◆8.学力と画力調査はどうだったっけ
渡瀬チサ:「なるほどな…。前任のカズハがどうして性格を変えろと促したのかよくわかったわ」
新部和葉:「あっれ…? ひょっとしてチサ兄、ケンカ売ってる?」
渡瀬チサ:「売ってない。逆に感心してるんだ。それだけ素の自分がありながらスイッチを切り替えるがごとく性格を変えていたんだ。役者でもあるまいし、お前はよくやっていたよ、偉い偉い」
新部和葉:「頭を撫でてくれるのは嬉しいんだけどさ? 私ほどではないにしろ、女の人って大体こんなもんだよ?」
和葉の頭を撫でていた渡瀬の手が止まる。
新部和葉:「だから、この世界線の〝サラサちゃん〟にはピュアっピュアに育ってもらいたいわけよ」
渡瀬チサ:「やめろ…! 僕に現実を突き付けるんじゃない…!!」
新部和葉:「いや…あのね? こんな事態に巻き込んどいてなんだけどさ、家庭とか持ってもらっても全然構わないからね?」
渡瀬チサ:「否だ! 僕には異世界アースセザードとヒーロー達を救う お前を 助ける使命があるんだ、そんな暇は無い!!〔クワッと目を見開いて〕」
新部和葉:「暇とか言っちゃったよこの人…。あ~、この世界線でも独身確定か~。メチャクチャお金持ちになるんだけどな~」
渡瀬チサ:「そんなことよりもだ、話を戻すぞ? 日本史の年号はどうして微妙にズレた数字を憶えているんだ? デタラメにしては近い数字を書き込んでるし、うまやどはひらがなだけど詳しい方の名前が書いてある」
新部和葉:「あ…! ひょっとして、1185年じゃなくて1192年だったりする? 後はなんだっけ…、聖徳太子?」
渡瀬チサ:「わかってるじゃないか。…ってまさか、ウソだろ? 冗談キツいぞ?」
新部和葉:「未来ではそっちの方がバツだからね~。あと他には何だったかな……そうそう! この国語辞典だと……え~と……、これこれ、的を得るは誤用だって書いてあるじゃん? これが後々になってやっぱOKになったんだけど、それを知ってる人と知らない人とで、誤字修正するのに揉めることがあったってカズハさんがキレてた」
渡瀬チサ:「えぇ…? そんなことあるぅ?」
新部和葉:「あったんだよね~未来では。2030年代には、おもむろにの意味が、不意にとか急にの意味合いに完全に置き換わっちゃったし」
渡瀬チサ:「マジでか…。――いやでも? わからない話でもないか? 最近になって全然大丈夫だとか、アホな使い方をする奴が受け入れられつつあるし…。未来がそんなことになっていたとしても不思議ではないか」
新部和葉:「……え? 全然平気とか、全然イケるはフツーに使うでしょ?」
渡瀬チサ:「そうか…。言葉は生き物だとはよく言ったものだな。歴史も新しい事実が発見されれば変わるものか。ま、頑張れよシナリオライター? 前世の記憶を完全に引き継いでるなら一字一句コピペも可能だろうが…。そのまま複製するか、手を加えるかはお前しだいだ。その点は任せるからな?」
新部和葉:「あ~…、それも私の頑張りしだいってことか~。真面目に勉強しーよっと」
渡瀬チサ:「その意気だ。参考書なんかは僕のお古が残ってるから、ソレを使えばいい」
新部和葉:「助かるわー。高校受験くらいは余裕でパスしたいからね~」
目標の一つは、3年後の2004年までに、高三レベルの現国+古文と日本史の勉強を済ませることに決まったのだった。
―――◆第1章◆第2幕―――
そして後日、別の日。
新部和葉:「フッ…、どうよチサ兄、私の画力は?」
渡瀬チサ:「線がガタガタだな」
新部和葉:「くっ…どうして! どうしてこんなにもアナログは難しいの!? 画材の使い勝手から覚えてかなきゃダメじゃん! アナログでも描ける人たちマジ神だから! 一生尊敬する!! って言うか…、ペン入れした後にコピック使うと線がにじむんだけど、どうしてぇ?」
渡瀬チサ:「おいおい? コピック一本400円もするんだから気をつけて使ってくれよ? コピックの方に黒インクが染み込んでるじゃないか」
新部和葉:「そんなこと言われたって、にじんじゃうものはにじんじゃうし」
渡瀬チサ:「う~む…? それじゃあ、線に触れないように塗るとか?」
新部和葉:「でもそれって、絵が大きくないとメッチャ難しいんですけど?」
渡瀬チサ:「じゃあどうしたもんか…? みんなどうやって使っ…、あ! 悪い…。この手の作業は門外漢だからすっかり忘れてた。知り合いのサークルはコピックを使うときカラーインクでペン入れするとか言ってたな、確か」
新部和葉:「カラーインク…!? 何それ知らない…」
渡瀬チサ:「何だっけかな…? CLAMPの真似をしてどうたらこうたら話してた記憶はあるんだが…」
新部和葉:「え…? クランプって、あのカードキャプターの? クリアカード編よかったよね~」
渡瀬チサ:「・・・は? くりあカード編…? 何それ知らない…」
新部和葉:「おっといけない…。盛大なネタバレかましちゃったわ」
渡瀬チサ:「おい…!! 続くのか!? 近い内に続編が始まるのか!?〔和葉の肩を掴んで揺さぶる〕」




