表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/61

◆54.トアの〝あれ〟はガチで謎なんだよね


 つまりこの〝演出〟は、和葉なりに考えがあってのことだろうと歩き出し。


 †エマ†に向かっていたはずの住和は。


 いつの間にやら、自分の歩みが それていた ことに気がついた。



 住和トア:「――は?」



 †エマ†の足元に置かれているランタンは、小規模な範囲しか照らしていない。


 そのせいで、今まで見えなかったのだろうか?


 住和が立ち止まった目の前には、こつぜんと『石の杖』が突き立っていたのである。



 住和トア:(な…にコレ…? こんなもの、さっきまであった?〔杖が刺さっている砂浜の地面に目をこらし〕って、どういうこと?)



 住和は上着のポケットからガラケーを取り出し、それでライトをつけて地面を照らし出した。



 住和トア:(この杖…、無造作に突き刺してあるんじゃない…)



 かがみ込み、杖の 根元の 砂を払っていけば――――。


 それが石の台座と 一体化している ことがわかった。


 しかも、いびつなアルファベットで名前が刻み込まれている。



 住和トア:(ワンドシューター…よね? なんだかすごく古そうなものに見えるけど…――って、この台座、ひょっとして? 地続きになってる?)



 そう。その台座は、ゆるやかなカーブで半円の弧をえがくようにして伸びている。


 左は†エマ†が格闘している『石の剣』の方へ。


 そして右のもう一方はと言えば――。


 さすがにそんなわけないよね? と急ぎ、駆け寄ってもみれば、住和の予感は的中してしまった。



 住和トア:「武器のどれかとは思ったけど…〔根元の砂を払い〕これは…ピアーストライクか。まあ、どこからどう見ても槍よね」



 となれば必然的に、中央に位置している『石の剣』の〝向こう側にも〟武器が並んでいる可能性が高い。



 住和トア:(これはアレか、今は石化している伝説の武器ってやつか。またベタな物を用意しちゃってからに)



 そう思いかけて、住和は自分の考えを否定した。



 住和トア:(待って? 武器を浜辺に突き刺しておく〝だけ〟ならまだしも、この『石の槍』だって台座と一体化してるのよ?〔試しに引っぱってみるも〕やっぱりビクともしない…。考えられるとしたら、よっぽど大きな岩からコレらを 削り出した? としか考えられない代物なんだけど…)



 武器が一体化している台座は、端から端まで恐らく10メートル弱はある。


 いくら和葉の仕掛けだとしても、こんな大規模な工事をできるはずがない。


【カメラ:住和の頬に、ひとすじの汗が伝うさまがアップで映る】



 住和トア:(オーケー…わかったわ。だからそこのエマは、一つのことに気を取られてるわけね。それがイレギュラーな事態ともなれば、こちらに気づくわけもないと。それは解釈一致だからいいとして…。じゃあ何よ? これらの武器は、たまたまココに用意されてたってわけ?)



 ともなれば脳が警鐘を鳴らし始める。


 武器が用意されている、ということはつまり、武器が必要となる状況が起こり得るかもしれないからだ。



 住和トア:「いやいやいや…馬鹿馬鹿しい。この現実で? 突然魔物が現れたりするわけないじゃないのよ〔少し自信のなさそうな声になって〕ないに決まってるし…」



 今まさに、自分がフラグを口にしていることを悟った住和は、『石の杖』に駆け寄ると、自分も†エマ†と同じように引き抜きにかかった。


 しかし。



 住和トア:「ほ、ほら…! こっちだってビクともしないじゃない。つまりあたしは当事者じゃないってことよ〔ハァーと息を吐き出して〕あー良かった~…。なんか壮大な物語でも始まるのかと思っちゃったわよ」



 それもこれも、和葉というおかしな存在が身近にいるせいだと。


 こんなことに気を取られるのはいいかげんにして、†エマ†に声をかけようとして顔を振り向かせた住和は。


 何か〝ありえない〟ものが視界の端に映った気がして。


 何だろう? と『石の杖』へ視線を戻すと。


 まさかねと思いながら、再びガラケーを取り出し、ライトで照らし出してみたところ。


 TOAという自分のサインが、すんぶんたがわぬ 筆記で 杖に彫り込まれていて。


 ビクッとした彼女は手からガラケーを落としてしまった。



 住和トア:(なんで…!? あたしのペンネームが…?)



 この長年、イラストなどを描き上げた際に残してきた、いわゆる絵師特有のサインである。


 つまりは、見る者が見れば――、それどころか描いてきた本人が見れば一目でわかるものなのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ