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二人の季節―夏―  作者: 銀輪。
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帰郷

初めて投稿致します。

稚拙な内容かとは思いますが、お楽しみ頂ければ幸いです。

(作者名を別の「銀輪」さんと混ざらないよう「銀輪。」に変更しました。)

「ん……」

 ガタンゴトンと断続的に揺れる電車内。

 おれは間抜けに口を開け、眠っていた。

 少し大きな揺れで目を覚ます。首の疲れ具合からすると結構眠っていたようだ。

 ふと車内を見ると、一両しかない電車の中にはおれ以外誰も乗っていなかった。

 別に不思議なことではない。岡山から海を渡り、香川からさらに西へ下って愛媛も松山を越えると、そこは田舎以外のなんでもない。朝や夕方なら松山へ出たり帰ったりする人でそこそこ賑うこの路線も、昼間のこの時間帯には誰も利用しない。たとえそれが夏休み期間であっても、大して変わりはない。松山を出たころには数人乗っていた客も、伊予市辺りで全員降りてしまったのだろう。

 窓の外を見ると、ほとんど一面緑の壁だった。

 山沿いを走っている線路。右を見れば窓のすぐ外に木々がせり出し、左を見ても川を挟んで反対側に山。海はとうの昔に見えなくなっていて、急峻な斜面に挟まれた車内からは、空もほとんど見えない。

 田舎を走る電車は車輪のバネが古く、揺れがひどかった。騒音も酷く、車内は静けさとは程遠い。そもそも、動力にディーゼルエンジンを使用しているこの乗物は電車ではない。正確には気動車というらしいが、地元では皆、汽車と呼んでいる。四国も松山より西には、いまだ架線が通っておらず電車は走れない。

 一人だけの車内は、エアコンが効きすぎていて少し寒い。ボストンバッグの中から上着を一枚取り出して上に羽織る。しばらく寝ていたから、身体が冷えていた。

 すでに数時間座りっぱなしで大いに疲れていた。

『次の停車駅は~…』

 連続するトンネルに出たり入ったりしているうちに、車内放送が流れ始めた。鼓膜に届くしゃがれた声。 古臭いスピーカーから流れる上に、車両の震動とディーゼルエンジンの音でほとんど聞き取れない。

 でも、次の停車駅を間違えることはない。

『…内子~、内子~』

 雑音混じりのその放送を、脳内で補整する。

「帰ってきたな……」

 いくつものトンネルを超えて見えてきた、懐かしい風景。

 三年ぶりの故郷だった。

昔書いた作品を、添削しながらUPしていこうと思います。

頑張って更新していこうと思いますので、お付き合い頂ければと思います。

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