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『無能』と捨てられた身代わり聖女、氷の竜騎士団長に「僕だけの最高傑作」として溺愛される

作者: 夜乃 凛
掲載日:2026/06/15

読者の皆様、数ある作品の中から本作を開いていただき、本当にありがとうございます!


本作は、虐げられていた無自覚最強の「真の聖女」が、冷徹かつ独占欲の強い「氷の竜騎士団長」に拾われ、これでもかと甘やかされ、溺愛される物語です。


もちろん、お約束の「ざまぁ」や、主人公たちを脅かす悪意を徹底的に粉砕する爽快なバトルアクション(超絶かっこいい氷の六連撃)もたっぷりと詰め込みました!


コミカライズ(コミック化)を本気で目指して、一コマ一コマの映像が脳裏に浮かぶような演出を意識して執筆しております。

ぜひ、アルヴィスの美しさと、リーネの魔力覚醒の瞬間を想像しながら、最後まで楽しんでいってください!

「お前のような『無能な身代わり』など、我が公爵家には不要だ。今すぐ出ていくがいい、リーネ!」


きらびやかな王城の晩餐会。その中心で、第一王子であり私のフィアンセであったカイル・フォン・ルミナスは、ガラスが割れるような甲高い声で叫んだ。

彼の隣には、私の異母妹であるセリアが、まるで怯える小動物のようにしなだれかかっている。


「カイル様、あまりお姉様を苛めないであげてください……。お姉様には、お父様の『神聖魔力』がほんの少しも遺伝しなかったのです。私のように、一瞬で大聖堂の結界を再構築するような奇跡は起こせないのですから……」


セリアの言葉は一見、私を庇っているように聞こえる。だが、その瞳の奥にあるのは、勝者の歪んだ優越感だった。

私の実家であるローゼンベルク公爵家は、代々「王国の結界を維持する」という神聖な役目を担ってきた。その中で生まれた私、リーネは、十歳の魔力測定儀式において『測定不能ゼロ』の判定を下された。

以来、私は「公爵家の恥」「身代わりの無能」と呼ばれ、陽の当たらない離宮に押し込められて生きてきた。

仕立ての悪い、色あせた灰色のドレス。度が合わず、私の顔の半分を覆うような分厚い眼鏡。今日の夜会も、カイル王子の隣で輝くセリアの「美しさと有能さ」を際立たせるための、単なる踏み台として連れてこられたのだ。


「カイル様、お言葉ですが……」


私は静かに口を開いた。分厚い眼鏡の奥で、私の瞳は至って冷静だった。

冷たい嘲笑を浴びせる貴族たち。彼らは気づいていない。私の魔力が『測定不能』だったのは、魔力が存在しないからではない。当時の測定水晶の許容量キャパシティを遥かに超える、あまりにも純粋で強大すぎる「純白の魔力」を宿していたからだ。

実家は、私の本当の価値に気づかぬまま、私の魔力を「屋敷の隠し結界の動力源」として、私の知らぬ間に搾取し続けていた。私が彼らのために夜な夜な編み上げていた魔力糸が、どれほど彼らの地位を守っていたかも知らずに。


「分かりました。カイル様。婚約破棄、そしてローゼンベルク公爵家からの追放、謹んでお受けいたします」


「ふん、物分かりが良いな! 泣き叫んで縋り付くかと思ったが、己の無価値さを自覚しているなら結構だ! 衛兵、この女を今すぐ城門からつまみ出せ!」


カイルが汚いものでも見るかのように手を振る。セリアは私のドレスを見て、ふっと小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

私は深く一礼し、ゆっくりと踵を返した。

(これで、ようやく自由になれる……)

虐げられた日々に、未練など一欠片もなかった。私がこの城を出れば、公爵家を覆っていた真の結界は崩壊する。彼らが誇る「聖女の奇跡」が、すべて私のおこぼれだったと知った時、どんな顔をするのだろう。そんな冷ややかな思考が、頭の片隅をよぎった。


その時だった。


パキィィィィン、と、耳を劈くような音が夜会会場に響き渡った。

窓ガラスが凍りつき、一瞬にして会場全体の温度が氷点下まで急降下する。貴族たちの吐く息が白くなり、シャンデリアの蝋燭の炎が、青白い氷の結晶へと変わっていく。


「な、なんだ!? この寒気は……!」


カイルが肩を震わせ、周囲を見回す。

テラスの巨大な硝子戸が、内側から激しく吹き飛ばされた。吹き荒れる猛吹雪と共に、漆黒の巨大な影が姿を現す。

全長二十メートルを超える、伝説の「黒色竜・ウロボロス」。王国の守護獣でありながら、その気性の荒さゆえに誰も使役できなかった暴虐の竜。

その背から、一人の男が静かに、滑るように降り立った。


冷徹を極めた琥珀色の瞳。月の光をそのまま紡いだような、冷たく輝く銀髪。

漆黒の軍服に身を包み、腰に身の丈ほどもある大剣を帯びたその男は、現れるだけで周囲の空気を圧搾した。


「アルヴィス・フォン・アスガルド……!」


誰かが悲鳴のようにその名を呼んだ。

帝国との国境地帯を守護する、最強最悪の軍事力。人嫌いで冷酷、かつて彼に無礼を働いた他国の使節を、その剣技で一瞬にして氷漬けにしたという「氷の竜騎士団長」アスガルド公爵。


「アスガルド卿……! 暴走した竜を連れて、何の真似だ! ここは王族の夜会だぞ!」


カイルが虚勢を張って叫ぶ。だが、アルヴィス様はその声を完全に無視した。

彼の琥珀色の瞳は、群衆を冷たく通り抜け、ただ一人の少女——仕立ての悪い灰色ドレスを着た私を、真っ直ぐに見つめていた。


軍靴の音が、凍りついた床にコツン、コツンと響く。

アルヴィス様は私の目の前まで歩みを進めると、信じられないことに、その華麗な外套を翻し、私の前に片膝をついたのだ。


「……やっと見つけた。我が命の灯火、そして、僕の最高傑作」


「え……?」


耳に心地よく響く、低く滑らかな低音。

アルヴィス様は、私の泥で汚れたような手を取り、まるで割れ物を扱うかのように優しく包み込むと、その甲にそっと唇を落とした。

その瞬間、彼の手から心地よい微弱な魔力が流れ込み、私の強張っていた身体がじんわりと温かくなっていく。


「ア、アスガルド卿!? 何をしている! その女はローゼンベルク家を追放された、魔力なしのゴミだぞ!」


カイルが信じられないといった様子で叫ぶ。

アルヴィス様は、私に向けた極上の笑みを一瞬にして消し去り、首だけをカイルの方へと向けた。

その瞳は、絶対零度の深淵だった。


「ゴミ、と言ったか? カイル殿下」


「ひっ……!」


「半年前、帝国国境での魔獣戦において、呪毒に侵され死に瀕していた私を、その『純白の魔力』で救ってくれた恩人を……君は無能と呼ぶのか」


「な……半年前に、お前を救った聖女だと!? アスガルド卿、騙されるな! 当時、国境へ派遣されていた聖女はセリアだ! ここにいるリーネは、魔力測定でゼロだったのだぞ!」


セリアが顔を青くしながら、必死にカイルの袖を引く。

「そ、そうですわカイル様! その時、アルヴィス様をお救いしたのは、この私……」


「黙れ、偽物」


アルヴィス様の一言で、セリアの言葉が凍りついた。

「私が、己を救った魂の波長を間違えると思うか? あの時、私の凍てついた胸に流れ込んだ魔力は、暖かく、どこまでも透き通った『純白』だった。君のような、自己顕示欲に塗れた濁った魔力ではない」


アルヴィス様は立ち上がると、私の顔に手を伸ばし、あの不格好な眼鏡を指先でそっと外した。

長い睫毛が揺れ、隠されていた私の素顔が露わになる。

夜会の光を反射して、私の瞳は、まるで最高級のアメジストのように妖艶に輝いた。


「なんて、美しいんだ……」


周囲の貴族たちから、先ほどまでの冷笑とは真逆の、魂を奪われたような吐息が漏れる。


「リーネ。こんな寒々しい場所に、君を置いておけない」


アルヴィス様は私の細い腰を引き寄せ、自身の胸へと抱き寄せた。彼の体温は冷たいはずなのに、私を抱く腕は驚くほど熱い。

「僕の屋敷へ行こう。君が望むなら、君を傷つけたすべてを、この手で塵一つ残さず凍らせてあげる。これからは、僕のすべてを賭けて、君を甘やかし、溺愛すると誓う」


「アルヴィス様……」


私は、彼の胸にそっと身を預けた。

カイルやセリア、そして実家の者たちが、絶望と悔恨の表情で何かを叫んでいたが、黒色竜ウロボロスが放った激しい咆哮が、彼らの声を完全に消し去った。

私たちはそのまま、夜空へと飛び立ち、氷の城へと向かった。


第二章:銀世界の氷帝、その凍土を溶かすぬくもり


アスガルド公爵邸は、北方の永久凍土にそびえ立つ、氷と石で作られた美しき要塞だった。

しかし、その内部は驚くほど温かかった。部屋の至る所に暖炉が燃え、最高級の毛皮や絨毯が敷き詰められている。


「ここは君の家だ。誰も君を縛らないし、誰も君を傷つけない」


アルヴィス様は私を、まるで本物の姫君のように扱い、毎日を甘い毒で満たすように溺愛した。

朝、目を覚ませば、彼自身が私の寝室を訪れ、私のために淹れた温かいハーブティーを持ってきてくれる。


「よく眠れたかい、リーネ。今日も君は、世界のどの宝石よりも美しい」


「アルヴィス様、毎日そのような大げさな賛辞は……」


「大げさなものか。僕にとっては、君の呼吸一つ、指先の動き一つが、世界を揺るがすほどの奇跡なんだよ」


彼は私の前に跪き、私の白い足先を包み込むようにして、自らの手で特製の防寒靴を履かせてくれる。

かつて実家では、冷たい床を裸足で歩かされ、冷水を浴びせられていた私にとって、彼の差し出すぬくもりは、冷え切った魂を芯から溶かしていく至上の救いだった。


「僕の最高傑作。君はただ、ここで僕に愛されていればいい。君の『純白の魔力』は、誰のものでもない。僕の氷を、唯一優しく包み込んでくれる、奇跡の光なんだから」


アルヴィス様の琥珀色の瞳は、私を見つめる時だけ、とろけるような甘い蜂蜜の色に変わる。

私は彼の執念に近いほどの愛情に、心地よく溺れていった。


しかし、平穏な日々は長くは続かなかった。


王都からの情報によると、私を失ったローゼンベルク公爵家は、今や破滅の危機に瀕しているという。

私の隠し結界の魔力供給が途絶えたことで、王都を囲む神聖結界が急速に弱体化。国境を越えて、凶悪な「古代魔獣」たちが一斉に王都へと侵攻を始めたのだ。


「カイル様、どうして……! どうして結界が維持できないのですか!?」

「セリア、お前の神聖魔力があるのだろう! 早く結界を補強しろ!」

「そんなこと言われても……! 私は、お姉様が残した魔力の残滓を使っていただけなんです! 私の魔力だけじゃ、一日も持ちませんわ!」


王都の防衛会議は、連日怒号が飛び交う惨状らしい。

自らの傲慢さゆえに、真の聖女である私を追い出し、国を滅亡の危機に晒したことに、カイルたちはようやく気づいたのだ。


だが、カイル王子の愚行はそれだけに留まらなかった。

彼は、自らの過ちを認めて私に謝罪するのではなく、最悪の手段を選んだ。


「リーネが、我が国に呪いをかけて逃げたのだ! アスガルド公爵は、国家反逆者であるあの女を匿っている! 竜騎士団長を罷免し、リーネを強奪して、結界の『生贄の心臓コア』として神殿に捧げる!」


カイルは、禁忌とされる古代の魔導兵器を起動し、アスガルド領へと軍を進め始めた。

愛するセリアの地位を守るため、そして自らの王位継承権を守るため、彼は正気を失っていた。


第三章:暴かれた真実、狂える王太子の陰謀


「リーネ。ネズミどもが、君を奪おうとこの領地へ向かっている」


書斎で、アルヴィス様は私の肩を優しく抱き寄せながら、冷ややかに告げた。

窓の外には、猛烈な吹雪。その吹雪の向こうから、王都の紋章を掲げた、異様な軍勢が接近しているのが見えた。


カイル率いる軍勢の中央には、全高三十メートルを超える異形の鉄塊が鎮座している。

古代遺物『魔導巨兵・タイタン』。

人々の魔力を強制的に吸い上げて駆動する、大量破壊兵器だ。その周囲には、魔力搾取の触手に繋がれた魔導士たちが、ガタガタと震えながら歩かされている。中には、私の実家であるローゼンベルク公爵や、泣き叫ぶセリアの姿もあった。


「リーネ! そこにいるのだろう!」


拡声の魔術を通した、カイルの狂気じみた声が、吹雪を割って響き渡る。


「その『魔力なし』の薄汚い身体を、今すぐ我が方へ差し出せ! お前が王都の結界の礎となれば、公爵家も、私の面目もすべて保たれるのだ! 抵抗すれば、この魔導巨兵でアスガルド領ごと、灰にしてくれる!」


カイルの隣で、セリアが狂ったように叫ぶ。

「お姉様! 私の代わりに死んでちょうだい! あなたみたいな無能が、アルヴィス様に愛されるなんて許せない! 早くその心臓を差し出しなさいよ!」


彼らの言葉を聞いた瞬間、私の隣に立つアルヴィス様の全身から、漆黒の魔力が吹き荒れた。

彼の周囲の空気が、ミシミシと音を立てて凍りつき、床から無数の氷のトゲが突き出す。

「……生贄、だと?」

アルヴィス様の声は、低く、静かだった。だが、それは火山の噴火直前のような、恐るべき質量を持った怒りそのものだった。


「僕のリーネを、生贄にする、と言ったか。あのような、ゴミ以下の有象無象どものために……?」


アルヴィス様の琥珀色の瞳が、赤黒く燃え上がる。

「アルヴィス様、落ち着いてください」

私は彼の冷たい手を、両手で包み込んだ。

「私はどこにも行きません。私は、あなただけのリーネです」


私の「純白の魔力」が、彼の手を通して彼の身体へと流れ込む。

暴走しかけていた彼の漆黒の魔力が、私の光と交わり、信じられないほど美しく、透き通った『聖光氷』へと変化していく。

「リーネ……。君は、どこまで僕を救うんだ」

アルヴィス様は私の額にそっとキスをすると、腰の大剣を引き抜いた。

その大剣は、私の光を吸い込んで、ダイヤモンドのように白く、眩しく輝いていた。


「リーネ。僕の戦いを見ていておくれ。君を傷つけようとするすべての愚か者を、僕の最高傑作である君の光を借りて、絶対の静寂へと沈めてみせる」


「はい。あなたの勝利を、信じています」


私は彼に、最高の祝福の魔術を付与した。

私の魔力と、彼の最強の剣技が、今、一つになる。


第四章:氷華絢爛・絶対零度の六連撃


アルヴィス様は、黒色竜ウロボロスの背に乗り、一人で敵の軍勢の前へと降り立った。

吹雪の中、銀髪をなびかせ、大剣を片手で下段に構える。その姿は、一人の神が地上に降臨したかのような、圧倒的な美しさと威厳に満ちていた。


「ははは! 狂ったか、アスガルド! たった一人で、この魔導巨兵に挑むつもりか!」

カイルが魔導巨兵の操縦席から嘲笑する。

「全魔力充填! タイタン、あの不遜な竜騎士を、その足で踏み潰せ!」


魔導巨兵がガシャリ、と音を立て、巨大な金属の足を振り上げた。

その質量は、一撃で城門をも粉砕する破壊力。


しかし、アルヴィス様は微動だにしなかった。

ただ、彼の琥珀色の瞳が、冷酷な光を放つ。


「君たちの罪は、僕のリーネを傷つけ、そして、僕から奪おうとしたことだ。その報いは、君たちの貧弱な想像力を遥かに超える」


アルヴィス様が大剣を、ゆっくりと、天に向けて掲げた。

「その罪を、絶対零度で贖え」


彼の口から、伝説の剣技の真名が紡がれる。


「——『神極・氷華六皇斬ヘキサ・グラキエス』」


この瞬間、コミカライズにおける「最高潮の見開き」が始まる。

彼の身体から放たれた魔力が、私の純白の光と共鳴し、天空から巨大な「光の氷結晶」が降り注ぐ。


【第一撃:『初咲はつざき凍土穿とうどせん』】


アルヴィス様が、大剣を地面に向けて突き立てた。

ズガガガガガガッ! と、凄まじい地響きと共に、地面から白銀の氷柱が、大樹の根のように急速に伸びていく。

その氷柱は、魔導巨兵タイタンの巨大な両足を瞬時に包み込み、地面へと完全に縫い付けた。

「な、なんだと!? 足が動かん! 出力を上げろ!」

カイルが焦って叫ぶが、巨兵の金属の足は、絶対零度の氷に侵食され、ミシミシと嫌な音を立ててひび割れていく。


【第二撃:『双葉ふたば千氷刃せんひょうじん』】


アルヴィス様が大剣を横一文字に薙ぎ払う。

彼の背後から、無数の、本当に数千、数万という数の、桜の花弁に似た「光の氷刃」が生成された。

シュアアアアアッ! と、美しい音を立てて放たれた氷刃の嵐は、魔導巨兵が展開していた古代の防衛障壁を、紙切れのように切り裂いた。

それだけに留まらず、巨兵の両腕、肩の武装、そしてカイルたちの周囲に展開されていた大砲のすべてを、ミリ単位で完璧にスライスし、鉄くずへと変えていく。

「ヒ、ヒィッ!? 私の自慢の魔導巨兵が……一瞬でバラバラに……!?」

カイルが腰を抜かし、操縦席でガタガタと震え出した。


【第三撃:『三千世界さんぜんせかい氷河崩ひょうがほう』】


大剣を上空へ振り上げる。

敵の軍勢の頭上、はるか上空の暗雲が渦を巻き、そこから、全長数百メートルに及ぶ「超巨大な氷山」が、逆さまのピラミッドのように出現した。

その圧倒的な視覚的絶望感。

「あり得ない……! 人間に、これほどの天変地異が起こせるはずがない!」

ローゼンベルク公爵が、恐怖のあまり失禁しながら叫ぶ。

アルヴィス様が剣を振り下ろすと、その氷山が、凄まじい風圧を伴って落下。敵の魔導部隊、そして巨兵の残骸を、その超質量で一瞬にして押し潰し、地面ごと完全に平伏させた。


【第四撃:『四葩よひら結界縛けっかいばく』】


「まだだ。まだ、君たちの『悪意の心臓』が動いている」


アルヴィス様が左手を前に突き出し、指を軽く曲げる。

氷山の下から、極太の「凍てつく魔力鎖」が蛇のように這い出し、這いつくばるカイル、セリア、そしてローゼンベルク公爵の身体を、締め上げるように縛り付けた。

「あ、熱い……! いえ、冷たすぎて、身体が焼けるようですわ……! カイル様、助けて!」

セリアが泣き叫ぶが、鎖は彼らの魔力経路を直接凍結させ、その体内にある魔術回路を、内側からバキバキと粉砕していく。彼らは二度と、魔法を使うことも、聖女を名乗ることもできない体へと堕とされたのだ。


【第五撃:『五行ごぎょう絶零獄ぜつれいごく』】


アルヴィス様が大剣を鞘に収め、一歩、歩みを進める。

その瞬間、敵の軍勢を中心とした半径数キロメートルの空間、その空気そのものが凍りついた。

熱エネルギーが完全に消失し、分子の運動が停止する。

カイルたちの叫び声も、セリアの涙も、すべてが時間の止まった氷の彫刻のように、その場に固定された。

悪意、傲慢、嫉妬、貪欲——彼らが抱いていた醜悪な感情のすべてが、純白の光を放つ氷の結晶の中に閉じ込められ、美しく、冷酷に、沈黙させられた。


【第六撃:『六華りっか天墜氷蓮華てんついひょうれんげ』】


そして、最後の仕上げ。

アルヴィス様が、静かに天を見上げた。


「これで、終わりだ。僕の最高傑作を、二度と汚させない」


天から、巨大な、息をのむほど美しい「氷の蓮の花」が、ゆっくりと舞い降りてきた。

その大きさは、戦場全体を覆うほど。

蓮の花弁が、凍りついた敵の軍勢に触れた瞬間——。


キィィィィン……。


静謐な、鈴の音のような音が響き渡り、魔導巨兵の残骸も、カイルたちを縛る氷山も、すべての敵対勢力が、塵ひとつの残さず、美しく、光り輝く「氷の結晶の粉」へと砕け散った。

吹雪が止み、雲の隙間から、美しい太陽の光が差し込む。

戦場だった場所には、ただ、キラキラと輝くダイヤモンドダストが舞い散る、静寂で美しい白銀の世界だけが残されていた。


終章:僕だけの最高傑作、君と歩む未来


「……終わったよ、リーネ」


アルヴィス様が、ウロボロスの背から降り立ち、私の元へと歩み寄ってきた。

彼の大剣は、すでに鞘に収まっている。

先ほどまで世界を滅ぼすほどの死神であった彼の瞳は、私を見つめた瞬間、ふにゃりと、愛おしさに満ちた甘い眼差しへと戻っていた。


「私の、騎士様」


私は走り寄り、彼の胸へと飛び込んだ。

アルヴィス様は私を強く、しかし優しく抱きしめ、私の髪に何度も唇を寄せた。


「怪我はないかい? 怖い思いをさせてしまったね」


「いいえ。あなたの戦いは、世界で一番美しかったです」


「それは、君の光が僕を支えてくれたからだ。君の魔力は、僕の冷たい世界を照らす、唯一の太陽なんだよ」


その後、王都を襲った魔獣たちは、アスガルド公爵領の竜騎士団によって完全に駆逐された。

カイル王子は、国家を危機に陥れ、禁忌の兵器を使用した罪で王位継承権を剥奪され、北方の鉱山へと永久追放された。

ローゼンベルク公爵家は取り潰され、偽りの聖女であったセリアは、魔力回路を完全に破壊されたことで、ただの傲慢な狂女として、教会の隔離施設で一生を送ることになったという。


国を救ったのは、アスガルド公爵、そして彼が「真の聖女」として娶った私、リーネであることは、今や誰もが知る事実となった。


「リーネ。僕の、世界でただ一つの最高傑作」


美しくリフォームされた公爵邸のバルコニーで、アルヴィス様は私を後ろから抱きしめ、耳元で甘く囁いた。

「一生、君を離さない。君のその美しい瞳も、純白の魔力も、僕のこの凍てついた心臓を溶かすぬくもりも、すべて僕だけのものだ」


「はい。私も、あなたのそばに、一生寄り添います」


私たちは、舞い散る白い雪の中で、深く、甘い、誓いのキスを交わした。

私たちの未来は、もう二度と、冷たい泥にまみれることはない。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

リーネの純白の魔力と、アルヴィスの圧倒的な『絶対零度の六連撃』はいかがでしたでしょうか?


カイル王子や実家の者たちが、自らの愚かさを知って氷の塵と消え去るシーン、そして何よりアルヴィスの「僕だけの最高傑作」という熱い執着と溺愛を楽しんでいただけていれば幸いです。


本作は**「コミカライズ化・書籍化」を本気で目標にして執筆いたしました。

もし「このシーンを美麗な作画の漫画で見てみたい!」「アルヴィスの六連撃を大ゴマで拝みたい!」と少しでも思っていただけましたら、ぜひページ下部にある【★★★★★】による評価や、【ブックマーク登録】**で応援していただけると、夢の実現に向けてもの凄く大きな一歩になります!


皆様のワンクリックが、リーネとアルヴィスを次のステージ(コミックス)へ羽ばたかせる最大の魔力になります。

どうぞよろしくお願いいたします!

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