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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第二部——首都とネクロマンサーの観光農園

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成長のパンデモニウム――悪魔アンドラスと修行者アペス

これは本編とは関係のない、独立した物語です。

『ノンプロット・クエスト開始』


修行者アペスは魔宮パンデモニウムに召喚された。


地獄の群魔と諸天の神々は、

マモンの招待状を受け取った。


波旬は無理やり仏陀を引っ張って

連れてきた。


ヴィシュヌとクリシュナは、

まるで子どもの運動会に

出席する親のように、


誇らしげに立っていた。


非人の衆生たちは

事象の地平線の外に集い、


決して外に漏れることのない

光と影を見届けていた。


『闘争関数を入力してください』

f(修行者アペス,悪魔アンドラス):D(荒廃した図書館)=?


解を求めよ。


想像してみてほしい、

もし図書館が荒廃していたら、

どこにあるだろうか?


都市の中心部? 

ありえない。


荒れた山や野原の中?

こんな場所に誰が図書館を建てるだろう?


――内部に収蔵されているのが、

一般人に見せてはいけない書物でない限り。


アペスは今年十三歳。

クリシュナに帰依してから七年になる。


修行者としての功徳はまだ完璧ではない。


だが、六歳の頃と比べれば、

十分理性的になっていた。


彼女は今、

荒廃した図書館の前に立っていた。


こんな廃墟に入る必要は本来ない。


だが、

彼女はなぜか扉に向かって歩き出す――

運命に手を引かれるかのように。


恐怖、不安……

様々な負の感情が、

彼女が扉に手をかけた瞬間、

押し寄せる。


(オーム)——वज्र(ヴァジュラ) दहाहा(ダハーハ) होः(ホー)!」


彼女は声高らかに真言を唱え、

心中の負の念を払い除けた。


『淨意業真言』


修行者になった後、

最初に習得した技能のひとつである。


アペスの心は、

すぐに落ち着きを取り戻した。


扉を押し開けると、

アペスは息の詰まる空間に足を踏み入れた。


倒れた書棚、

光の届かないカウンター、

散乱した机や椅子。


『ここの雰囲気……』

彼女は思考を巡らせる。


『非人の存在がいる――!』


頭の中で考えが回りきる前に、

強烈な攻撃の意思を感じた。


肉食獣の匂い、

羽ばたく音、

巨大な体躯、

鋭利な刃の風――


後頸?


アペスは即座に

地面に伏せて前方に転がった。


背後から刃がかすめ、

図書館の大扉は彼女の後ろで粉々に砕ける。


最初の攻撃を避けたアペスは、

体勢を立て直し相手を見据える。


梟の頭、カラスの翼、

人の体、黒い狼に乗り、

長剣を手に持つ。


「あなた、人間じゃないね?」


アペスは両手の拳をギュッと握りしめ、

邪魔な雑物を蹴り飛ばす。


倒れた机や椅子の中で、

怪物とその狼は共に咆哮した。


人間か否かに関わらず、

彼は文明的にアペスと接するつもりはない。


アペスは微笑んだ。


『スキル発動:瞋恚自在』


修行者は感情を自在に制御できる。


静かにしたければ静かに、

怒りを発すれば怒りを増幅させられる。


怒りの感情が、彼女の力を爆発的に高める。


魔物が動く前に、

彼女はすでに突進していた。


目にも、手にも、怒りの炎が燃え上がる。


魔物は想像もしていなかった――

人間が直接突進してくるとは。


彼は剣を構えて防御する。


チャン!


長剣が折れた。


「ふん……俺に跳ね返ったか?


生贄となる活体が不足している

召喚儀式を執行した契約者……

弱すぎるな。」


折れた剣を見つめ、

カウンターの後ろに

散らばる机や椅子の間を見やる。


空いた場所があり、

地面には血の魔法陣が描かれている。


首のない女性が魔法陣の縁に倒れていた。


アペスは考える暇を与えない。

彼女は折れた剣を拾い、

黒い狼の頭に突き立てる。


狼は急いで身をかわし、

致命傷は免れ、

耳の半分が削げただけだった。


「勇気あるな! 

汝は吾の名を聴く資格がある」


その声は性別も年齢も判別できなかった。


「ふん、聞かせてみろ!」


アペスは折れた剣を

梟頭に向かって投げつける。


「我はアンドラス、

殺戮と憎悪を司る悪魔侯爵なり」


彼は飛んでくる剣を受け取り、

折れた剣と結合する。


熱光が走り、剣身が赤く光る。


長剣はやや短くなったが、

ほぼ復元された。


「よし、

礼を返そう。

わたしの名は……」


アペスは両手を合わせて礼をしようとする


――武人の礼節に従おうとした瞬間、

アンドラスの剣が突き刺さる。


「ちょっと! 

武徳はどうしたの!」


アペスは即座に避ける。

動作はアンドラスよりも迅速で正確だった。


手を伸ばして剣を奪おうとするが、

黒狼が腰に噛みつく。


皮膚をかすめたが、

素早く避けたため噛まれなかった。


「お前はまだ、

誰か覚える資格がない」


「へえ、

そんな身手でよくも大口を叩けるね?」


アペスは少し驚く。

目の前の悪魔は恐ろしいが、

戦ってみると……まあまあ。


退屈していたアペスは、

早く終わらせたいと思った。


「これで覚えたくなるかな?」


アペスは

再び『瞋恚自在』の怒りの一撃を発動。


アンドラスは防御せず、

乗騎を飛ばして避ける。


アペスも予想通り、

攻撃を追いかける。


連続で二撃、

黒狼の胸と腹に打ち込む。


悪魔の坐騎とはいえ、

血肉の体。


胸の肋骨は折れ、

腹部に波紋が走る。


アンドラスは弾き飛ばされる。


黒狼は地に伏し、

血を吐きながら悲鳴を上げる。


「どうだ? 

これで覚えたか……?」


アペスは挑発しつつ、

やりすぎたかもしれないと気づく。


主人の犬は殺してはいけない!


アンドラスは立ち上がる。

態度は先ほどとはまったく異なる。


踏みしめる一歩一歩が重く、

怒りが余すところなく伝わる。


「ガアアア!」

長剣でアペスに斬りかかる。


直感で、

この一撃は受け止められないと判断。

彼女は跳んで避ける。


悪魔の剣は修行者をかすめず、

地面に叩きつけられた。


図書館の床が砕け、

木片と石が飛び散る。


「まさか、

ただ犬を殴っただけなのに……」


アペスは書棚を回りながら走る。


「犬」と聞いたアンドラスは、

さらに狂暴化。


梟頭の悪魔は翼を打ち、

修行者に迫る。


剣を振りかざすが、

アペスは冷静に腕で受け止め、

剣を弾き飛ばした。


アンドラスは気づいていない――


先ほどの狂暴攻撃で、

自身の長剣はすでに

ボロボロになっていたことを。


「こんな戦法なら、

ハンマーや斧に変えた方がいいのでは?」


アペスは一拳、胸元に打ち込む。


「これで気を鎮めてやる!」

彼女は安易にアンドラスの喉元を押さえる。


(オーム)——वज्र(ヴァジュラ) दहाहा(ダハーハ) होः(ホー)……」


この奇想天外な修行者は、

悪魔に対して『淨意業真言』を発動した。


しかし……効いた。


アンドラスは以前ほど激昂していない。


「へへへ、

もう怒ってないでしょ?」


アペスは笑う。


「どういう意味だ?」


剣も狼も失い、

完全ではないが戦力は多少残るが、

少し困惑していた。



『瞋恚自在』


「つまり、

次は私が爆発する番ね!」


アペスは怒りを全開にする。


左右の拳と掌、打撃、つかみ。

左右の足、蹴り、踏み、押し、蹴飛ばし。


怒りの籠った連続攻撃が、

アンドラスの頭、顔、胸、腹を打ち抜く。


「おお!わあ!」

アンドラスの鳥の嘴から血が飛び出す。


「ふう! 

これでもまだ大口叩ける?」


アペスは額の汗を拭う。


アンドラスは笑った。


「力のある契約者を探して、

相応しい生け贄を準備しなければ……

再度召喚させろ。


お前が敢えてやるなら覚えてやる」


そう言い、

黒煙に変わり消えた。


「ふん! 言い訳ばっかり!」


アペスは身の灰を払った。




————————————————————————




「成長が早い、

モンクに

クラスアップさせてもいいくらいだな」


ヴィシュヌとクリシュナは真剣に議論した。


「今回の一件は、十分元が取れたな!」

マモンは波旬に誇らしげに聞く。


仏陀はため息をつき、

波旬は喜びのあまり天女のように舞い踊る。


閣下、今は一休みしてください。


あの女の妹の件は、また明日。ゆっくりと紐解いていくことにしましょう。



——しー ゆー つまろう——

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