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★59.舞台裏と、次元を超えてきた黒幕


ジョゼット:『〔心から嬉しそうにほほえんで〕さすがはルナさま。

       ですが、ルナさまとレンさまには大事な役目を果たしてもらわなければなりません。

       〔二人へと手の平を差し向けて〕


       ━━ ナイトスコープ ━━。━━ マルチペアリング ━━』



 瑠東ルナ:「わっ…!? 何これ…!! えぇっ…!? なんか、急に明るく見えるようになったんだけど!」


 瑠東ルナ:(しかもなんか…! すっごい遠くまで見えるじゃない!!)


 樫草レン:「これは…!? なんてことだ、ルナの視界か!!」


 瑠東ルナ:「えっ、どゆこと?」


 樫草レン:「今キミの見てる景色が僕にも見えるようになったんだ!! あぁそうか、これが僕のオーラか…! 素晴らしい力だけど、普段からこんな風に見えてしまうのか」


 瑠東ルナ:「あ、そっか! あたしにとっては日常的に見えてる人のオーラでも〔そこでハッと気がつく〕待って? あたしには暗視と望遠の魔法…、レンには視界の共有…ってことは!」


ジョゼット:『そうなのです。半神ヌノは、半分が人の身でありながら、

       人を苦しませることが神としてのあり方であると、どんな手段もいとわない高次元の存在なのです。

       ゆえに、いざその身がおびやかされれば、半神のチカラをいかんなく発揮することでしょう』


 瑠東ルナ:「じゃあ! あたし達の大事な役目って、そういうことなの!?」


 樫草レン:「ですがジョゼットさん、いくらエルフの弓と言えど、この15歳の身体では」


ジョゼット:『わかっておりますわ。━━ スキルコンバージョン ━━』


 瑠東ルナ:「わっ…!? 何よ今度は? 身体がポカポカし始めたんだけど?」


 樫草レン:「これは…? 弓が軽くなった?」


ジョゼット:『いいえ。あなた方が別世界線でモデルとして役者としてつちかってきた技能を、

       一時的にフィジカルと基礎魔力に変換し、ステータスを底上げしたのですわ』


 樫草レン:「ということは…、僕たちの磨いてきた芸能が戦闘力に…?〔試しに弦を引いてみると〕なっ…!? さっきまでビクともしなかった弓づるが、こんなにも軽く…!!」


 瑠東ルナ:「それなら…、トア達なんかは!」


ジョゼット:『はい。プリマメの開発に心血をそそいできたスタッフの皆さまは、

       そのぶん超人的な肉体と、人の何倍もの魔力を行使することができます。

       とはいえ、今回は武器しかお渡しすることができないので、

       半神ヌノの攻撃は、どうにか皆さま自身でしのいでもらうしかありません』


 瑠東ルナ:「しっ…しのぐってなによ? 勝てないって言うの?」


ジョゼット:『いいえ。ソウルテイカーを出させ、肉体をほろぼし、

       霊体の状態に追いやることができれば一旦は勝ちです。

       しかし、半神ヌノは神器に次ぐ 擬神器 を作り出すことができるのです』


 瑠東ルナ:「ギ神器…?」


 樫草レン:「伝説の武器ほどではないにしても、それに近い物、擬似的な神器ということですね?」


ジョゼット:『ええ、解釈はそれで間違いないのですが…。

       武具と呼ぶには程遠い、熾天使の翼や、神話の多頭蛇でさえも、

       材料がそろえば ギ神器として 生み出すことが可能なのです。

       つまり半神ヌノは、それらをまとって現れる可能性が――』



【カメラ:暴風吹き荒れる暗闇の空に切り替わり、雷雲のゴロゴロとした前ぶれも無しに突如として雷が何度も何度も立て続けに海面へと落ち始める】



ジョゼット:『来ましたね…。こちらで現場を配信します。

       お二人は弓を引く準備に入ってください』


 瑠東ルナ:「任せて! じゃあ、あたしが見るわけだから」


 樫草レン:「〔弓立てから矢を取って〕ルナは弓の引き方を教えるように僕の背中へ密着してくれ。今の僕はキミと同じくらいの身長だから」


 瑠東ルナ:「そっか! こうしてレンの左手にあたしの左手をそえれば…、オッケー! これであたしが見て、レンが狙いをさだめられる」


ジョゼット:『では、これより配信を開始します。

       お二人とも、覚悟をもってご覧になってください』



 そう言ってジョゼットの立体映像から、現場の配信映像に切り替わると。


 海中に静止している半神ヌノの異様な姿に、さしもの二人も衝撃を受けざるを得なかった。



 そこだけ切り取られたかのような、異常なほどに真っ白な 肌。


 ボブカットの髪も 銀糸まじりの白髪 で。


 瞳は赤く、右目の奥にだけ 機械のような歯車 がゆっくりと回転している。



 服装は、古代ギリシア人女性が着用していたペプロスと呼ばれる袖のない衣服に近い。


 完全防御と回復機能を有するそれは、そのじつ大きな布1枚でできているシンプルなデザインなのだが。


 半神ヌノは、人の姿をしている部分だけでも 5メートルは有ろう 大きさだったのだ。



 だが、それだけであったらまだ救いはあったかもしれない。



 なぜなら奴の背中からは、熾天使のような翼が6枚も生えており。


 自然なドレープで波打つスカートの下からは、下半身の代わりに、邪竜としか思えない多頭蛇が生えていて。


 その長い首の数々を、ウネウネとくねらせていたからだ。



 しかも熾天使の翼は、6属性の魔法を同時に行使可能。


 多頭蛇のヒュドラは、自動で敵対者と戦う生物兵器である。



 つまり奴は、ここで戦いになることを、あらかじめ知っていてやって来たのだ。



ジョゼット:『ご覧いただいた通り、初めから全力装備で現れたからには


       〝またも〟予言書を使ったわけです。


       カズハさまとサラサさま達が何度バトンをたくしても、何度対策を練ってもうまくいかなかったのは、

       半神ヌノがそのつど時をさかのぼり、ギ神器の予言書を使って先回りをしていたからなのです。


       そしてもしここで食い止められなければ、奴はこの地球でも神としてふるまうことでしょう。

       それだけは絶対に防がなければなりません。ですからルナさまレンさま、いざというそのときは、頼みましたよ?』


 瑠東ルナ:「もちろんよ!」


 樫草レン:「必ずやこの一矢、むくいてみせます」




====[ティップス・補足情報]====


 マーメイドテール組の5人は、海底に移った五つの武器『ウィークネスデザイナーズ』に対し、

 ひょっとして5人同時にふれれば何か起こるのではないかと試したところ、


 ジョゼットの立体映像が現れ、


 瑠東・樫草組よりかは 早く ジョゼットと話し始めていたのだが。



 ジョゼットはある手段を使って同じ時間帯に、

 マーメイドテール組と、瑠東・樫草組の応対を〝 同時に 〟行っていたのである。



 ちなみに、瑠東・樫草組から すれば、

 マーメイドテール組も自分たちと同じ対応をされたものだと想像がつくが、


 マーメイドテール組は、瑠東と樫草まで巻き込まれているとは〝聞かされていない〟ので、

 舞台裏が用意されていること自体知らない状況にある。


=======[END]========


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