第7話 爆衝エンジンスケルトン――脳が腐ってて動く道理があるか!
ウィーン――
センサーが熱源を感知し、
錆の匂いにまみれた
自動ドアが横に滑って開いた。
湿ったカビ臭と金属臭が、
同時にこちらへ吹きつけてくる。
デレオは再び、
古代宇宙船の遺跡へと足を踏み入れた。
サリクスから譲り受けた
敵意感知のダガーが、
デレオの腰帯で激しく震え出す。
彼が片足を敷居に乗せた、
その瞬間――
攻撃が飛びかかってきた。
爆衝エンジンスケルトンだ!
「ガチャッ!!」
白骨の手がエンジンのバルブを
乱暴にひねる。
軽油が燃える刺激臭が、
一気に宇宙船遺跡の通路を満たした。
「ブロロロロ……ブォン!」
スケルトンが頭を持ち上げ、
空洞の眼窩でデレオを見据える。
新鮮な肉塊を一つ、見つけたのだ。
この肉を身にまとえば、
もう一度生き返れるだろうか。
「ブォン!」
そいつは突っ込んできた!
スケルトンは生者の気配を感じた瞬間、
本能のままに「自爆」じみた突撃を開始する。
『皮を! 血を! 肉を!』
声帯などない骨だけの喉から、
魂の絶叫が響き渡る。
「前に全滅した考古学者と機動部隊も、
これに当たってたら、
マジで一片の肉も残んなかっただろうな。」
デレオはアレカに向かって、
猟犬に話しかける狩人みたいな調子でつぶやく。
スケルトンと遭遇するのは、
これが初めてではない。
この手の相手の対処には、
もう慣れたものだ。
デレオは軽く半歩だけ下がり、
かかとが水たまりに沈んだ。
水飛沫が上がると同時に、
進化を終えたばかりのアレカが、
さっとデレオの前へ飛び出す。
「ドガーン!」
遺跡の中に、白い火花が咲いた。
骨のかけらが吹雪のように舞い散る――
骨吹雪だ。
未知のポリマー素材でできた天井の下へ、
白い雪片のように降り注ぐ。
スケルトンは、
堅牢なジュエルイーター――
アレカ――に激突した。
エンジンの破片がカランカランと音を
立ててデレオのブーツのそばを転がり、
砕けた骨粉は白い雨となって、
水たまりの中へボトボトと落ちていった。
「よっしゃ、アレカ!
お前、タンクとして優秀すぎるだろ。」
デレオは軽くアレカのフタをぽんと叩く。
恐ろしい相手ほど、
あえて軽口を叩いて笑い飛ばす。
そんな心構えがあったからこそ、
デレオはプレッシャーだらけの
冒険者稼業の中で生き延びてこられたのだ。
足元の水たまりでは、
砕けた骨がまだ蠢き、
再構成を試みていた。
デレオは近づくと、
形になりかけた骨格を一蹴し、
バラバラに吹き飛ばす。
そのとき、
通路の反対側から、
二体目のスケルトンがすでに
エンジンを始動させて突進してきていた。
デレオは身をかがめ、
頭を低くしてそれをやり過ごす。
直後、
またしても骨の爆発音が響き渡った。
今度は、
相手は壁に激突し、
壁に取り付けられていた
各種機械装置を盛大に吹き飛ばした。
壁の警告灯はまだ点滅を続けているが、
床には機僕の砕けた部品が散乱している。
燃料配管が破裂し、
正体不明のガスや液体が噴き出す。
小型の修復機僕たちが、
あちこちを這い回っては、
忙しなく補修作業に取りかかっていた。
その見えない奥の方からも、
さらに多くのスケルトンが
次々と突進してくる。
玉突き事故の現場さながら、
爆発と衝突の音が絶え間なく続いた。
だが通路があまりにも狭いため、
この本能だけで動くスケルトンたちは、
互いにぶつかり合うことの方が多い。
そのせいで、
やつら同士が与え合うダメージが、
デレオの手間をずいぶん省いてくれていた。
数度の連続衝突のあとには、
床一面に白い骨が散らばるのみとなった。
「銀のダガーがまだ震えてる。
戦闘は、まだ終わってないってことか。」
デレオは眉をひそめて、
足元の骨を一片拾い上げる。
「直接指名されてなかったら、
わざわざこんな、
アンデッドだらけの古代宇宙船なんか
二度と来るかっての。」
戦闘はまだ終わっていない。
いくら派手に爆散させても、
相手はアンデッドだ。
床一面の白骨が、
まるで虫の群れのようにうねり始め、
ゆっくりと一箇所へ集まり出す。
「ったくよ……
聖水一リットルで二百クレジットだぞ。
あいつら、
いっそ強盗でもやった方が
早いんじゃねえのか。」
デレオは空っぽの水筒を一瞥した。
目の前で再構成されつつある白骨の山を、
どうすれば根こそぎ片づけられるか――
彼は真剣に、
その方法を考え始めた。
———大したことではないこと———
四人の冒険者の神 その二
争いを呼ぶティール――
性格は積極的で血気盛ん、
正面からの衝突を決して避けない。
戦い、
もがき続けるすべての者を励ます、気
前のいい神である。
彼の加護を受ける初期職業は、
戦士と斥候。




