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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第二部——首都とネクロマンサーの観光農園

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第58話 避けられない修羅場――ちゃんと乗れないの?

デレオは空に

小さくなっていく黒い点を見上げながら、

なんとも言えない気分になっていた。


「まったく、あのお婆ちゃんはさ、

肝心なときほどああなんだから。」


アビスウズが肩をすくめてため息をつく。


そう言いながら、

彼女は召喚の詠唱を始めた。


闇の中から三頭のナイトメアが姿を現す。

瞳には青白い炎がゆらめいている。


アレカが

真っ先にそのうち一頭に飛び乗った。


猫の手を伸ばし、

手綱を掴んで鞍をぽんぽん叩きながら言う。


「カシヤ、こっちだ。

ボクが送ってってあげる。」


カシヤは嬉しそうに馬上に跳び乗った。


「わあ、アレカちゃんが、

わたしのナイトになってくれるんだね。」


それを見たチェラーレとアペスが、

ほとんど同時に口を開く。


「じゃあデレオは……」


そこまで言って、

二人は互いをにらみつける。


アペスは拳を握りしめ、

チェラーレは腰の短剣に手をやった。


「ディディ、こっちおいで!」


アビスウズも馬に飛び乗り、

軽く手綱を引く。


デレオはアペスとチェラーレを見比べ、

少し考えてから、

アビスウズの馬に飛び乗った。


本当は、あの二人を

ケンカさせたくなかったのだが──


この選択は結果的に、

もっとまずい方向へ転がることになる。


アペスとチェラーレは

一瞬きょとんとしたあと、

同時に残りのナイトメアを振り向いた。


「わたしが乗る!」


またも声が揃い、

同時に手綱へと手が伸びる。


どちらもまだ馬に

またがってもいないうちから、

拳と蹴りが飛び交い始めた。


「やぁッ!」

「こら、待て!」


アレカとアビスウズが前後に並び、


「やっ!」と声をかけて

ナイトメアに拍車をかける。


二頭の魔馬は即座に駆け出した。


残った三頭目のナイトメアも、

仲間が走り出すのを見ると、

自分もつられて全力疾走する。


アペスとチェラーレは片手で手綱をつかみ、

片足だけ鐙にかけた状態で、

馬上で殴る蹴るの大騒ぎ。


素手の格闘ならアペスに分がある。

だが、騎乗術に関しては

チェラーレの方が一枚上手だ。


驚いて暴走するナイトメアに

乗っているというのに、


二人ともそんなことにはまるで気付かず、

全力で張り合っている。


馬の背の上での混乱は次第に激しさを増し、

二人は揺れる鞍の上で押したり引いたり、

譲る気など毛頭なく、


ウンブラ農場から首都の幹線道路まで

殴り合いながら駆け抜けていった。


「お前たちさ……疲れないのか?」


首都の検問所の手前で

デレオは馬から飛び降り、

頭をかきながら二人に問いかけた。


「ふん。」


またもきれいにハモり、

二人は同時にそっぽを向く。


お互いを見るのも嫌といった様子だ。


デレオは内心で思う。

──やっぱり本当の姉妹は

この二人なんじゃないか、と。


ナイトメアの脚は非常に速い。


おそらく

さっきのゾンビドラゴンの飛行速度よりも

ずっと速いだろう。


理屈の上では、

途中でウンブラ婆ちゃんに追いついていても

おかしくないのだが、


彼女があまりにも高く飛びすぎたのか、

結局誰もその姿に気づかないままだった。


「お婆ちゃん、いつ街に着くんだろうね?

どこか行きたいところ、ある?」


アビスウズがみんなに問いかける。


チェラーレは何も答えない。


アペスとカシヤはデレオを見つめ、

彼の判断を待っている。


デレオはアレカを一瞥した。


「なあ、

あのネクロサウルスの保存状態はどうなってる?」


「超フレッシュだよ。

腐敗も風化も一切なし。


身体にも、

まだちょっと熱が残ってるくらいさ。」


アレカはフォークとナイフを取り出し、

ペロリと舌なめずりしてみせる。


完全に料理される側の気持ちは理解していない。


この小さなやつは、

人間の感覚が分かっていない。


あれは腐肉食いの獣だぞ、と

デレオは心の中で突っ込んだ。


デレオはアビスウズを見て言う。


「ノールールマーケットに寄ろう。

ちょっと、

委託販売したいものがあってさ。」


「アィアィ、キャプテン!」


アビスウズはデレオに

ウインクを投げてみせる。


数分もかからず、

一行はノールールマーケットの入口に立っていた。


ここでは様々な匂いが空気の中で渦巻いている。


オイルの匂い、血生臭さ、

香辛料の香りが入り混じり、

ここが市場なのか、


それともロボット工場なのか判然としない混沌を

つくりだしていた。


「さっき、

“ネクロサウルスを売る”って言ってたわね。」


チェラーレが眉をひそめる。

明らかに驚いている。


「ああ。

あれは俺たち四人で協力して仕留めた獲物だからな。」


カシヤがそう言ってアレカをぽんと叩き、

少し誇らしげに微笑んだ。


「どの部位を売るつもり?」


チェラーレはじっと彼らを見つめる。

まだ半信半疑といった口ぶりだ。


「まるごと一頭だ。」


デレオはあっさり答える。


「丸ごと?

もう解体してあるの?

相当な量でしょう?」


チェラーレはさらに問い詰める。


三人を上から下まで眺めてみても、

そんな巨大な恐竜をどこに隠しているか

見当もつかない。


「いや、まだ切り分けてすらいない。

ウンブラ婆ちゃんの農場に急いでたからな。」


デレオは肩をすくめる。


「じゃあ、

現場に置いてきたってこと?

そんなの、

他の食腐生物に全部食べられてても

おかしくないじゃない。」


チェラーレは訝しげな視線を向ける。


「いや、

ネクロサウルスはまだコイツの中だ。」


デレオはアレカを指差した。


視線が一斉にそこへ向かう。


アレカは得意げにお腹をぽんぽん叩くと、

蓋の隙間から、

ちょこんとネクロサウルスの爪の先を吐き出して見せた。


見た目はただの手作りの猫のぬいぐるみだ。


だがその足下の箱部分は、

いったいどこの異次元空間へと

つながっているのか分からない。


収容量には上限がなく、

中に入れたものの鮮度は一切落ちず、

時間の侵食を受けることもない──


そんな、

反則じみた収納能力を備えているのだ。


「ふうん、この子、やるじゃない。」


チェラーレの目に驚きの色がよぎる。


「ほら、チェラーレさんが褒めてくれてるよ。」


カシヤが笑いながらアレカの頭をなでる


アレカはわざとらしく「ふん」と鼻を鳴らした。


その拍子に箱の蓋をぎゅっと閉ざし、

きらきら光る二つの瞳だけを外に残して言う。


「ふん、ボクをおだてても無駄だからね。」


「ネクロサウルス一頭丸ごと売るとなると、

大規模な保冷設備が要るわね。」


アビスウズは周囲を見回し、

あちこちを歩き回る卸売商や露店商たちの様子を眺める。


「だったら、

予約制で仲介してもらうのがいいかもな。」


デレオは自分の案を口にした。


「興味のある買い手を事前に募っておいて、

それから現物を持ってくる。」


「信頼できる受任者はいるの?」


チェラーレは腕を組み、

彼らが弱みを見せるのを待っているかのような視線を向ける。


「……」


三人は同時に黙り込み、

互いの顔を見合わせた。


「いないなら、ついてきなさい。

イントロドゥクなら、

喜んであんたたちの儲けを手伝ってくれるわ。」


チェラーレは艶やかに微笑み、

くるりと背を向けて歩き出した。

———大したことではないこと———


アビスウズの職業レベルは不明だが、以前すでにバフォメットを召喚していることから、

少なくとも上級悪魔を隷属させられる段階には達していると推測される。


悪魔締約者のスキル

初期スキル:悪魔感知

Lv2 悪魔契約

Lv3 下級悪魔隷属

Lv5 生贄

Lv7 一部悪魔化

Lv11 中級悪魔隷属

Lv13 悪魔武器

Lv17 魔界の雷

Lv19 上級悪魔隷属

Lv23 悪魔犠牲

Lv29 悪魔化

Lv31 霊体堕落

以下不明

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