◆41.セレクトショップの主人はどんな人
※米陀の読みはヨネダ。
店主の米陀ヨネ:「〔オネエ声で〕まあまあ。住和ちゃんの言いたいこともわかるし、世間的に見たらあなたの方が正しいんだけど、こんなときだからこそ袖を通しておいた方がいいのよ? 成長期のあなた達なんか、あっと言う間に着られなくなっちゃう服ばっかりなんだから。何よりあなたは…絵描きさんなんでしょ? 実物は極力さわっておいた方が絵のディテールも上がるわよ?」
====[ティップス・補足情報]====
ちなみに住和たちはヨネ姉さんと呼んでいるが、米陀ヨネは〝オネエ系の男性〟であり
トランスジェンダーとは異なる明確な男性である
服装もオシャレではあるが、どこからどう見ても男性の格好をしている
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住和トア:(へえ? ルナってば、あたし達のことを話すくらいにはヨネ姉さんと仲がいいのね?)
住和トア:『〔試着室からの声〕お気持ちは有り難いんですけど、どうしても気後れしちゃって…。生地がいいのはもちろん、素人目に見ても縫製の良さがわかりますし』
米陀ヨネ:「あらヤダわかるの? だったら尚更じゃない☆ だーいじょうぶよっ、ガバッと着ちゃいなさいな? この店に置いてある服は、どれもあなたたち年代に向けて作ってあるから、心配しないでちょうだい♪」
住和トア:(作ってあるって…? やっぱこのお店おかしいわ。あたしが着て来た安物と比べたら手触りだけでわかるもの。値段はヨネ姉さんの審査で決まるらしいけど…。…はぁ…、ここはルナのコーデ力を信じるしかないか…)
住和トア:「ええい〔試着室のカーテンを開け放って〕ままよ…!!」
瑠東ルナ:「おお~~!!」
米陀ヨネ:「あらイイじゃないのよ~~!!」
瑠東ルナ:「すっごく画家っぽい! あたしの目に狂いは無かったわ~~」
住和トア:「でも…、これでルナのとなりを歩くのよ? だいじょぶそ?」
米陀ヨネ:「むしろそれくらいわかり易い方がいいのよ。ルナちゃんってば、名前の割には太陽みたいな子だから」
住和トア:「あ、それ、あたしもわかります」
瑠東ルナ:「え? そう…?」
米陀ヨネ:「それに住和ちゃんだって、そこらの子と比べたら特別な雰囲気を持ってるのよ? 充分に釣り合いが取れてると思うわ〔伝票バインダーにさらさらとペンを走らせながら〕トップスとボトムスとベレー帽を合わせて…、締めてこれくらいでどうかしら?」
住和トア:「〔伝票を見せられて目を見開く〕いいんですか、こんな値段で?」
米陀ヨネ:「そりゃそうよ。着れて1・2年くらいなんだし」
住和トア:「いえ、そういう問題では…」
米陀ヨネ:「もうっ、若い子が遠慮しないの☆ ルナちゃん、あと7組くらいは選んであげて。住和ちゃんの成長を見越した上で、春、夏、秋、冬分を揃えてあげてちょうだい」
瑠東ルナ:「ラジャー!」
住和トア:(え~~!? ママからお金はもらってきてるけど、さすがにそんなには――って、もしかして?)
米陀ヨネ:「〔優しい声色とまなざしで〕気づいた? そうよ。あの子にとっては、着こなしをみがくための機会でもあるの。それがたとえ人の服装であったとしてもね。どうか協力してあげてちょうだいな」
住和トア:「あぁ、そういうことでしたか…〔苦笑いを浮かべて〕」
わかりやすく説明すると、上物が揃っている店に 入店できること自体が 貴重だからだ。
付け加えて言えば、米陀に時間を作ってもらっているからには、フル活用する方が礼儀というものである。
住和トア:「やっぱりルナって、期待されてるんですよね?」
米陀ヨネ:「ええ、新星も新星よん☆ 読モ編集部でもファッションデザイナーの誰に紹介するかで大いに揉めて、あたしが割って入らせてもらったくらいだもの。すぐに皆が皆、あの子の着る服を着たがるようになるわ…。だからこそ、注意が必要だと思って声をかけさせてもらったのだけど…。聞けばなんでも、人生の恩人が二人もいるって言うじゃない? 果たしてどんな子たちか興味があったのだけど、住和ちゃんなんかは〝そのペンだこ〟を見たら、なんだか納得しちゃったわ」
住和トア:「…え?」
少しだけゾクッとした住和は、さりげなくペンだこを手で覆い隠した。
住和トア:「ルナは…、あたしが絵を描いてること、言ってないんですか…?」
米陀ヨネ:「二人とも絵がうまい、とは聞いてたわよ? でも普段は、二人と過ごしてて楽しいって話ばかり聞いてるから〔ウインクしてみせる〕」




