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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第三部——召喚塔林

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第80話 首都防空戦


マスクルスは対空塔へ襲いかかってきた

ガーゴイルに向かって一閃を放ち、

その体をたちまち真っ二つにした。


グーがチョキに勝つというルールはどうなったのでしょうか?


この強大な禁衛軍指揮官は、

誰よりも先に前線へ躍り出る。

彼は対空砲の砲口にひょいと飛び乗った。


「長官?」

砲を操作していた技術士官が、

不安そうに彼を見上げる。


「ボサッとしてるんじゃねえ! 撃て!」

マスクルスは、

下にいる兵士たちに苛立たしげに命じた。


その技術士官がまだ迷っていると、

長年マスクルスに仕えてきた古参兵が彼を押しのける。


「ルーキー! うちの長官が何より好きなのはスリルだって知らねえのか!」


古参兵はろくに照準も見ずに、

ためらいなく砲を発射した。


「ははっ! わかってるじゃねえか!」


マスクルスは気持ちよさそうに、

砲口から飛び出した砲弾に片足を乗せる。


砲弾は敵の隊列へ飛び込んでいくが、

マスクルスの体重が加わったせいで、

本来砲兵が調整した放物線軌道よりも低く沈んだ。


「せいやっ!」


マスクルスが力いっぱい蹴りつけると、

砲弾は軌道を変えて一体のガーゴイルへとぶつかる。


彼自身はその反動を利用して、

ガーゴイルの群れが最も密集している場所へと飛び込んでいった。


「長官! 

遊び終わったら、ちゃんと戻って来て指揮してくださいよー!」


対空塔の上の古参兵は、

自分の上官の性格をよくわかっている。


彼は対空スピーカーのスイッチを入れ、

遠くのマスクルスへ向けて大声で呼びかけた。


マスクルスとアペス兄妹の好戦的な性格は、

まるで写し鏡のようにそっくりだ。


禁衛軍団――それはティールの信徒だけで構成された特別な部隊であり、

隊員全員が第四階級の実力者だ。


その中でマスクルスは総指揮官を務めている。


彼個人の戦闘能力は確かに高い。


だが本来、指揮官という立場でありながら、

ここまで前線で暴れ回るのは少々職務怠慢とも言えた。


「おうおう、心配すんな。

 すぐ戻ってくっからよ!」


マスクルスは空中で身をひねり、剣を振り回す。


ガーゴイルの群れが空中で次々と木っ端みじんになった。


彼は空中に浮かぶガーゴイルの死体を足場代わりに、

一歩一歩踏みしめるようにして対空塔へと跳び戻ってくる。


「全員、聞け! 敵襲警報だ!」


マスクルスは対空塔の上に戻ると、

その場で大声で指揮を執った。


首都じゅうの対空砲台が一斉に火を噴き、

空には次々と火花が咲く。


ガーゴイルの群れは砲火を浴びて四散するが、

その数はあまりにも多すぎた。


「義弟くん! お前たちも手伝え!」

マスクルスはデレオに向かって怒鳴るように叫ぶ。


振り返りざまに放った一条の剣気が、

遠く離れたガーゴイルの群れをまとめて両断した。


「俺たちに何をさせたいんだ?」

デレオが問い返す。


「もちろん、

お前らの得意分野を活かせってことだよ!


魔法が使える奴は、

砲火から漏れたやつを狙撃しろ!

チェラーレ、アペスは砲手の援護だ!」


「アンタの指揮なんか聞かない。」


チェラーレは冷ややかにそう言い放つと、

ペガサスを操って対空砲に近づくガーゴイルへと飛び出していった。


「おお、

あの女泥棒……たいした自信家だな。」


チェラーレが

長いスティレットを二本抜き放ち、

ガーゴイルの両目に突き立てるのを見て、

マスクルスはますます彼女に惚れ込む。


「どうしてもスカウトしねえとな……いや、『彼女ら』もだ!」


彼は感嘆のまなざしで、

六人それぞれの戦いぶりを見守った。


アビスウズは依然として悪魔化した姿のままだ。


空中でガーゴイルを一体ずつ引き裂きながら、

同時に魔界の雷を呼び出し、

広範囲の殲滅魔法を次々と叩き込んでいく。


シミリスはまだ本調子ではないが、

それでも気力を振り絞り、

ペガサスを指揮して対空部隊と連携させる。


「砲手に必要なのは昂ぶった士気じゃない。

 必要なのは冷静さ。」


カシヤは砲手の間をゆっくり歩きながら、

「聖楽」と「調和の楽章」を交互に奏でた。


その音色は兵士たちの心を落ち着かせ、

狙いを狂わせないように支えていく。


アペスは対空砲を操作する兵士たちの周囲に陣取り、

地上へ落ちてきたガーゴイルを拳と蹴りで片っ端から追い払う。


「こいつら、一体どこから来やがった!?」

一人の兵士が叫ぶ。


「遺跡の方角だ!」

デレオは遠くを指差した。

「アバドンが俺たちを試してる。」


「アレカ、ガラス玉を作ってくれ。

『岩砕き』の効果を付与だ。」


デレオは、

以前海辺でアペスを撃った時に使った

スリングショットを取り出し、

対空砲の近くまで迫ってきたガーゴイルを中距離から狙い撃つ。


激しい戦闘の末、

ついにガーゴイルの群れは撃退された。


これはかなり規模の大きな会戦であり、

全員が多くの経験値を得ることができた。


「戦闘終了!」


アレカが嬉しそうに宣言する。


「残念だけど、

小隊のメンバーは全員、

もうクラスアップ条件を満たしちゃってるからね。

だれもレベルアップ・し・ま・せ・ん。」


全員が惜しそうな顔をするのを見て、

アレカは肩をすくめた。


「でも、

ボクの宝石付与の能力を使えば、

みんなの経験値を結晶化しておけるよ。


とりあえずボクが預かっておいて、

将来レベル上げがきつくなった時に取り出して使おう。」


「それはなかなか悪くない妥協案だな。」

デレオもその提案に頷いて賛成する。


「じゃあ、

今回の戦闘の戦利品を精算するね。


ガーゴイルの破片――五百十二キロ。

完全なガーゴイルの翼――六対。

完全なガーゴイルの頭蓋――四個。

ガーゴイルの魔核――十二個。

大経験値結晶宝石――七個。


……あああ、

かなりの数が荒野の方に落っこちちゃったのが惜しいなあ。


全部回収できてたら、

もっともっと戦利品が増えてたのに。」


アレカの顔は、

水路に落ちたパンを見つめる子どものように、

名残惜しさでいっぱいだった。

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