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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第一部——太古の宇宙船遺跡

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第21話 あのプラスチックの鶏一匹のために、これほどか!

「うわ、第一層まで落ちてきちゃったな。」


瓦礫だらけの中でデレオが立ち上がる。


アレカは、

デレオが無事なのを確認すると、

すぐにそばまで駆け寄ってきた。


「今の魔法、

少なくとも魔法のエグゼキューターを

三体は呼び出さないと無理ですよ……。」


別の瓦礫の山のあたりから

カシヤが近づいてくる。


さっきの隕石の衝撃に

巻き込まれたわりには、


そう遠くまでは飛ばされていなかったらしい。


まだ心臓はドキドキしているようだ。


「いや、四体はいないと無理だろ。」


デレオは服についた砂埃をはたきながら、

周囲の様子を観察する。


「まず幻術師の眼ハサンに

ロケーションをロックーオンしてもらって、


それから大錬金術師メンデレーフに

質量を集めてもらう。


そのあと、

力の求道者ニュートンに

隕石を引力圏へ押し込んでもらって、


最後に氷と炎の賢者ケルヴィンに

隕石の温度を下げてもらって、

質量ロスを抑える――」


口にした瞬間、デレオはふと気づく。


物心ついたころから聞いてきたはずの

エグゼキューターたちの名が、


さっき読んだ日本語のマニュアルと、

どこかでつながっているような

気がしたのだ。


「この魔物、

知能もレベルも相当高いですね……。」


カシヤの声には、

まだうっすらと恐怖が混じっている。


「高いなんてもんじゃない。

あれはもう魔王クラスだろ!


そんな大物が、

なんで

うるさいな雄鶏ごときにキレてるんだ?


あのゴブリンども、

頭おかしいのか? 


どうしてあんなガラクタ一羽のために、

世界滅ぼしかねない魔王を呼ぶんだよ?


しかも自分たちの命まで

全部生け贄にしてさ!」


デレオは一気にまくしたて、

大きく息を吐いた。


自分でも驚く

ほどヒステリックになっているのがわかる。


「たぶん、

狙いは“うるさいな雄鶏”じゃないです。

あれは……」


「お前たちが探してる“アレ”だな。」


カシヤは黙ってうなずいた。


「その名前、何だったっけ?」


「本月に発掘された九宮盤です。

失われた古き神イピミテウスが、

人類に残した最後の補償……だそうです。」


「それ、何ができるんだ?」


「わかりません。まだ研究中ですから。」


「だろうな。


でも、あんな悪魔が

わざわざ奪いにくるって時点で、

人間側にはロクな代物じゃなさそうだ。」


「だからこそ、

あいつより先に九宮盤を

回収しないといけないんです。」


「いや、どう考えても無理ゲーだろ。

アペスで勝てる相手か?」


「どうですかね……。

アペス、あなたなら――」


カシヤは左を見て、右を見て、首をかしげる。


「アペス?」


「アペス! アペス!……」


「アペス!? どこにいるの?」


カシヤの声はだんだん大きくなる。

親とはぐれた子どものようだ。


「アペス……! アペス……!」


「アペス! 聞こえてるなら返事するな!」


デレオも呼びながら、

わざと口だけは軽口を叩く。


ほんとうは、

自分もかなり怖くなってきているのだ。


二人はあちこち歩き回りながら、

アペスの姿を探し始めた。


しばらくすると――

何か小石のようなものが、

コツンとデレオの脇腹に当たった気がした。


石が飛んできたほうへ視線を向けると、

隕石で開いたらしい大きな穴が見つかった。


その穴の下は、

古代飛行船の地下一階。


広大な空間で、

おそらくは燃料タンクとして

使われていた場所だろう。


「へえ……

昔は何を燃料にしてたんだか……。」


カツン!


今度は石がデレオの額に直撃した。


十中八九、アペスだ。


『おい、痛いって! 

生きてるなら一言くらい喋れよ!』


そう叫びかけて、デレオはハッとした。


――どうしてアペスは「投げて」くる?


声を出さないほうがいい状況なのか?


それは彼女にとって不利だからか? 


それとも、こっちにとって不利だからか?



デレオは地下一階への穴の縁まで歩み寄り、

下をのぞき込んだ。


アペスがこちらを見上げている。


「シー……」


アペスは人差し指を唇に当て、

ほとんど聞き取れない

ほど小さな声で制した。


彼女の足元には、

やけに厚く白い糸でできた

巨大な巣が広がっている。


巣の中には、

糸でグルグル巻きにされた

獲物の繭がいくつもぶら下がっていた。


『網を張るやつ……節足動物系、

つまり――』


「クモか?」


デレオが小声で問うと、

アペスは言葉では答えず、

動きで全てを説明してみせた。


踏み込む。


踏み鳴らす。


正拳突き。


彼女の拳風に巻き上げられ、

周囲の巣がたわむ。


そして、

その奥から現れたのは、

見たこともない巨大蜘蛛。


頭胸部は

アペスの一撃でぐしゃぐしゃに潰れ、


八本の脚が

痙攣しながら無秩序に震えている。


アレカは蜘蛛の死を感知すると、

ぱかっと口を開いた。


『戦闘終了。アイテム士Lv12……』


デレオの視界にレベルアップの表示が

次々と浮かび上がるのだった。

———大したことではないこと———


魔法のエグゼキューター・システム


この世界の人々が魔法を使うには、

「魔法のエグゼキューター」に

祈りを捧げる必要がある。


これまでに

登場したエグゼキューターは四体。


幻術師の眼 ハサン

力の求道者 ニュートン

大錬金術師 メンデレーフ

氷と炎の賢者 ケルヴィン


名前に聞き覚えがあるだろうか。


それぞれがどんな系統の魔法を

司っているのかも、

なんとなく予想がつくはずだ。


前の章で出てきたように、

この世界の魔法は

ナノマシンとも関係している。


ここまでの情報だけでも、

いろいろと妄想を膨らませられるだろう。


もちろん、


このあとも

他の魔法のエグゼキューターたちが

順番に登場してくる予定である。

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