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★58.何度バトンをたくしても上手くいかなかった理由


 一度2031年までの人生を経験した自分が、こうしてまた似たような人生を繰り返している。


 それは言いかえれば、瑠東のよく知る和葉が命を落としたことを意味するのだ。


 なにせ、自分のよく知るサラサがこの世界線でニイベカズハになっているからには。


 前の和葉は普通に考えたら諦めるしかない。


 だから瑠東はショックを受けたわけなのだが…。



 そこに見知らぬ老婆のジョゼットから、前の和葉を取り戻す方法があると言われたのだ。


 感情がもうジェットコースターでメチャクチャではあるが。


 このワケのわからない状況が、親友を取り戻すためのお膳立てであることは理解した。



 瑠東ルナ:「オーケーありがと…、少し冷静になった〔樫草の支えを借りてしっかりと立ち上がる〕それで? 事情を説明してもらえる?」


ジョゼット:『はい。カズハさま達が次の代へ、次の代へとバトンリレーをつないできたのに対し、

       真の黒幕は神器を使って〝 タイムリープ 〟を繰り返していたのです』


 瑠東ルナ:「タっ…!? タイムリープですって…? じゃあ…時間を巻き戻して?」


ジョゼット:『はい。異世界の人類滅亡計画を、カズハさまとサラサさまに食い止められるたびに、

       手を替え品を替え、235年もの歳月をいくどとなく繰り返していたのです。

       そしてそのつど、新たなカズハさまとサラサさま達が立ち向かってこられたわけです』


 瑠東ルナ:「そんなの…っ、いたちごっこじゃない!」


ジョゼット:『ええ、それゆえに、真の黒幕もこの繰り返しを断つべく動いたのです。

       人類を苦しめる存在の〝 神 〟は直接手を下してはならない――、

       そんなオキテを破ってまでも〝 半神 〟はみずから動き出し。


       用意周到に策をめぐらせ、カズハさまを騙し討ちするにいたったのです』



 その言葉にはさすがの瑠東も我が耳を疑った。



 瑠東ルナ:「ちょっと今…、半分は神様の 半神 って言ったの?」


ジョゼット:『はい。神器を世に生み出した 器創神 と、人間の間にもうけられた娘、


       器創半神 ヌノ こそが、すべての元凶だったのです』


 瑠東ルナ:「きっ…、きそう半神…?」


 樫草レン:「伝説の武器を作り放題な神様の娘――、という認識で合っていますね?」


ジョゼット:『おおむねその通りです』


 瑠東ルナ:「そっ…!? そんなの勝てっこないじゃない!」


 樫草レン:「いや、相手は器創神の本人ではなく、その娘の半神なんだ。であれば、生み出せる神器も親と同等の物ではないはずだ。勝機があるとしたら、恐らくはそこにある」



 そう言って樫草は、石から削り出されたとおぼしき弓立てに歩み寄り。


 どう考えても弓立てとつながっているように見える『石でできた弓』へと手を伸ばして。


 それを掴むと、一瞬で石化を解き、自分の手に持ってみせた。



ジョゼット:『エルフの弓、エルヴンボウですわ』


 瑠東ルナ:「今の今まで石だったのに…!〔ハッとする〕ちょっと待って…? トアとカズハが奇妙な石の武器を見つけて、そのとき撮っておいた写真を参考に、プリマメVRの伝説の武器、ウィークネスデザイナーズを作ったんだって裏話を聞かせてもらったことがあるんだけど…。なんか…時系列がおかしくない?」


ジョゼット:『〔いまだ目を閉じたままほほえんで〕さすがはルナさま、ご明察ですわ。

       サラサさまが無詠唱――もとい、心象魔法を習得するために遊びつくしたプリマメVR。

       そのゲームに登場した伝説の武器のモデルが、今日の一夜かぎり、姿を現すとしたら…。

       前任の行動をなぞる上でも、確認しに来ざるをえないでしょう?』



 ジョゼットのはぐらかした返答に、瑠東は誘導される。



 瑠東ルナ:「! だからあの子…」



 気乗りしない様子であるのに、†エマ†の格好を再現してまで。


 聖地巡礼みたいなものなんですと、はかなげな様子で語っていたのだ。



 瑠東ルナ:「じゃあ、ここを訪れたのも…、生前のカズハをしのびにやって来たようなものじゃない! だっていうのに…あなたなんでしょ!? その武器を沖の方に移したりして! 一体何が目的なわけ!?」


ジョゼット:『それはもちろん、海獣神レヴィアタンさまの加護が、海の中でこそ活きる〝水中自在〟だからですわ。

       相手が巨体であればあるほど、水の中では動きを制限することができるでしょう?』


 瑠東ルナ:「ちょっと! ちょっと待ってよ!? 何を言ってるの? それじゃあまるで」



ジョゼット:『器創半神ヌノは、見た目の姿と名を変え、

       冒険者ご用達の行商人、エルフの メンプ という名で各地を渡り歩き。


       四大封印塔の近辺に現れては、サラサさま達と接触を果たし、

       掘り出し物の押し売りに現れていると見せかけて、


       サラサさまの魂に〝 しるし 〟を付けていたのですわ。


       それはこの世界で言うところのGPS発信機だったのです』



 瑠東ルナ:「じゃあなによ…!? 来るって言うの? 異世界アースセザードから、この地球に!?」


ジョゼット:『もうまもなく…。次元をこえて、この伊豆半島 沖 にやって来るのです』


 瑠東ルナ:「冗談じゃないわよ! 話が急すぎる!」


ジョゼット:『ですが、悪い話ばかりではないのです。

       エルフのメンプとして正体をいつわり、カズハさまに騙し討ちをしかけた半神ヌノですが、

       思った以上の抵抗を受け、奥の手を出さざるを得なかったのです。


       それが ソウルテイカー と呼ばれる、突き刺した対象の 魂 を奪う剣。


       真名は ソウルテイカーギヴァー 。


       元はと言えば、器創神さまがお造りなさった、魂を移し替えるための、救済用の剣なのです』



 それを聞いて瑠東に衝撃が走った。


【カメラ:瑠東の視点で樫草を見ると、目を合わせた彼はしかとうなずいてみせる】



 樫草レン:「ここで半神ヌノを追いつめて、奥の手を出させるんだ」


 瑠東ルナ:「そうしてソウルテイカーを奪うことができれば!」


ジョゼット:『ただし、ソウルテイカーは神格を宿す者にしか扱えない神器なのです。

       カズハさまの新たな肉体も必要となります。

       再び異世界に持ち運び、しかるべき工房で手を尽くしても、

       カズハさまの復活には300年もの月日がかかるでしょう』


 瑠東ルナ:「さんっ!? 三百年もかかるの!? …………、そっか…。奪えたらハイお終いってわけじゃないのね。だ か ら な ん だ っ て 言 う の よ !? たとえどれだけかかろうと、復活したカズハに会えなかろうと! あたしは神様にだって弓を引いてみせるわよ!! ジョゼット――、いいえジョゼ! あたしにも弓矢をちょうだい! これでも長年レンの弓道に付き合ってきたの、やってやれないことはないわ!!」


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