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18/18

◆18.彼の熱意は凄いよ


 崎戸ミヤ:『決闘のシーンか…! やっべえなこのカメラワーク!! キャラとキャラの周りをぐるぐる回ってみせるとか、――おまっ…!? 一体何枚描いてんだよコレ!?』


 †アーラウ†:「枚数が足りていれば良いのですが…」


 崎戸ミヤ:『足りてる足りてる! と言うか描きすぎなくらいだ。多いに越したことはないが…、いいか? TWスクリプターは枚数を節約して疑似アニメーションできるところに売りがあるんだ。それは絵の切り替え速度のちくじ指定と、絵の動きに合わせた緩急の付け方で可能となる。背景には要所要所ブラーを指定して』


 †アーラウ†:「背景にブラーを?」


 崎戸ミヤ:『ああ。まあ…、やった方がいい場面とそうじゃないところの見きわめは面倒だが、演出がグッと変わってくるポイントでもある』


 †アーラウ†:「盲点でしたわ…。他にも何かございますか?」


 崎戸ミヤ:『そうだな…、やっぱ鍔迫り合いになるシーンにはアンカーポイントを付けて、リニアのイーズアウトとイーズインをいじってやれば、刃と刃のぶつかり合う瞬間を良い感じに演出できる――、んじゃないかと…俺は思うんだが…。こればっかりは実際にやってみて、コツと勘どころを学ぶ必要があるんだが…』


 †アーラウ†:「やはり、肝心の素材が足りてないのですわね?」


 崎戸ミヤ:『そうなんだよ!! マジでハイパーミラクル ウルトラスーパー素材不足でさ!! TWスクリプターは絵の枚数しだいで無限の可能性を秘めてる最高のゲームエンジンだってのに! もうそれならいっそアニメで良くね?とか! いや月姫でも使われてたスクリプター3で充分だから、とか! わかってくれる奴がぜーんぜん居ないんだわ! だから俺は――』


 †アーラウ†:「自力で素材を用意するべく、絵の練習を始めて、かつ、TWスクリプターの研究もなされていると」


 崎戸ミヤ:『お前ひょっとして…! 俺のブログを見てくれたのか?』


 †アーラウ†:「ええもちろん。すべての記事に目を通させていただきましたわ」


 崎戸ミヤ:『〔自嘲気味に〕はっ…、酷いゴミカス絵だったろ? どれだけスクリプトのアイディアが湧いても、それを実践できる素材が無ければあのザマさ…。机上の空論ってヤツ』


 †アーラウ†:「ですが、絵の描き方の基本は押さえられていますわ」


 崎戸ミヤ:『お世辞は結構だよ…』


 †アーラウ†:「いいえ、そういうことを言いたいのではなく。絵を描く上での知識を身に付けたあなた様はもう、TWスクリプターの研究に専念すべきだとわたくしは言いたいのですわ」


 崎戸ミヤ:『は? 何を言って、――って? 何だよこのフォルダは?』


 †アーラウ†:「今し方見ていただいたシーンの、素材一式ですわ」



 ・・・・・・。



 崎戸ミヤ:『はあ!!?』



 メッセンジャーは、ファイルまたは写真の送信ボタン をクリックすることで。


 自分のパソコン内にある任意のデータを相手に送ることができるのだ。


 和葉が昨夜 コピーして用意していたモノが ソレである。


 崎戸にとっては、望んでも簡単には手に入らない 理想的な教材が 、運良く転がり込んできた事態なのだ。


 つまり後は受信ボタンをクリックするだけ。


 だと言うのに彼は、ためらった。


 これは他人の力を借りるズルではないかと、そう思ったからだ。



 †アーラウ†:「はぁ~~~〔くそデカ溜め息をついてみせ〕あなた様という人は…、自分が選ばれし者であることの自覚が、まだ足りていませんのね」


 崎戸ミヤ:『はあっ…!? だっ、誰が選ばれし者だよ…』


 †アーラウ†:「ならば、勇者という存在は、自ら伝説の剣を作り上げなければならないのですか?」


 崎戸ミヤ:『あっ…!! それは……、言われてみればそうだけど…』


 †アーラウ†:「スクリプターの使い手は、素材という名の剣を取るべきなんです。なぜならあなた様には、それを振るわなければならない実力と義務がありますもの」


 崎戸ミヤ: 『で、でもっ…、俺でいいのか?』


 †アーラウ†:「ええ〔もみあげの髪をかき上げて〕サキトさまの力なくして、わたくしの野望は叶いませんもの」


 崎戸ミヤ:『は…? 野望だって? それは一体…?』


 †アーラウ†:「わたくしはこの作品で、世界を掴むつもりでいますのよ?〔ニマッと笑ってみせる〕」


 崎戸ミヤ:『おまっ…!? ――じゃなくて、本気かあなたは!? いや…、先ほど拝見させてもらったようなシーンを量産できれば、それも不可能ではないかもしれないが…』



 彼の中二病が息を吹き返したのである。


 ここで推さない手はなかった。


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