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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第一部——太古の宇宙船遺跡

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第13話 うるさいな雄鶏で、混沌の大乱闘

デレオのダガーが、

突然、

腰帯から抜け落ちそうなほど激しく震えだした。


「なんだよ、これ……?」


彼が状況を理解するよりも早く、

一体の亜竜が天井の穴から

一直線に飛び降りてきた。


鋭い鉤爪が、

デレオの頭頂まであと数センチ――。


アペスが地を蹴って駆け込み、

その拳を亜竜の胸のど真ん中に叩き込む。


「奇襲? させるわけないでしょ!」


深くへこんだ胸郭から、

アペスは拳を引き抜いた。


「テリトリー争い……

どんどん本気になってきたわね!」


デレオは荒い息を吐きながら、

天井の穴の縁でうごめく黒い影を見上げる。


群れの中でも、

索敵や囮を担当する亜竜たちが、

すでに目の前まで殺到していた。


まるで死を恐れないかのように、

次々と飛びかかってくる。


「ケンカしたくてたまらないって顔してるわ。」


アペスは楽しげに笑い、

一番近くに突っ込んできた

一体めがけて拳を振り下ろした。


脳漿が弾け飛び、

眼球が飛散する。


モンクは、

野生じみた笑い声を上げた。


その間にも、

別の亜竜たちが次々と駆けつけてくる。


この三人は、

本格的に血の道を

切り開いて進むしかなくなっていた。


「状況はどんどん悪くなってる。

このままここにいたら、

そのうち周りじゅうお祭り騒ぎになって、

押し潰されるぞ。」


これから先の展開が、

かなりカオスになることを、

デレオは肌で感じていた。


遠くから聞こえてくるのは、

もはや散発的な咆哮ではない。


真夏の午後のスコールのように、

やたらと密度が高く、

重たく響く爪音の奔流――。


その数は、まるで竜神が、

自分の子どもたちをすべて

ここへなだれ込ませているかのようだ。


「でも……」


カシヤは通路の向こう側を見つめる。


「目標は、あっちにあるんだな?」


デレオが小さく問いかける。


「うん。」

彼女はこくりとうなずいた。


ダガーの震えは、

握っているだけで手が

痺れるほどに強まっている。


「じゃあ、こうしよう。

いったん別の部屋まで下がって、

少し離れたところでキャンプを張る。


ここに集まってる

魔物の頭が冷えてきた頃に、

もう一度戻ってくるってのはどうだ?」


二人を外へ連れ出すにしても、

まずは「生かしておく」段取りが必要だ。


「そうね。クリシュナも、

“しかるべき時には一歩引いて、

全体を見渡せ”

って教えてくださっているし。」


アペスは合掌しながら、

同時に別の亜竜を蹴り飛ばした。


どうにか理性は残っているらしい。


『いつかこの女が本気で暴走し始めたら、

冗談にならないな……。』


デレオは胸の内でため息をつく。


「じゃ、文句がないなら――

あそこまで下がるのはどうだ?」


デレオは、

宇宙船遺跡二層目の外側を指さした。


遺跡の通路は、

アペスにぶち抜かれたおかげで、

すでに何層分も穴が空いている。


壊れた壁の向こう側に、

ここからは少し距離があるが、

このフロアの様子が

一望できる船室が一つ見えた。


「一回戻ろう。

途中に角があって、

その先に三階へ上がる階段があるはずだ。

道を塞いでるやつを何匹か倒せば――。」


デレオは、

さきほどたどった探索ルートを頭の中でなぞる。


「そんなの簡単でしょ!」


アペスは嬉しそうに声を上げ、

テリトリーを奪いに来た

亜竜たちの群れへ向かって突撃していく。


「おい、カシヤを置いて、

また一人で夢中になるなよ!」


さっきカシヤが危うく

奇襲されかけた場面を思い出し、

デレオは楽観的になるのをやめた。


「出る前に、もう一つだけ……。」


デレオは苦笑しながら、

黄色いプラスチック製の雄鶏を取り出した。


「それ、何?」

カシヤが首をかしげる。


「《うるさい雄鶏》っていってさ。

普通は、

上級パーティが

新人を連れ回す時に使うアイテムなんだ。」


デレオはそれを鼻先へ近づける。


スーッ――。

大きく息を吸い込んだ。


「新鮮な鶏むね肉みたいな匂いがする。」


「ってことは、

それで魔物をおびき寄せるってこと?」


「そういうこと。


どうせこの辺には、

これから大量の亜竜が集まる。


だったら、

もう少しおまけしてやろう。


この宇宙船じゅうのモンスターを

全部ここに呼び込んで、

好きなだけ大乱戦させる。


十分“練り上がった”ところで、

最後にアペスにまとめて片づけてもらう。」


デレオはうるさいな雄鶏を床に置いた。


雄鶏は「コケコッコー!」と

鳴きながら、

ぴょんぴょん飛び跳ね始めた。

明日、特別編を投稿予定です(16:30頃)

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