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43/61

◆43.本物はホント着心地が違ったよ


 金髪青目の少女は、コスプレ防具を 正しく 身にまとい。


 何やら怒っている様子なのである。



 彼女は一体何に腹を立てているのか?



 その感情にピンと来た米陀ヨネは、こう声をかけたのである。








 米陀ヨネ:「〝 姫様 〟そのお召し物は気に入ってもらえたかしら?」


 サラサ0:「――ええ、名工の作ですね…。もっと前に、この設計思想を知れていたらどれだけ良かったことか…。わたしは今、腹わたが煮えくり返っています」



 住和トア:「 カ ズ ハ ! ! ! ! 」



 住和から詰め寄られ、黒髪黒目に戻った和葉は跳び上がった。



 新部和葉:「なになに!? そんな大声だしたりして? ビックリした~~…」


 住和トア:(人の気も知らないでコイツは~~!?)



 和葉から勧誘されて以来、かれこれ半年が経つのだが。


 初めは目の錯覚だと思っていた金髪化が。


 瑠東にも同じように見えるときがあるとのことから。


 どうやら気のせいではないことが判明していたのである。



 今のところ、二人や3人のとき以外は起こらず。


 金髪化しても、声をかければすぐに戻っていたことから。


 いずれ本人から事情を打ち明けてくれるのを待とうという話になっていたのだ。



 ところがどうだ?


 〝彼女は〟米陀の問いかけに戻るどころか、そのまま返事を返したのである。



 住和トア:(ってか姫様って何よ!? 確かに…そんな雰囲気を感じないでもないけど)


 新部和葉:「ちょっとお? 歯ぎしりまでしてどうしたのさ?」


 住和トア:「…………〔プイッとそっぽを向いて〕なんでもない!」



 どうして初見の米陀が言い当てられたのか? そこまではわからないが。


 この場で悔しいなどと詳しく説明したとして。


 今の和葉との関係がどう転がるのかわからない住和には答えようがなかったのである。


 これに関しては、自分の金髪化を知るよしもない和葉であっても、なんか自分がやらかしたっぽいなと察したのだった。



 瑠東ルナ:「なになにー、どうしたのー? 喧嘩~?」



 そこへ、いくつかの服を見つくろってきた瑠東が、和葉の格好に気づいたのである。



 瑠東ルナ:「ええ~~!? なに、どーしたの? いや…? ケッコー着こなせてるけどさ…。その衣装どうしたの?」



 カウンターに服を置き、歩み寄ってきた瑠東に、和葉は真剣な面持ちで答えた。



 新部和葉:「違うのよルナ、これはコスプレ衣装じゃないの。生地をさわってみて?〔袖を差し出して瑠東にさわらせる〕」


 瑠東ルナ:「えっ…!? 何これ!? 見た目と違ってすっごいゴワゴワしてる!」


 住和トア:「〔瑠東と同じように生地に触れ〕ホントだ…。それなのにどうして、このコスはこんなにもデキがいいの?」



 ※コスとは、コスチュームの略。



 新部和葉:「ペラくない、でしょ?」


 住和トア:「ええ…。自作とも既製品とも質が違いすぎるわ。こんなにデキが良いの初めて見るかも」


 瑠東ルナ:「そう言われてみると…? 夏コミでレイヤーさん達が着てた衣装とは全然違うかも。なんて言うか……? こっちの方が断然 服 って感じがする」


 新部和葉:「その通り。なぜならこの服の大半は、防刃素材で作られてるからなの」



 米陀はあまりの衝撃に身体が震えた。



 住和トア:「は?」


 瑠東ルナ:「え…? ぼうじん…素材?」


 新部和葉:「そう。カッターやナイフの刃を防ぐ防護用の素材を使ってここまでのクオリティーに仕上げてるってこと。極めつけはこの胸部よ。これを仕上げた人の性格からして、間違いなく防弾素材が仕込まれてる。つまりこれは、コスプレ衣装ならぬコスプレ防護服ってことなのよ」


 瑠東ルナ:「でも…、どうしてそんなことを?」


 住和トア:「そうか! コレを作った人は、キャラクターが実在するものとして、本物の防護服に仕立てたってわけね?」


 新部和葉:「正解。言うなればコレは、最高なファンアートってわけよ」


 瑠東ルナ:「いや、でもさ…?〔ちょっと言いづらそうな様子で〕キャラクターはキャラクターでしょ? 現実には存在しないのに、どうしてそんなことまでするの?」


 新部和葉:「だからこそいいんだよ! 存在しないキャラクターの服を〝実在させる〟んだから。要は魂がこもってるってわけ。まあちょっと見てみなさいな、この防護服の 挙動 を」


 住和トア:「は…? 挙動ぉ?」



 タタッと小走りに駆けた和葉が。


 店内の開けたスペースで ふわりと 宙を舞った。


 バク宙に〝浮遊魔法〟を合わせて使ったのだ。


 それをしなやかな身のこなしで、3回も連続で繰り返し、見る者たちの目を奪った。


 一方、当の本人も本人で、驚きを隠せない事態だった。


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