到着
いまいち使いこなせていない気がします。
本文短くてすみません。
(作者名を別の「銀輪」さんと混ざらないよう「銀輪。」に変更しました。)
ぷしゅーぅという音を上げながら開くドア。
おれはホームに降り立った。
その瞬間、むわっとした空気に覆われ、乾いていた肌に早くもうっすら汗がにじむ。
切符は、ホームで車掌さんに回収された。数年前までは、この内子駅でも改札で券を回収していたのだが、最近では混雑する時間帯以外は無人駅のようになっている。
ちなみに、自動改札なんて優れ物は松山駅にすらいまだ無い。それが愛媛だ。
切符を回収した車掌さんはすぐに電車に戻り、たった一人の客を下ろした空っぽの車両を発進させた。一両だけの車両はホームを出ていき、すぐ次のトンネルに吸い込まれていった。
ホームに立っているのはおれだけだった。
たまには人もいるのだが、これが田舎というものだ。
「すぅ~~~~~」
大きく息を吸った。これ以上ないほど、田舎の匂いがする。
田んぼや畑、森や林、土の匂い。そこいらに溢れる自然の匂い。こんな空気を美味しいというのかはわからない。もしかすると都会育ちの人間には臭いだけかもしれないが、自分にとっては身体に馴染んだ空気だった。
深呼吸と一緒に閉じた目を、ゆっくり開く。
青々とした大きな山が、故郷を抱いていた。神南山だ。
内子小学校の校歌にも出てくる、町を見下ろすそこそこ大きな山。歌では確か『朝夕仰ぐ、神南の…』とあったと思う。その歌詞の通り、おれは昔からあの山を見上げて育った。
そのせいか、都会に出てから山に見下ろされない生活に、むしろ違和感を覚えている。
神南山に見下ろされ、その見慣れた姿に安心感を覚えた。
「変わらないな……」
意識せずこぼれた言葉を聞き流し、おれはホームを降りた。
綺麗な文面になっていればいいのですが……