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23/61

◆23.当時なら知らなくても仕方ないか


 新部和葉:「いやいや…〔顔の前で手を振ってみせて〕サナくんがいてくれなきゃウチのサークルは始まらないし、このプリンス・オブ・マーメイドも完成しないんだよ」


 倉津サナ:『ヒューゥ、憎いこと言ってくれるじゃない! OK――、了解したよ。オレはあんたに付いていく。そんでプログラムの腕も極める。これでいいかい?〔拳を突き出して〕』


 新部和葉:「〔画面の拳に自分の拳を突き合わせて〕オーケー。だけどその前に、網屋さんを見返してやること。まずはコレが大事だよ? 頑張ってね」


 倉津サナ:『う~ん…? オレとリクちゃんの仲って、そんなに大切なファクターだったりするの?』


 新部和葉:「そりゃ大切だよ~。これから先の2011年に生まれる別のわたしは、2030年の日本旅行で、網屋さんにネイルしてもらわなきゃだもん」


 倉津サナ:『ははっ! じゃあ頑張らなきゃだね』


 新部和葉:「そうだよ? 本気を出せば、キミは凄いんだから」


 倉津サナ:『…あんがと。おかげで人生にやる気が出たよ』


 新部和葉:「それなら良かった。あ、それとね?」



 これから言うキーワードを網屋に聞かせるよう、和葉は倉津にメモを取らせた。



 倉津サナ:『コネクタ、グリーンネイル、ルビケイト、特許、80万から100万、リミットは2015年、って! こんなんどう伝えたらいいのよ? あやしいと言うか、さすがに頭を疑われると思うんだけど?』


 新部和葉:「それを言ったら、オレの考えたネイルアート集を見てほしいって切り出す時点で怪しいでしょ? そこで些細な疑問を無視してでも食い付きそうなネイルアート集を見せた上で伝えちゃえばいいのよ。察しのいい網屋さんのことだから、自分の将来の鍵はサナくんが握ってるってすぐに気づくはずだから」


 倉津サナ:『えぇ…? それってやり方エグくない?』


 新部和葉:「そんなことないよ。特許取り損ねたせいで親の反対を押し切るのに苦労したんだから、私が見てきた未来よりも上手くいってもらいたいでしょ?」


 倉津サナ:『そっか~…四の五の言ってられないんだね…。じゃあ、オレが頑張るしかないか』


 新部和葉:(そうだよ? 彼女の運命はキミにかかってるんだから)



 高校に上がってからのバイト先だって、倉津の母親が経営しているコスメ専門店以外に最適解は考えられないからだ。



 倉津サナ:『ふ~む…? にしても…、このグリーンネイルって、緑のジェルネイルが流行るとか、そんな感じのヤツ?』


 新部和葉:「はあ…!? ウソでしょう?」



 ブランド化粧品店を経営するオーナーの一人息子であっても、そこはやはり12歳の男の子か。


 そういったことを知らない方が、逆に可愛げがあると言うべきか。


 異世界アースセザードのアトラ帝国 第3皇子、クラツ・アトランティカとは、顔が似ていても中身は似つかないことを、改めて感じさせられたのであった。




―――◆第2章◆幕間―――




 倉津サナの勧誘に成功してから、数ヶ月間、様々なことがあった。



 ムーンリット社の社内トラブルを渡瀬チサ = 和葉のイトコ(25歳)が円満に治め。


 週1・2回のヘルプ作業に復帰。



 崎戸ミヤ = 演出スクリプトの手直し担当と。


 倉津サナ = フローチャート・システム構築担当の両名と。


 渡瀬はメッセンジャーにて面識を持ち。


 スクリプトやプログラミングに関する相談を受け始め、二人のスキルアップに協力を開始。



 それからしばらくして、渡瀬と倉津の会話を聞きながら作業していた和葉は。


 ゲームエンジンであるスクリプターを更新する必要があるとのイトコの発言に。


 その段に至ってようやく、TWスクリプターの製作者が渡瀬であったことに気がついたのである。



 渡瀬チサ:「ふはははは! 普段は驚かされてばかりだからな! お前のその間の抜けた顔を見られただけでも頑張ったかいがあるわ!」


倉津サナ:『あんれまあ! ホントに今の今まで気づかなかったの? ニイベさんが? オレやミヤちゃんなんか、名前聞いたらソッコーでわかったのに。意外だなあ』



 いや、それ以前の問題でだ。


 渡瀬がTWスクリプターを率先して作ってくれていなかったら、最悪詰んでいた可能性があったことに、和葉は愕然とさせられたのである。


 無論、前任の手記には、そんなことカケラも書かれてはいなかった。



 新部和葉:(カズハさぁあああん…!! やめてよこういうことするの~!! 絶対わざと書かなかったでしょー!? と言うか、代々引き継いできた上で、恒例行事みたいになってたりするのかなぁ? いやいや! いつどこでつまずくとも知れないのに! ヤバいでしょコレは!)



 現状では込み入った話まで倉津には聞かせられなかったので。


 和葉は心の内で、こんな悪習は私の代でヤメてやると、固く誓ったのだった。


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