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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第二部——首都とネクロマンサーの観光農園

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第47話 風を裂き必中の宝石――見てろ、一発であの暴走娘を叩き起こす!

「じゃあ、

宝石を二つ作ってほしい。


 一つは命中率アップ、

一つは風耐性。

そのふたつを融合させて。」


アレカはきりっとした表情になった。


まるで突撃命令を受けた兵士のように、

全身で「了解」と答える。


小さな体から淡い光がにじみ、

アレカはぎゅっと蓋を閉じた。


かなりの魔力を使っているようだ。


やがて、ほうっと息を切らしながら、

魔力のオーラを纏った

硬い宝石を一つ吐き出した。


「よくやった。お疲れさま。」


 


「ここからは俺の番だ。」


デレオはアレカの蓋の中に手を突っ込み、

いくつかの素材を取り出す。


『アイテム生産:エラスティックロープ』

『ツール生産:工具——ミスリル着火フォーク』


「それから、

さっき覚えたばかりのスキル……」


『ツールコンバイン!』


デレオは心の中で、完成品の姿を思い描く。


着火フォークの両端に

エラスティックロープが結びつき、


巨大なスリングショットへ

と姿を変えていく。


「これってルール違反にならないかな?

 武器の生産って、

本来は匠人のスキルだよな。


 俺、ちょっと先取りしちゃってない?」


 


デレオは出来上がった大弓を手に取り、

満足げに弦――エラスティックロープを

引き絞る。


そこに、アレカがさっき付与した

『風裂き必中』の宝石を装填した。


狙うのは、アペスの、

あの止まるところを知らない笑顔のど真ん中。


「気を付けろよ、アペス。

 これは普通のパチンコじゃないからな。」


デレオは口の端を上げ、

引き絞った弦が低く震える。


彼は大きく息を吸い込み、

鷹のような鋭い視線で標的を捉える。


宝石の輝きが、彼の頬を照らした。


アペスが自分の力に酔いしれている、

その刹那――


弦が放たれた。


『風裂き必中』の宝石が鋭い風切り音をまとって飛翔する。


空気を裂き、

アペスの生み出した竜巻を貫通し、


彼女の、

狂ったように笑い続ける額へ――

寸分違わず命中した。


「えっ?」


アペスが一瞬だけ固まる。


七つの脈輪から吹き上がっていた光が、

すべて同時にふっと消えた。


さきほどまで押し返されていた海水が、

一気に押し寄せ、

打ち寄せる波が浜辺を飲み込む。


スピリッツオーケストラの

圧倒的なサウンドが、

ようやくアペスの耳に正しく届く。


その瞬間、彼女は逆巻く波に呑み込まれた。


 


「ったく、

どうして表姉と張り合おうとするかな……」


デレオはカシヤの頭を軽く叩く。


彼女はどっと疲れたように肩を落とした。


「えへへ……新しいスキル覚えたから、

つい調子に乗っちゃって……」


「無理すんなよ。

 今はまだ

フィールドのど真ん中なんだからな。」


「わかってるってば。」


カシヤが指を鳴らすと、

百体を超える音楽スピリッツたちが

一斉に整列し、

そのまま霧のように消えていった。


 


「アペスは……」


デレオは海の方を不安げに見やる。


「平気平気、水泳は得意だから。」


「それより、こいつを片付けよう。」


デレオはネクロサウルスの巨体に目を向け、

それからアレカを見た。


「お前、昔は袋だった頃に、

 容量無制限収納のスキル覚えてたよな?」


アレカはぱちぱちと目を瞬かせ、

嬉しそうに身を震わせる。


「いいもの食べられる」

とでも言っているかのようだ。


「これ、まるごと飲み込めるか?」


デレオは

ネクロサウルスの巨大な死体を指さす。


 


アレカはぺろりと舌を引っ込めると、

ぴょんぴょん跳ねながら

尻尾の方へ回り込む。


そして大きく口を開けると、

まるで長い麺をすするように、


ネクロサウルスを

一本丸ごと飲み込んでしまった。


「うわ、デレオのミミック、

食べ方エグすぎでしょ……」


海からずぶ濡れで上がってきたアペスが、

その光景に思わず呆れ声を上げる。


少しは冷静さを取り戻したようだ。


「げふっ――」


アレカは、

ちょうどミルクを飲み終えた赤ん坊のように、

目を細めて大きなゲップを一つ。


 


「こっちはどう?」


アペスは紫色に変色した活屍の足を一本取り出して見せる。


「うっ。」


アレカは即座に顔を背けた。

露骨に嫌そうな表情だ。


デレオは、理由をすぐに察した。


単に「汚い」からではない。


「たぶん、まだ『生きてるもの』だと

思ってるんだろうな。」


以前、骸骨の骨を浄化した時のことが、

アレカの中で嫌なイメージとして残っているのかもしれない。


だから今は、

不死者系の素材にはもう

関わりたくないのだろう。


 


「仕方ない、

これは自分たちで背負うしかないね。」


デレオは、

中でずっと何かがもぞもぞ動いているバックパックを背負い直した。


「急いで戻ろう。

 あんまりのんびりしてると、

見回りの聖職者が交代しちゃう。


 そうなると、

帰りのバス、なくなるかも。」


「うん、じゃあ急いで出よっか。」


 


カシヤはそう言いかけて、ふと足を止めた。


「どうした?」


「今、思いついたんだけどさ。


 アペスはLv46でこのネクロサウルスを

倒して昇格したでしょ?


 デレオも今Lv46だよね?

 もう一匹倒したら、

デレオも昇格できるんじゃない?」


期待に満ちた瞳で見上げてくる。


「理屈の上ではそうだけどさ……。


 でも、

この太古墓園に

縄張り張ってるネクロサウルスって、

 多分この一匹だけだと思うよ。


 もう一匹探そうとしたら、

国境越え案件になるって。」


デレオは苦笑いしながら首を振った。


「そっかぁ……。でも、少なくとも――」


 


カシヤは三人を見回し、静かに微笑む。


「さっき、あたしたち四人で、

Lv67の怪物を倒したんだよね。」


アペスも誇らしげに胸を張る。


「しかも、あんなに息ぴったりでね。

まるで……」


「……まるで、本物のパーティー。」


デレオが言葉を引き継ぐ。


三人は互いを見つめ、

その瞳の奥で同じ確信を見出した。


――もう、自分たちは

「たまたま一緒にいるだけのメンバー」じゃない。


命を預け合える、本物の仲間だ。


その自覚が、

空気に少しだけ照れくさい緊張を混ぜる。


「じゃあ……これからは正式に、

 あたしたち、

パーティーってことでいい?」


カシヤが小声で尋ねる。


「もちろん。」


デレオとアペスは、ほとんど同時に答えた。


――だが、その言葉は同時に、

現実から目を

背けないという宣言でもあった。


本物の冒険パーティーになるということは、

あの「悪魔」と

正面から向き合うことになる、

という意味でもあるのだから。

———大したことではないこと———

デレオ とアレカLv29以降で得た新スキル


デレオ—— アイテム士

Lv29 レプリカ

Lv31 アップグレード

Lv37 エンハンス

Lv41 アイテムコンバイン

Lv43 ツールコンバイン

Lv47 アイテム独佔



アレカ——ジュエルイーター

Lv29 有機毒耐性強化

Lv31 貴金属合成

Lv37 宝石合成

Lv41 宝石融合

Lv43 光学属性効果反射

Lv47 宝石レーザー・屈折モード

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