂いている人はいないと思いますが……

 おれと皐月は、中学から高校を卒業するまで、ほぼ毎晩一緒にランニングをしていた。家からスタートし、町内を適当に走って展望台を目指した。コースを決めている訳でもなく、その日の気分次第で距離を延ばしたり短くしたりしていた。

 展望台はちょっと小高い山の上にあるため、夏場はいい風が吹く。冬は寒いが、それでもそこまで走っていくので、身体は十分に温まっている。なので気持ちがいいことに変わりはなかった。

 毎夜あそこでいろんな話をしていたからか、おれたちにとっては馴染みの深い大切な場所になっている。

 毎晩走って登っていた道を、今日は原付で登っていく。皐月の原付をおれが運転し、後ろに皐月を乗せていた。田舎で車も少なく、そう咎められることも無い。

 展望台の足元まで原付で乗り入れ、エンジンを切った。展望台の中に入り、螺旋状の階段を上っていく。

 展望フロアに出ると、初夏のさわやかな空気が風に乗って流れていた。

「うおぉ、やっぱ気持ちいいなぁ」

「ふぅ、だねぇ」

 二人して伸びをする。

 町外れにある上に、人の少ないこの町だ。この公園に来る人はほとんどいない。

 この展望台もおれたちだけの秘密基地みたいになっていた。

「おりゃ」

 おれより一足早く伸びを終えた皐月がまた攻撃してきた。

 昔からおれたちのコミュニケーションみたいなものだ。昔は俺も反撃をしていたのだけど、小学校、中学校と男女の差が出てくるにしたがって、俺からの攻撃は減っていった。

 高校になってからは、ほとんど受けるだけになっていた。時々反撃に頭を叩くことはあるけれど。

 体格差のはっきり出た今となっては、皐月の攻撃は避けずに受けてやることが多い。

 が、今回は伸びをしている完全に不意を突かれた。

「ぐふっ」

 見事に食らってしまった。

「ふっふっふ。甘いな拓哉。隙だらけだぜ」

 勝ち誇る皐月。

「あはは。そうだな、確かに間があいて鈍ってたかもな」

 その時、ふと思った。小さいころは互角に殴り合っていたのに、今ではほとんど痛くない。皐月が本気で殴っているわけではないのも承知しているが、それでも手加減をする皐月ではない。

 大学生になった俺たちは、男女の差で大きく違ってしまった。気づけば目線もかなり低くなっている。

「拓哉、また背伸びたんじゃない?」

 ふと、皐月がまじめな顔になった。

 もしかすると、皐月も俺と同じようなことを考えていたのかもしれない。

「かもな。最近測ってないけど」

 そういえば、大学に入学するとき持っていた服はもう着れなくなっていた。

「あーあ。なんだかなぁ」

「なんだよ?」

「だってさぁ、小学校のころは互角だったのに。中学高校のときも、もっと痛そうにしてたし」

 やっぱり皐月も考えていたのだ。

 いままで近すぎて、こういう変化を気にしたことがなかった。

「だなぁ」

 改めて皐月を見た。

「あ……」

なかなか進まない。

ショートストーリーのつもりだったのに……

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