Ep22 秘密基地
士官学校に入学して1年が経ち、新しい学生も入ってきた。
次第に自分の周囲とのスタンスの取り方も難しくなってきたような気がする。
何よりこの学校という堅苦しい場所では、僕らがたむろ出来るような場所がないのである。空き教室なんかで騒いでいると、うるさい教官が怒鳴り込んでくるのだから。
次第に皆、思い思いの場所に散らばるようになった。
「どっか、心当たりあらへん?」
目の前でもくもくと本を読んでいる藍に声をかける。
「そうねぇ・・・どこかあるといいんだけど。愁も本に興味ないのに図書館なんかに毎日つき合わされて退屈でしょ?」
「いや!僕は好きでついてきてるだけやから・・・」
そ、と明るく笑ってまた本に視線を落とす。
「お兄さん方はめいめいで忙しそうだからねぇ。来斗もなんか大学校の方に出入りしたりしてるみたいだし。まぁ、年齢的に言えばあの人たちはこういう学園生活っていう年でもないし」
「そら・・・そうやけど」
そんなのあまりに寂しいじゃないか。せっかく友達になったのに・・・
愁くんてば、寂しいんだ!?と笑いながら聞く。
「そ・・・そんなんやない!!!」
「・・・声、大きいよ?」
ここは図書館だから静かにねー、と言う藍を残して図書館を後にした。
「お前は本当平和だなぁ」
深刻な表情で訴えてきた愁に、半ば呆れて言う。
「他に友達、いねーの?」
「そんなん・・・いらんわ!数ばっかりぎょーさんおっても、なんの役にも立たへんやろ?」
町出身の奴ら大勢とよくつるんでる俺に対するあてつけのようにも感じたが、多分こいつにはそんな他意はないのだろう。
最初に会った頃とすると、彼は大分背も伸びて大人っぽくなってきた。
それでも、どうもこういうガキっぽいところは抜けないらしい。
朔月公のところで一人ぼっちで生活していたらしく、人づきあいが苦手なのだ。
藍が年下のくせに姉貴のようにこまごま世話を焼いてやるもんだから、一向にそれが改善されない・・・という悪循環。
「彼女作ったら?」
いきなり愁の後ろから顔を出して、声をかけてきたのは一夜だった。
「きっと楽しくなって忙しくなって俺達どころじゃなくなるぜ?」
真っ赤になって言い返す。
「阿呆か!お前とはちゃうわ!!」
「誰かいないの?好きな子とか・・・」
「そんなんおるわけないやろ!!!」
そうかなぁとにこにこしている一夜。
完全に・・・遊ばれている。
「剣護〜」
教室の外から声がする。
見ると、今年士官学校に入ったばかりの近所に住む少年だった。
士官学校に入るということは将来を約束されたようなものなので、彼の親兄弟の喜びっぷりといったら並大抵のものではない。
「おー、龍介じゃねえか!似合うじゃん、制服」
いひひ、と嬉しそうに笑う。
「おふくろが剣護は先輩なんだからちゃんと挨拶しに行けっていうからさ、教室聞いて遊びに来ちゃったんだ!」
「そっか、さんきゅな」
愁が後ろから顔を覗かせて言う。
「お前・・・新入生か?」
「そうだけど?」
それを聞くと龍介の顔をじっと睨みつけて言う。
「2年生にため口やなんて、ええ度胸やな」
・・・・・・は?
「何言ってんのこのチビ?剣護こいつ本当に2年なのか?」
「チビ言うな!!!」
「浅倉愁。2年だけど、多分お前と同じ年だよ」
「なんだそれ、ずりーぞ先に入るなんて!どんな手使ったんだよ!?」
「それは僕が優秀やったからに決まってるやろ。お前とは違うねん」
得意げに言う愁。
「優秀とかって普通自分で言うかよ!?うっさんくせー野郎だなぁ。ちょっと調子乗ってんじゃねえの?」
「お前こそ、剣護とどういう関係か知らんけど、新入生の分際ででかい顔しすぎとちゃうか!?」
にらみ合う二人。
周囲の生徒達もざわついていて、二人のやりとりを見守っている。
どうやって止めようかと思案していると、ぐいっと腕をひっぱられた。
「一夜!止めねえと・・・」
「いいじゃん!ほっとこうぜ」
楽しそうに言う一夜。
「だってほっとけねえだろ、普通に考えて・・・」
「いいのいいの。いいねえ剣護、明らかに今の愁、ヤキモチだよね!?」
「馬鹿!!!そんな気味の悪いこと言うんじゃねえ!!!」
まあまあと、やはり嬉しそうな笑顔のまま、一夜が言う。
「ああやって、俺達以外の人間とも触れ合ってさ、喧嘩したり仲直りしたりして・・・あいつにも大きくなって欲しいじゃない?せっかく集団生活に身を置いてるんだからさ」
図書館から出て、次の講義の教室に向かう途中、声をかけられた。
「藍!」
見ると、大勢のでっかいお兄さん達の集団の中に孝志郎の姿があった。
「お前まーた図書館かよ!?ちったあ外で遊べ!体に悪いぞ」
「外は紫外線が強くてお肌に悪いんだもん・・・」
くすくすと後ろのお兄さん達が笑う。・・・だから言いたくなかったのに。
「お前はまだ、そんなこと気にする年じゃねえだろーが。友達いねえのか!?」
「いるよ〜?」
だけど・・・女の子達の他愛のないおしゃべりは、一日に一回お付き合いすればもう事足りてしまう。誰と誰が付き合ってるとか、誰がかっこいいとか、毎日毎日そんな話ばっかりなのだ。お化粧のこととかおしゃれのこととか、そういう情報は孝志郎からもたらされるはずもないので私としては大歓迎なのだが。
多分私が子供だから・・・余計に彼女達の気持ちが理解できないのだろうと思う。
そんなことをなんとなく孝志郎に話した。
すると孝志郎はこほん、と一つ咳払いして、声をひそめていう。
「ずっと気になってたんだけど、お前ってさ・・・・・・」
・・・なんてことを聞くんだこいつは。
「それ失礼なんじゃない!?私だってちゃーんと・・・って、なんで私があんたにこんなこと言わなきゃなんないのよ!」
「そ、そうか・・・安心した・・・・・・子供とか言うから、気になってだな」
「孝志郎の馬鹿!!!」
休み時間に珍しく一人で歩いていると、木陰のベンチに藍の姿を見つけた。
「藍!」
じろっと俺の顔を見る。
「・・・ふーん。今日は一人なんだ?」
いきなり絡んでくる。
「今日は・・・っていうか、今はね」
「人気者だもんねー古泉くんて!」
「そうなんだ、そりゃよかった」
「よかった・・・って、自覚あんでしょ!?」
なんだかとげとげしているようなので、話題を変えることにした。
「今度また剣術の演習あるけど、どうする?また何か賭ける!?」
出来るだけ弾んだ声で言ってみるのだが、賭けない!と一蹴されてしまった。
「どっちが勝ってもいい気持ちしないって、去年のあれでよーくわかったから」
「・・・もっと軽いものにすればいいんじゃないかな?」
今日はとてつもなく機嫌が悪いらしい。とりつくしまもない、といった風。
試しに・・・ちょっと甘えた調子で言ってみる。
「せっかく久しぶりに二人っきりで話出来ると思って来たのにさぁ。ちょっと冷たいんじゃない?楽しい話しようぜ」
「・・・・・・」
じっとこちらを見つめる藍。
さて、どんな反応を示すことやら。
「・・・ごめんなさい」
無表情のまま、つぶやく。
「でも・・・あなたの言ってる意味全然わかんないわ」
そう言って立ち上がると、どこかへ行ってしまった。
・・・これは、想定外。
放課後、図書館で本を読んでいると、片隅で女の子の悲鳴が聞こえた。
「何だ?」
横にいた来斗がつぶやく。
「猫!猫!!」
誰かが叫んでいる。
見ると、どこの窓から飛び込んだのだろう、一匹の猫が図書館を走り回っている。
そして、入り口を飛び出していった。
「私、捕まえる!」
孝志郎とのやり取り以来テンションの低かった今日一日だったが・・・
ちょっと嬉しくなって走り出した。
「こら、待て藍!」
来斗もついて来る。
彼女(彼、かも知れないけど)はこの建物の内部を知り尽くしているように、あっちの教室、こっちの資料室と縦横無尽に走り回る。この建物は敷地が狭くて高さが高いので、階段がやたらと多い。
ぜえぜえ息をきらして、来斗が言う。
「藍・・・任せる・・・・・・」
「だらしないよ来斗!勉強ばっかじゃなくてちゃんと運動しないと!!」
猫はどんどん上に上に階段を上っていく。
「ちょっと!そっち行ったら戻れなくなるじゃない、危ないよ!!」
やがて一番上の扉の前まで行って、立ち止まった。
追い詰めてひょいっと猫を捕まえる。
図書館は一階だけど、ここは一体何階にあたるんだろう。
しんとして、人気のない踊り場。
こんなところまで登って来たの、初めてだった。
扉に手をかけてみる。
鍵がかかっているのではないかと思ったが、いとも簡単に開く。
開いてみて驚いた。
愁のことがふっと頭をよぎる。
見つけた!
猫を抱いたまま、一気に階段を駆け下りた。
猫と一緒に走り降りてきたかと思ったら、いきなり藍はみんな呼んで!と言って俺の腕を掴むと校舎を飛び出した。
ちょうど帰ろうとしていた愁を捕まえ、剣護を捕まえ、一夜を取り巻きの少女達からひっぱがし、孝志郎をガラの悪い奴らの喧嘩騒ぎから連れ出して、全員集合。
「ついてきて!」
なんだか不機嫌そうだった今日一日で一番の笑顔で、藍は塔を登っていく。
そして、屋上に通じる踊り場でもったいぶるようにこちらに振り向いた。
「愁くん、今日私に何て言った?」
「え?」
「どっかみんなで遊べる場所ないかな?って言ったでしょ?」
「あ、ああ・・・言うたけど」
少し間を置くと、いたずらっぽく笑って言った。
「見つけたの」
ばん、と扉を開く。
そこは。
士官学校のキャンパス全体を見渡すことの出来る、心地よい風の吹く場所だった。
静かで、勿論他人に邪魔されることもない。
空調装置などのせり出した屋根は日よけの役割もしてくれるだろう。
どの校舎からも均等に近い場所に位置しているのもいい。
俺達6人が思い思いに過ごすには、格好の場所と言えた。
「すごい!!!さっすが藍はんやな!!!」
興奮気味に言う愁。
「なるほどね・・・ここはいい考えだ」
伸びをしながら言う一夜に、剣護が鋭く突っ込みを入れる。
「いいけど一夜・・・女は連れ込むなよ?」
わかってるわかってる、と楽しそうに笑う。
「どう!?孝志郎!!??」
期待いっぱいの瞳で藍は孝志郎に言う。
腕組みをして、そこらへんをうろうろしてみた後、我らのリーダーは愉快そうに言った。
「いいじゃねえか」
ぱっと目を輝かせる藍。
「今日からここが私達の秘密基地!いいよね、みんな」
それから3年。
青い宝石の埋まった短剣を手に、階下の卒業生達を眺める。
泣いている者、希望に瞳を輝かせる者。
みんなすごく素敵だと思った。
春の草や花の匂いのする風を胸いっぱいに吸い込む。
「こんなところにいたんだ!」
振り向くと、そこにいたのは一夜だった。
「在校生も卒業生も、みーんな藍のこと探してたぜ?」
「あなたは・・・やっと解放されたってとこかしら?」
そうそう、と笑って隣にやってくる。
手には金緑色の宝石の埋まった短剣。
私の視線に気づいて、愉快そうに言う。
「こっちがいいなら交換する!?」
「・・・別に」
「楽しかったね、色々」
「・・・うん」
「藍も、大学校出たら十二神将隊に入るんだよね!?」
「うーん、まだわかんないけど・・・・・・そのつもり」
「じゃあ、あと3年したらまたみんな一緒か」
「でも・・・まだ確定じゃないから・・・」
その時、背後から怒鳴り声がした。
「確定じゃない!じゃねえだろーが!!」
振り返ると孝志郎、そして背後には来斗の姿もあった。
「お前は十二神将隊に入るんだよ!俺の目の届かないところに行っちまったら危なっかしくて見てらんねえからな!」
「それ・・・どういう意味よ?」
そのまんまの意味だ、と自信満々に言う。
「おー、揃ってるな!」
「なんや孝志郎はん、先に来てはったんや」
剣護と愁の姿。
愁はあんなにチビだったのに、今は一夜や剣護と並ぶくらいの身長になっている。
みんなが思い思いに話しているのを見ていたら、なんだか切なくなってきた。
・・・と思ったときにはすでに遅くて、ぼろぼろ涙が流れていた。
「藍!?」
一番近くですぐに気づき、ぎょっとした顔をする一夜。
「何?寂しいの?」
「・・・そんなんじゃないけど・・・」
「だって卒業式で泣くとか・・・・・・女の子みたいだぜ?」
「・・・女の子なんですけど!?」
孝志郎が傍に近づいてきて、いきなり両手で私の頭を掴む。
体をかがめて、ごつん、と自分のおでこと私のおでこをくっつけた。
「いいか、藍。人間てのは一つ所にずっととどまることは出来ねえんだ。常に周囲は変化して、自分もまた変化していく。それが自然だし、それが無ければ成長も発展もねえ」
「・・・だから?」
「去るものを惜しんで泣くなんて後ろ向きなことはやめろ。新しくやってくるものに常にアンテナを張り巡らせて、変化に乗り遅れないようにするんだ。楽しいことはこれからもいっぱいあるさ、それを見逃さないようにしないとな!」
みんな黙って孝志郎の話を聞いている。
「まあ、それでも俺達は変わらねえさ。これまでも・・・そしてこれからもな!」
笑顔で言う孝志郎に、大きく頷いて答えた。
塔を降りると、風牙が顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
「愁さぁん・・・」
ふっと微笑むと、頭をぐりぐりなでてやる。
しかし泣き止むどころか、エスカレートして泣いてしまう・・・
「風牙!男やったらそない泣くな!」
びくっとして、僕の顔を見る。
嗚咽をこらえながら、風牙が言う。
「愁さん・・・僕、僕・・・・・・絶対朱雀隊に入りますから!そしたらまた・・・」
「当たり前や。待ってる」
はい!と周囲が注目するくらいの大声で返事をする。
風牙も入学して一年が経つ。相変わらずのチビだが・・・それは昔の僕と同じだ。
「強くなります、僕。愁さんみたいに・・・」
さっきまで泣いていた顔で、にっこり笑って言った。
「龍介!」
孝志郎が仲間でつるんでいる龍介を見つけると、声をかけた。
「孝志郎さん!何すか!?・・・あ、そうだ!」
きちっと姿勢を正すと、気持ちのいい声で言う。
「孝志郎さん、三日月さん!恩賜の短剣おめでとうございます!!」
「おう、ありがと。そんなめでてえもんでもないけどな」
「孝志郎!?」
相変わらずこういう言い方ばっかりするんだから。
楽しそうに笑いながら龍介が言う。
「でも、なかなかもらえるもんじゃないじゃないすか、うらやましいっす!俺」
「そうかぁ?」
「そうそう。いい後輩持ってよかったね、孝志郎?」
それはそうと、と孝志郎。
「お前、卒業したらどうすんだ?」
「そうだなぁ・・・」
にっこり笑って言う。
「俺にその資格があれば、ですけど・・・孝志郎さんとおんなじ所で働きたいっすね」
「騰蛇隊・・・ってこと?」
「はい!」
ふうん。龍介があの堅い騰蛇隊へ・・・ちょっと想像つかないけど。
でも、そんなこと言ったら孝志郎はどうするんだって話だけど・・・
その返事に気を良くしたらしい孝志郎が、龍介に言う。
「じゃあ龍介。この先俺が騰蛇隊の隊長になったら、お前は伍長やれ」
「え!!??」
「孝志郎あなた・・・本気なの?」
「あったりめえだ、何のために騰蛇隊に入るんだよ!?やるんだったら総隊長!そうだろ龍介?」
「も・・・勿論っす!!!孝志郎さん以外にふさわしい奴はいませんから。でも・・・・・・本当に俺で・・・いいんすか?」
じっと孝志郎の顔を見つめる龍介に、すがすがしい表情で孝志郎は言った。
「そう思うんだったら龍介!あと一年かけて、騰蛇隊の伍長は俺以外にはいねえって思えるくらいまででっかくなって来い。・・・待っててやっからよ」
ちょっと顔を赤らめて、はい!と龍介が返事をする。
「ちょっとちょっとぉ、孝志郎。・・・私は?」
二人の話が綺麗にまとまりそうだったので、焦って言う。
「お前の話はしてねーだろうが」
「えええー!?だって孝志郎、私も十二神将隊にってさっき言ってたじゃない!?それだったら私も混ぜてよ。そうだなぁ・・・じゃ、私草薙伍長の補佐やるわ!」
「えぇ!?三日月さんが・・・っすか?」
「何よぉ、何か不満!?」
「いや・・・身に余る光栄だな・・・・・・と思いまして」
「卒業かぁ」
つぶやく一夜の横顔が夕焼けの赤い色に染まる。
「ずっと言おうと思ってたんだけどさ」
俺の言葉に足を止めて、何?とこちらを見る。
「4年も・・・付き合わせて悪かったなって・・・」
「なーに言ってんだよ」
「だってお前は特に・・・士官学校入る理由もなかったろ?俺のせいなのかなって・・・ずっと思ってたんだ」
そんなことか、と楽しそうに笑って、再び俺の顔をじっと見て言った。
「俺もずっと剣護に言おうと思ってた。『ありがとう』ってさ」
「え?」
「おかげで孝志郎たちとも会えたし、いろんな経験も出来たしさ。俺自身がこの先何がやりたいのか、とか考える機会も与えてもらって。剣護のことがなかったら、きっと俺はずっとこの先も親父の人形だったんだろうな」
「一夜・・・」
「講義とかはだるかったけどさ。今まで好きなことばっかやって生きてきたから、我慢するってことを学ぶことが出来たからね。すごく貴重な体験だったよ」
「そっか・・・」
俺もお前と一緒で良かった。とはさすがに照れくさくて言えなかったが。
「なあ、剣護も勾陣隊に入るんだよな?」
「ああ、そうだけど?」
「楽しみだな!」
「ああ」
「二人であの隊、乗っ取ってやろうぜ!」
え!?
一夜の顔を見ると、笑ってはいるが目は真剣そのものだった。
「どう思う?」
ぺーぺーの若造が何言ってんだって、周囲からは見えるのかもしれないけど。
なんだかお前とならやれそうな気がするよ。
「悪くねえな!」
俺が言うと愉快そうに笑って言った。
「よし!じゃ、これから道場行って稽古して帰ろう!」
「はぁぁ!?お前今何時だと思ってんだ!?」
「まだまだ日はあるし、大丈夫だって!」
うんざりした顔をする俺を置いて少し小走りに道を進む。
そして振り返って、笑顔で言う。
「行くぞ、剣護!」