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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第一部——太古の宇宙船遺跡

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第8話 不死者の処理── 今日は骨でキャッチボールしました

「くそ、

最初から聖職者の一人や二人、

連れてくりゃよかったな……。」


今の彼の悩みは、


「前へ進みながら、

後ろからは死人の骨がついてくる」


という状況だった。


アレカがデレオの足元へぴょんと跳び降り、


転がっている骸骨に鼻先――

いや、袋の口――を

近づけてくんくんと匂いを嗅ぐ。


それから主人をちらりと見上げ、

ぱちんと大きな瞳を見開いたかと思うと、

ぺろりと長い舌を出してフタを舐めた。


その表情は、

骨をねだる土犬そのものだった。


「お前、食べたいのか?」

デレオは思わず素っ頓狂な声を上げる。


「ハッ、ハッ、ハッ!」


アレカはしゃべれない。

だが、そのよだれが出そうな顔つきは、

千の言葉より雄弁だった。


骨も、定義上は初級素材の一種だ……。


「試してみるか。

今の状況を切り抜ける

ベストアンサーかもしれないしな。」


デレオは腓骨のひとかけらを拾い上げ、

アレカの「口」に放り込んだ。


ジィ――ッ。

何かのエネルギーが

剥ぎ取られていくような音がした。


アレカの箱の中から、

うっすらと青い煙が立ちのぼる。


「効いてるじゃねえか。」

デレオの口元に、不敵な笑みが浮かぶ。


「アレカ! 

まずはこいつらを全部片づけてから、

改めて本来のターゲットを探しに行こう。」


デレオは膝の骨を一つつまみ、

手の上で軽く転がした。


そのあとは、

拾っては放り、

アレカが跳んで受け止める

――その繰り返しだ。


フリスビーを追う

シープドッグのように機敏に跳び回り、


フタをぱかっと開いて、

骨片を次々と飲み込んでいく。


「ん~、んむ~。」


アレカの顔は、

米菓をくわえた赤ん坊のように

満ち足りている。


「はい、次!」


肩甲骨、尺骨、趾骨……。

骨片が次から次へと「口」の中へ

飛び込んでいく。


デレオは子どものころ、

犬を飼っている子どもたちが

うらやましくて仕方がなかった。


ボールを投げたり、

フリスビーを投げたり……

自分も一度でいいから

やってみたかったのだ。


だが、

メジェド教団に引き取られた孤児に、

そんな余裕があろうはずもない。


『ペットを飼う前に、自分の腹を満たせ。』


大きな白い法衣をまとった司祭が、

彼らにそう説教していたものだ。


デレオが夢中で骨を投げ続けるにつれ、

アレカは左へ右へと飛び回り、

一片たりとも取りこぼさない。


人間の身体に骨が何本あるのか、

デレオは数えたことがない。


ついさっきまでに粉砕したスケルトンが何体いたかも、

細かく数えてはいなかった。


その結果――少々、遊びすぎてしまった。


彼がひと息つこうとしたときには、

すでに一個の頭蓋骨と半分の肩、

それに左腕の一部が、


視界の死角で一つにまとまり、

奇妙なシルエットを形作っていたのだ。


そいつはエンジンの破片を握りしめ、

狙いすました角度で

デレオのアキレス腱めがけて振り下ろしてきた。


バキンッ!


大して大きくもない箱が、

ハンマーのような勢いで

スケルトンの肘関節に激突する。


アレカは、

主人と危険のちょうどあいだに、

きっちりと割って入っていた。


アーモンド型の大きな瞳は真剣そのもので、


『うちの親分には、指一本触れさせない』


――そう無言で宣言しているかのようだ。



「ふう……

お前が後ろを見ててくれなかったら、

今ごろ歩けなくなってたな。」


デレオは前に躍り出て、

その無言の絶叫を上げるスケルトンを、

足で粉々に踏み砕いた。


息を吐き出すと、

しゃがみ込んで残りの骨を一つ一つ拾い上げ、


空き缶でも片づけるかのように、

ひょいひょいとアレカの「口」に

放り込んでいく。


パカッ――。


アレカがフタを開き、

ホログラムのメッセージを映し出した。


『戦闘終了! レベルアップ!


デレオ:

アイテム士 Lv7

新スキル獲得:

熟練(使用中のツール性能が二倍になる)』


『アレカ・ジェマルム:

ジュエルイーター Lv4

上位種族への進化資格を獲得しました。』


「もう進化できんのか? 

随分早いな。


私たち人間はLv50になって

やっとクラスアップできるんだね。」


デレオは、

骨で満腹になったミミックを

ぽかんと見つめながら、


『この手の生き物って、

太りすぎたりしないんだろうな……?』

と密かに心配した。


前回の進化のときは、

情報端末を一台まるごと食わせた。


今回も、

どうせ何か特別なアイテムが

必要になるに違いない。


「じゃあさ、

お前の進化条件、

確認させてもらってもいいか?」


デレオが、

目の付いた箱に向かって問いかけると、

アレカはホログラムを投影した。


『記憶合金スプリング、

猫人シャーマンの仮面、

恐怖の呪い人形』


今度は三つも必要らしい。


猫人シャーマンの仮面と

恐怖の呪い人形なら、

魔法ショップを探せば見つかるかもしれない。


だが、

記憶合金スプリングとなると――

少し厄介だ。


『依頼を片づけたあとで、

また宇宙船遺跡に戻って、

防疫機僕でも狩るか……。』


 昔、新人用の依頼を受けてた頃は、

あいつらから記憶合金スプリングを

結構拾ったんだよな。


 『売らずに取っときゃよかった。』


「せっかくだからさ、

この骨から何か役に立つアイテムを

作れないか試してみたらどうだ?」


デレオは軽いノリでそう言ったが、

アレカはどこか困ったような様子を見せた。


もっとも、デレオの方は、

その微妙な反応にはまったく気づいていない。


彼は情報端末を取り出し、

ギルドから回ってきた

大量の行方不明者リストを確認した。


あれだけ時間が経っているのに、

まだまだ「未発見」の名前がずらりと

並んでいる。


「この前、

スコラリス家のお嬢様の遺体を

外まで運び出したはずなのに、


 なんでまだこんなに多くの遺体が

見つかってねえんだ?」


デレオは腕を組み、

どう考えても腑に落ちなかった。


これだけ冒険者がいるギルドなら、

本来なら既に片づいていても

おかしくない依頼のはずだ。


「結局、

あの調査チームは

成果を何一つ持ち帰れなかった上に、


自分たちまでアンデッド化して

遺跡の一部になっちまったわけだ。」


デレオは、

ろくな準備もせずに遺跡へ突っ込んでいく

「なんちゃって冒険者」たちに、

内心かなりうんざりしていた。


あの時期、

宇宙船遺跡の中は妙に賑やかで、

少し歩けばどこかのパーティと

出くわしたものだ。


「ったく……

こんな場所を公園みたいに扱いやがって。


ここに湧いてるアンデッドが

少なすぎるとでも思ったのかね?」


通路の奥から、激しい衝突音が響いてきた。


「まさか……

もう手遅れってことはないよな?」


デレオの胸が、ずしりと重く

———大したことではないこと———


レベルアップ後のアイテム士が習得可能なスキル:


初期スキル:耐荷重増加

Lv2 節約

Lv3 アイテム効果倍増

Lv5 メンテナンス

Lv7 熟練 ←いまここ

Lv11 簡易アイテムの製作

Lv13 ツール製作

Lv17 コストダウン

以下不明

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