▲30.前世界線での異世界の出来事ね
そこへ響き渡る、クジラと似た〝何かの〟鳴き声。
サキト:「何だ…!? クジラにしては妙な…!」
メロウの騎士:「サキト殿下!! 何か巨大なモノが近づいてきます!!」
アーラウ0:「間に合って良かった…! ナノくん! 手を!!」
ナノクス:「状況はわかりませぬが、我がこの身、あなたに預けます!!」
そうしてアーラウ0が差し伸べた手をナノクスが掴めば。
魔動迷彩でココまで姿を隠してきた『 飛行潜艇 レノアホエール 』がその巨体を露わにしたのである。
サキト:「散開ーー!!」
サキトの分隊が散り散りになって、飛行潜艇をかわしていくのを尻目に。
アーラウ0はリヴァイアソードをアンカーの如く射出して伸ばすと。
レノアホエールの船体に引っかけ。
それにグンッと引っ張られる形で、ナノクスを牽引してその場を離脱したのだった。
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サラサ0:「━━━━ あなたは 誰 ━━━━
━━━━ わたしを 助けた ━━━━
━━━━ 運命の糸は 切らせない 任せて ━━━━」
暗転し、場面が切り替わればそこは、マリンスポーツの競技で使われるようなヨットの上であった。
帆がいっぱいに膨らんで風を受け止め。
川の濁流に乗って、流されるようにして帆走している。
しかし、ヨットが激しく揺れても体勢は崩さず。
帆を操るロープを握りしめながら。
アーラウ0はリヴァイアソードを前方へと伸ばし。
ルド・キャンベマン に襲いかかろうとしていた、宙を羽ばたくグレーターデーモンの背中を薙ぎ払った。
アーラウ0:「やりました! セーフです!」
旧レムア王国 元 第三王子ルド:「こっ――ぶはっ!! こっちだ…!」
アーラウ:「今行きます!!」
濁流の中で浮き沈みしながら流されている ルド へとヨットを近づけ。
アーラウ0:「ルドくん!! 掴まってください!」
ルド:「すまねえ…!!」
あらん限り手を伸ばして彼の手を掴むと。
アーラウ0はそのまま勢いよく、ルドの身体を引き上げてやった。
ルド:「げほっ…けほっ…! あんたスゲえな! オレの身体を引き上げられるなんて!」
アーラウ0:「あはは…、少々事情がありまして」
メロウの第三皇子クラツ:「アーラウ・ニーベルン…!! この鉄砲水は貴様の仕業か!?」
この濁流の中、地上装備の鎧が重くて上手く泳げないのだろう。
それでもクラツは、二本の足 を 人魚の尾びれ に戻して、流れに逆らっていたのだ。
ルド:「なっ…!? この流れだぞ!? ってそうか! お前ら人魚か!」
アーラウ0:「うまいこと流されてくれたら良かったんですけどね…。ルドくん手摺りに掴まってください! このヨットで空を飛びます!!」
ルド:「は――、何だって!?」
アーラウ0が、ヨットの後部から突き出ているスロットルグリップを目一杯まわし、アクセルをふかせば。
船は途端に急加速し、濁流を滑走路代わりにして。
勢いをそのままに――――、真っ青な空へと飛び上がった!
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サラサ0:「━━━━ わたしは ウイッチ ━━━━
━━━━ 光 降らせる ━━━━
━━━━ あなたの道 照らし出すよ ずっと ━━━━」
再び暗転し、場面が切り替わればそこは。
教会のステンドグラスを突き破って、アーラウ0、ナノクス、ルドの三名が。
聖女選定式場 に乱入をかました――、まさにその瞬間であった。
アーラウ0:「指輪を渡しては駄目です! ファツくん!!」
メガラ公国 伯爵家 第三令息ファッツ:「え?」
ナノクス:「そうはさせんぞ! 我が妹よ!〔スミワめがけて斬りかかる〕」
メロウの第一皇女スミワ:「なっ…!?〔即座に抜剣してナノクスの剣を受け流す〕」
ルド:「ザコどもはスッ込んでな!!〔スミワの背後に控えていたメロウの騎士たちを槍斧にて一遍に吹き飛ばす〕」
ケット公王陛下:「何事か!? 衛兵よ出合え出合え!!」
キルト公太子:「いえお待ちください陛下!! ナノクス殿とルド殿です!」
ファッツ:「あ、あなた方は…!?〔いきなり本名を呼ばれて気が動転している〕」
アーラウ0:「この聖女制度に、ピリオドを打ちに来た者です!」
今は亡き妹のフリをしているファッツの手を引いて下がらせてから。
アーラウ0がリヴァイアソードを鞭のごとくほとばしらせ。
その場に同席していた牧師のポケットを浅く斬りつけた。
すると、そのポケットから転がり落ちた 筒状のリモコン をルドが素早く回収し。
アーラウ0へ放り投げてよこしたのである。




