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◆51.元から伊豆には行く予定だったんだよね


―――◆第4章◆第3幕―――【この先クライマックスにつき特殊描写:限定解放を開始】




和葉と八牧が衝突してから1ヶ月後の5月。


 時はゴールデンウイーク後半。


 和葉たちは、たまの息抜きにということで瑠東ルナも誘い。


 伊豆半島 海岸近くの温泉旅館へとやって来ていた。


 その夜のこと。



 瑠東ルナ:「ただいま~」


 新部和葉:「おかえり~」



【カメラ:座卓でノート型パソコンを見ている和葉の横顔と、ドアの向こうから部屋に戻ってきた浴衣姿のルナを映す】



 瑠東ルナ:「あれ? どうしたのよ着替えちゃったりなんかして。これからどこか行くの?〔和葉のとなりへと腰を下ろす〕」


 新部和葉:「うん…。ヨネ姉さん達に頼んどいたブツが届きしだい、やらなきゃいけないことがあってさ〔プリマメの主人公エマの台詞をチェックしていたノーパソを閉じながら〕実はルナにも頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」


 瑠東ルナ:「オーケーオーケー。ゴールデンウィークには伊豆へ行こうって誘われた時点でそんな気がしてたもの〔客室の奥を見やる〕」



【カメラ:ルナが横顔を振り向かせたのに合わせて、広縁でスケッチブックに鉛筆を走らせる浴衣姿のトアが映る】


 ※広縁 = 旅館やホテルの窓際にある椅子とテーブルが置かれたスペースのこと



 瑠東ルナ:「〔声をひそめ〕カズハが〝別の方法でトアの実力を引き上げてみせる〟って言っておきながら、なんにもせずに観光旅行だなんて考えられないもの」


 新部和葉:「ふふ、わかってくれててありがと。そうなのよ。色々と準備が必要でさ…。ヨネ姉さん達には無茶をお願いしちゃったけど、そのぶん私も気合いを入れて〝仕上げた〟から、必ずトアにインスピレーションをわかせてみせる」


 瑠東ルナ:「へ~! あれだけ自分の限界に挑戦し続けてるトアにとなると、頼もしい限りだわ」



 八牧に威勢の良いことを言ったのは和葉なのだから、今回の件は和葉に責任があるわけだが。


 だからと言って絵描きのトアが黙っていられるはずもなく。


 旅行先でもスケッチブックを手放さず。


 自力でキャラ絵をクオリティーアップできないものか、ああでもないこうでもないと摸索を続けているのだ。


 しかし今のキャラデザは〝数々の住和トアが〟商業用の終着点として完成させた究極のデザインなのである。


 それをよわい15にも満たない少女が超えようとするのは至難のワザだ。



 新部和葉:「あ、そうだ。それは一旦置いといて、どうだった?」


 瑠東ルナ:「へ?〔目をパチクリとさせてから〕ああ〝カシグサくん〟のことか。さっきね、アドレス交換したんだよ、ほら〔和葉にデコケーの画面を差し出してみせる〕や~、海岸で見かけたときは今にも死ぬんじゃないかってオーラ発してたから、無我夢中で声をかけたんだけど、カズハたちと別行動したかいはあったと思うよ。なにせ、さっきの別れ際なんかもう別人なくらいオーラが変わってたから。とは言え…、相手は一つ年上だし、役者と俳優の違いすら知らなかったあたしが、どこまで相談に乗れたかは謎なんだけど…」


 新部和葉:「でも、知らなかったからこそ、背中を押すことができたんじゃない?」


 瑠東ルナ:「それは…〔大きくうなずいて〕だと思う。自分から声をかけといてアレなんだけど。今度はあたしが、このオーラを見れる瞳で、誰かの力になれたらなって思ってたから」


 新部和葉:「だったら良かったじゃん、ナイス善行〔拳を差し出し〕」


 瑠東ルナ:「うぇ~い〔和葉とグータッチする〕」



【カメラ:和葉以外のすべてが一時的にモノクロと化し、和葉は内心で冷や汗をかく】



 新部和葉:(昼間ルナと合流した後、アドレス? 別に交換してないけどって言われたときには焦ったけど、探偵事務所を使ってでも〝樫草レン〟と同じ宿に泊まったのはガチで正解だったわ! 適確な指示ありがとうございますカズハさん! まさか風呂上がりにばったり会えようとは! 二人の赤い糸に感謝ああああ!!)



 そう――、元はと言えば本命の用事は〝こちら〟だったのである。


 瑠東ルナの『攻略本』にも記していない、運命の相手と出会わせること。


 線が細く、美形でありながらも気苦労の多い樫草レンは、放っておけば思い切って死んでしまうし、瑠東のモデル人生もほどほどとなるが。


 二人がくっつくと相乗効果を生み出し。



 それどころか、プリマメを世界中にバズらせるキッカケともなってくれるのだ。


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