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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第一部——太古の宇宙船遺跡

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第9話 不死生物をアイテムにしろって言っただけだろ? 何キレてんだよ

爆衝エンジンスケルトンを片づけたあと、

宇宙船遺跡の中は妙に静まり返っていた。


デレオは目の前の光景に、思わず息を呑む。


通路の壁という壁は、

すべて一寸以上はえぐられて広がっており、


床には深いクレーターが

いくつも刻まれている。


ゴブリンや武装亜竜の死体が、

そこら中に転がっていた。


そのとき、

銀のダガーが突然、

強烈に震え出した。


すぐ近くから、

はっきりとした敵意が向けられている。


デレオのすぐそばで、

アレカがパカッとフタを開く。


「ぺっ、ぺっ、ぺっ……!」


十本以上の骨のダーツが、

罠のように

一斉にデレオめがけて吹き出された。


彼は即座に身を投げ出し、床に転がる。

一本の骨ダーツが鼻先をかすめ、

薄くついていた汚れだけを

削ぎ落としていった。


「危なっ! 

今の、

ちょっとでも遅れてたら鼻がなくなってたぞ!


 おいおい、お前、

俺のこと親みたいに

慕ってくれるんじゃなかったのか?」


「ぺッ!」


まだ吐く。


今度は骨の缽が一つ、

デレオのあごめがけて飛んでくる。


ガンッ!


見事なアッパーカットを

食らったような衝撃だった。


「……ダガーの震えが止まったってことは、

この敵意、

お前の不機嫌だったわけか。」


デレオはあごをさすりながら言った。


「さっき、

ちょっと骨製の道具を

作ってくれって頼んだだけだろ? 

なんでそんなに怒るんだよ。」


彼がアレカを見ると、

アレカは言葉の代わりに、

ものすごく不機嫌そうな顔で

「口」を開けた。


中から、

骨で編まれた腕輪が一組、

ぽろぽろと吐き出される。


うっすらと黒い霊光を帯びていて、

どう見ても普通の品ではない。


「これ、お前が作ったのか? 

鑑定してもらっていいか?」


デレオが腕輪をかざすと、

アレカは懐中電灯のように、

両目から円錐状の光を二本照射し、


そのままフタを開いて、

ホログラムを投影した。


『呪詛吸収腕輪。

 一度だけ呪詛を吸収し、

蓄積して再放出できる。

 既に蓄積済み:自制不能の呪詛。』


どうりでアレカが機嫌を損ねるわけだ。


さっきのデレオの何気ない一言は、

「アンデッドを丸ごと、

呪詛に精製してくれ」

という無茶ぶりに等しかったのだ。


そりゃあ、いくらなんでもひどい。


この腕輪は、

身代わり系のアクセサリーに

近い代物のようだ。


ただし残念ながら、

蓄積された呪詛を使い切るまでは、

一切身代わりにはなってくれない。


「今の状況じゃ、

役に立たないんだよなぁ。

他にもっと即効性のあるやつ、ないの?」


デレオが物足りなさそうに言うと、

アレカはじとっとした目で彼を一瞥し、

しぶしぶと言った様子でこちらに向き直ると、嫌々ながら口を大きく開いた。


そして、ため息まじりの大嘔吐が始まる。


ナイフとフォークのセット、骨笛、ストロー……


数えきれないほどの「死の工芸品」が

次々と吐き出され、


危うくデレオが骨の山に生き埋めに

なりそうな勢いだった。


その中でも、

三つの小さな骨箱はひときわ目を引いた。


中にはそれぞれ、リン粉、石灰、

それから骨製のマキビシが

ぎっしり詰まっている。


「……で、これらは何に使うんだ? 

俺は今、人捜しの最中なんだけど?」


さすがのアレカも、

今度ばかりは心底不満そうな顔になる。


そして、さらにもう一度、

骨製の暗器を連射した。


「はいはい、悪かったよ。

お前が作ってくれたの、

どれも有用だってわかってる。


 無駄だなんて言わないからさ、

機嫌直してくれ。」


デレオは慌てて、

さっき吐き出された品々を手早く回収していく。


「まあいい。

最悪、

ぜんぶ売り払えばそこそこの金にはなるしな。」


戦利品の清算を終えると、

彼は服についた埃をぱんぱんとはたいた。


「さーて、本業に戻るか。

今度こそ、

彼女が死ぬ前に見つけたいもんだ。」


「お嬢様は、

いったいどこまで行っちまったんだろうな?」


デレオは足元のアレカに話しかけるように、独りごちる。


答えを探すのは難しくない。


宇宙船内部には、

さっきの爆衝エンジンスケルトン戦とは別に、

新たな戦闘の痕跡が大量に残されていた。


普通の冒険者が

ここまで派手に暴れ回ることはまずない。


しかも、

これだけ死体が転がっていれば、

予想外の敵を呼び寄せるのは時間の問題だ。


「見た目は今にも倒れそうなくらい

華奢なのにな。

ここまで派手にやれるタイプか?」


デレオは首をかしげる。


本当にあそこまで強いなら、

前回、

パーティごと氷像になったりはしなかったはずだ。


アレカも、

どこか狐につままれたような顔で、

そこら中を舐めたり嗅いだりしている。


「まさか、

変なものに憑かれてるってオチじゃないだろうな……。」


そんな考えが頭をよぎり、

デレオは少しだけ不安になる。


床にはドロップ品も山ほど転がっていた。


「何一つ拾っていかないとか、

本当に金持ちってやつは……。」


彼は苦笑いしながら、

通路を奥へと進んでいった。

———大したことではないこと———


この世界における呪詛の設定


呪詛は大きく三つの階級に分かれる。

・低位:精神に影響を及ぼす

・中位:肉体に影響を及ぼす

・上位:運命に影響を及ぼす


呪詛が作用する対象は、

相手の「存在そのもの」である。


そのため、

発動した呪詛を「避ける」ことはできない。


ただし、跳ね返す、吸収する、

打ち消すことは可能である。


今回の腕輪は、

「呪詛吸収型」の道具に分類される。


腕輪に蓄積されている

「自制不能の呪詛」は、

精神に干渉する低位の呪詛だ。

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