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47/61

◆47.この長期依頼がまさか、すぐに役立つとはね


 渡瀬チサ:「それにしても…? 水中戦用と言うが、魔法かなんかで呼吸ができるわけだな?」


 新部和葉:「そう。私は一時的にカズハさんの――、正確にはアーラウの肉体に降霊させられてたから、その都合もあって 海獣神 レヴィアタン 様の加護を引き継いでるのよ。だから〝今でも〟 水中自在 の魔法が使えるってわけ」



 その場にほんのわずかな間、沈黙が下りた。



 渡瀬チサ:「今でもだと? ――いや待て…? いつだかシーズンでもないのに、伊豆半島のシュノーケリングスポットで確認したいことがあるとかで連れてったことがあったな?」


 新部和葉:「さすがチサ兄。そう、そのときに一応チェックしといたのよ。記憶を取り戻してからずっとレヴィアタン様の加護を感じていられたから、できるだろうなーとは思ってたんだけど」


 米陀ヨネ:「じゃあ…? 水中で自在に動けるってことなの?」


 新部和葉:「そうなんですよ。だから初めの内は海の中でも楽勝だったんですけど、敵の人魚であるメロウたちは、半魚人のサハギンにモンスター化することができまして…。そうなるともう手一杯で、ドレスアーマーが重くて重くて仕方なかったんです」


 米陀ヨネ:「なら…? 水中自在であっても、水の抵抗は受ける、ということなのね?」


 新部和葉:「だったんですよ…。後少しでも速く動けたらという場面が多々ありまして」


男スタッフ:「〔顔色を変えて〕ヤバいじゃないっすか、それ…」


女スタッフ:「〔眉根を寄せて〕製作難度が急激に跳ね上がりましたね…」


 米陀ヨネ:「お馬鹿!!」



 米陀から突然デコピンを受けて、二名のスタッフはひたいを押さえた。



 米陀ヨネ:「作るのが難しそう、じゃないの。こんなにやりがいのある仕事は他にないと考えるのが正解なのよ? 第一に、今でもカズハちゃんが水中自在を使えるのなら」


 新部和葉:「水中戦用は年に一度と言わず、可能な限り着心地をチェックしますので」


男スタッフ:「そうか…! だったら…?」


女スタッフ:「トライ&エラーで、やりようはいくらでもありそうですね」


 米陀ヨネ:「そうよん。精進なさいな」


 新部和葉:「〔挙手をして〕あの、それとなんですけどね…」


 米陀ヨネ:「ああ、みなまで言わなくてもいいわ、男子たちの分もってことよね?」


 新部和葉:「はい…。ドレスアーマーと同じ要領で スーツアーマー も作れまして。〔申し訳なさそうな面持ちで〕こちらに4人分のスリーサイズと、一人はマーメイドなので身体的特徴もひかえてあります。…なので、どうかなにとぞ…」



 和葉から手帳を受け取り、米陀は優雅な微笑を浮かべてみせた。



 米陀ヨネ:「うけたまわりましたわ」


 新部和葉:「っと、そうだった。これは補足なんですけど、水中自在は私以外にも魔法をかけられるので」


 渡瀬チサ:「ほう? だったら…、4人と身体のサイズが合致するスタントでも探し出して、テストしてもらった方がいいかもしれないな? もしそうなったら費用はこちらから別途お支払いします」


 米陀ヨネ:「あらヤダ! チサちゃんったら太っ腹!」


男スタッフ:「え…?〔青ざめる〕」


女スタッフ:「地上と水中用で計10着の計算になりますが…〔細かに震え出す〕」


 米陀ヨネ:「何言ってるの? これから生まれてくるサラサちゃんの分どころか、PMCトレーニング用にも欲しいってご要望だったじゃない。それにカズハちゃんが空を飛べるのよ? それはつまり空中戦闘服を手がけられるチャンスじゃない! これはどんなに望んでも得られない機会なのよ、わかる?」



 言葉を失った2名のスタッフはお互いを抱きしめ合うとガクガクブルブル震えだした。



 米陀ヨネ:「この子たちったら…。あれだけの大金を積まれて24年契約なのに、一体何を考えてるのかしら? 異世界の話もちゃんとしてもらったのに、まだ頭に入ってないみたい、ごめんなさいね?」


 渡瀬チサ:「いえ〔首を振ってみせる〕それだけ米陀さんの頭の回転が早いだけですよ」


 新部和葉:「なので、どうかよろしくお願いします。ホントの本当にっ、ヨネ姉さん達だけが頼りですから」


 米陀ヨネ:「ええ、任せてちょうだいな。必ず〝あなた達の〟防護服を仕立ててみせるわ。期待しててね☆」



 なんだったらプリマメの衣装も受け付けるわよんと言いだした米陀を、2名のスタッフが止めたのだった。


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