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17/20

◆17.小6の男子がいい反応するからさ


 崎戸ミヤ:『なら話は早い。――涼宮ハルヒじゃないんだぞ!? こんなこと! 現実に起こりっこないはずなんだ! それは俺が一番よくわかってる! それなのにだ! お前は一体何なんだ!?〔人差し指を突き付けてきて〕何の目的があって俺に接触してきた!?』



 そう問われては、こちらの要求を答えなければなるまい。



 †アーラウ†:「一つ、あなたにやっていただきたいことがありまして、こうして声をかけさせてもらったしだいですわ」


 崎戸ミヤ:『じゃ、じゃあ…、仮にだぞ? それをイヤだと断ったらどうなる?』



 和葉はピシャリと扇子を閉じてみせてから、口元を三日月形に笑んでみせた。



 †アーラウ†:「今度はサキトさまの御自宅に、直 接 、お会いしに参るだけですわ」


 崎戸ミヤ:『ヒッ…!?』


 †アーラウ†:「サキトさまも、ご兄妹は大切でしょう?」


 崎戸ミヤ:『やっ…!? やめろぉおお!! 俺の妹に手を出すんじゃねええ!! ゆっ…、指の一本でも触れてみろぉ!? こっ、この俺が! 承知しねえからなあ!?』


 †アーラウ†:「あら、それは頼もしい。ではこの件は忘れてしまってくださいな」


 崎戸ミヤ:『まっ!?〔青ざめて〕待ってくれ…!! わっ、わかった…! クソっ…、降参だ…!!』


 †アーラウ†:「フフッ、怖がらせてしまったのならごめんなさい? ほんの冗談ですわ、半分は」


 崎戸ミヤ:『ヒッ…!? クソがぁあああっ…!〔涙目になって〕俺に一体何をさせようって言うんだよ!?』


 †アーラウ†:「ではまず、こちらをご覧になってくださいな」



 和葉は、昨夜アップロードしたものではなく。


 何ヶ月か前に準備を済ませておいた動画のURLを送ったのだった。




―――◆第2章◆第3幕―――




 そうして動画を見始めて、彼は目を見張った。



 崎戸ミヤ:『――!! これは…!』


 †アーラウ†:「わたくしがTWスクリプターで作っているゲームの一場面ですわ」


 崎戸ミヤ:『はあ!? ウっソだろお前!? たったの1シーンでも化け物級のクオリティだぞ!? 仮絵でコレってマジヤバいからな!? それをお前が作ったとかアホ抜かすんじゃ――』


 †アーラウ†:「そう言われると思いまして、わたくしがCGコミックを描いているさまをデジカメで撮ってもらいましたの(チサ兄にお願いしてね)。こちらのURLからもご覧になってくださいな」


 崎戸ミヤ:『は…? え? 本当に…? 本気で言ってるのか…?』


 †アーラウ†:「ええ。先ほどもお話しした通り、わたくしの中身はサキトさまよりも…、そうですね…、13は年上でございますから」


 崎戸ミヤ:『13…? と言うことは25か…。25……』


 †アーラウ†:「ですから、同年代のクリエイターだとは思わずにご覧になってくださいな」


 崎戸ミヤ:『お、おうよ…――いや、あいわかった。貴殿のお手並み、拝見させてもらうとしよう』


 †アーラウ†:「ええ、よろしくお願いしますわ。その間にわたくしは…(気力をふるい立たせたところ悪いんだけど…)もう一つ証拠を用意いたしますので」


 崎戸ミヤ:『証拠?』



 和葉は、ウェブカメラの向きをとなりの学習机に向けると。


 マンガ原稿用紙とミリペンを用意して、一発描きを始めたのだった。




 そうして5分が過ぎ、1キャラ分の全身像を描き終えると。


 パソコンのスピーカーからは、くやしさと無力感をない交ぜにした声が聞こえてきたのだ。



 崎戸ミヤ:『すっげえな、お前……』



 和葉は返事を返さずに、ウェブカメラの向きを戻してパソコンの前に座り直した。


 こういうときの発言には注意が必要だからだ。



 崎戸ミヤ:『それで? 将来有望なお前とは違う俺に、一体何の用だよ?』



 画面の向こうでは、こちらとは目を合わそうともせずに。


 いまいましそうに唇を噛んでいる彼の様子が見られて、和葉はホッと一安心した。


 負けてられないという諦めない気持ちが、クリエイターを大きく育ててくれるからだ。



 †アーラウ†:「TWスクリプター随一の使い手であるサキトさまに、ぜひ手直ししていただきたいシーンがありますの」


 崎戸ミヤ:『はあ…!? それは嫌味か!?』


 †アーラウ†:「いいえ。どうかご覧になってくださいな。こちらが…、わたくしの手には負えない場面ですわ」


 崎戸ミヤ:『チッ…。なんでお前ほどの実力者が、俺なんかを頼ってくんだよ…』



 崎戸はイライラを隠そうともせずに、それでも乗りかかった船だからか。


 和葉が昨夜アップロードした動画を開いて、段々と目の色を変えていった。


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